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ロボットのような人間

 人間のような知能をもったり表情をしたりするロボットの開発が進む中,

 「人間の開発」が後れをとっている気がするのは,学校の教師だけに限ったことではないだろう。

 「人間に近いロボット」が生まれてくる一方で,

 「ロボットのような人間」が増えていることに不安を抱く人は少なくないのではないか。

 「ロボットのような人間」という言葉には,

 「ロボット」に対する「人間の思い通りに動く」というイメージを抱くがゆえの意味や,

 「機械らしく正確に動く」というイメージに基づく意味など,多様なニュアンスが含まれていく。

 どちらかというと,負のイメージが強い言葉であろう。

 「感情がない」などといった「人間らしくない」イメージが最悪のものかもしれない。

 何度も紹介して恐縮だが,

 私が参観した中学校の社会科の授業では,40体のロボットにお目にかかれた。

 時間内に自分が用意していた原稿を読み,自分とほぼ同じ内容の他の生徒に対して,

 自分でも答えられそうな質問をしていく。

 そこにはグループによる発表はあったが,まるでコピーしたかのように通り一遍の内容しか登場せず,

 「個性」のかけらも見えなかった。

 アクティブ・ラーニングが,こんな生徒たちを大量生産する可能性があることを知っておいてほしい。

 『学び合い』が,どんな生徒たちをつくっていくか,警戒心をもっておいてほしい。

 教科指導の専門性が必要ないしくみを広めようとしている校長先生にかつて出会ったことがあった。

 そこで育った子どもが気の毒でならなかった。

 失敗を恐れると,教育は陳腐化という言葉では語りきれないほど,味気なくつまらないものになっていく。

 しかし,ロボットのような人間だと,その「味気なさ」は感じることなく,必要な能力だけどんどん身につけていける存在なのかもしれない。

 
 人間よりも,ロボットの方が「人間の心が理解できる」と思われる存在になるとき,

 本来はあってはならないはずの「差別」が正当化される時代がやってくるかもしれない。


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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より