目標ができるとやる気がなくなる子どもをどう育てるか
一般的には,「授業のめあて」を導入ではっきりと児童に示すべきだという「指導」が教師に対して行われています。
人は,明確な目標ができると,それに向かって着実に努力しようとするだろう,という「まともな人間像」が根拠にあるからでしょう。
しかし,人間はそう単純な生きものではありません。
子どもは特に,・・・・教師を20年以上続けている私から見ても,
「未知なる生きもの」です。
目標がはっきりと示されてしまうことで,かえってやる気を失う子どもというのが必ずいます。
このマイナス面に目を向けようとする人は多くはないでしょう。
「そんな子どもは本当にいるのか」と疑問の方は,
教師が課題を提示して,「なんだ,そんなことか」と授業のゴールが見えてしまう子どもの気持ちになって考えてみてください。
やる気の失い方の種類は,それだけではありません。
授業参観とか公開授業のときだけ張り切って「よい子」のふりをするような児童ばかりの学校だけを見ていては,気づけないことがたくさんあります。
教師が話していることや,他の児童が発表していることに集中できる子どもの評価が高くなる仕組みがあるうちは,そう簡単には対応策は見つかりません。
もし「個に応じた指導」に真剣に取り組みたいのであれば,別の評価システムが・・・個別の評価システムが必要になってくるでしょう。
特別支援の学級では,実際にそれがつくられています。
ユニバーサルデザインのというのは,本来,一斉授業を想定したものではないはずのものだということが,こういう経緯から理解されるべきでしょう。
一斉授業で,みんながハイハイと挙手するようなものは,決してユニバーサルデザインではないのです。
「収容所デザイン」とまで表現すると酷かもしれませんが。
「はいまわる」ことの中に,本当の「楽しさ」を感じる子どもはどう評価してあげたらよいのでしょうか。
ユニバーサルデザインとは,そういう子どもも教育対象にできる仕組みのことであるべきです。
いつの間にかエセ「ユニバーサルデザイン」の批判になってしまいましたが,
この記事は,宮城谷昌光の『劉邦 上』で劉邦が語っている言葉をヒントに書くことになりました。
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