議論の空中戦・組織の空中分解
空中戦とは,論点があいまいでかみ合うことのない議論を揶揄して呼ぶものだが,
そもそもが,自己の主張をするだけで,議論をする気がない人どうしがぶつかるときに起こりやすいものでもある。
たとえば物事を「良い」「悪い」と分類し,「良い面も悪い面もある」とか,「良くも悪くもない」という大部分の事柄を抜きにして語ろうとする人間にこのタイプが多い。
「富裕層」という数%の人間と,その対極にいるこれも数%の人間を対比してみせる場合もある。
主張そのものが極端すぎたり,大昔からの単純化されたイメージそのままだったりと,
自分の頭の中がほとんど更新されないまま年齢だけ増していく教師たちにその傾向が強かったりする。
「悪いことばかり指摘しないように」と注意している自分自身が
「悪いことばかり指摘している」ことに気づけない。
なぜ教師はこんな人間になってしまうのかというと,それは
だれかによって教師としての自分を教育してくれる機会を逃してしまったことが主な原因だろう。
教師は現場で成長する(はずの)人間である。
そもそも教育力のある教師が周囲にいなかったのか,
いてもそういう教師の言葉に耳を傾けなかったのか,
あるいはそういう教師もあきらめて言葉をかけてくれなかったのかはわからないが。
従順なままの子どもに囲まれて仕事をする教師が陥りやすい最も危険な落とし穴である。
こういう教師が複数集まる学校では,組織が空中分解する。
荒れている学校の典型的なパターンがこれである。
「仲良く話し合いをしよう」なんてことが職員室でできない学校で,
教師が子どもにそれを語りかけられるわけがない。
さて,空中分解する組織のパターンには,
リーダーが消え去るというものもある。
「ワンマン経営」は成功する場合もあるが,「その後」が難しいことは,
たとえを引っ張ってくる必要もないくらい,あちこちで見られる現象だろう。
「はしごをおろされた人たち」が,「本物の政治家」であったかどうかが問われる政党がある。
では,「本物の教師」とは,どういう存在でなければならないのか。
「自分に厳しい人間である」という資質だけは,欠かしてはならないものだと思う。
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