「かまってあげる」ことによる非行の防止とその限界
奥さんが出稼ぎ先への出発時に見送りをしてくれなかったことが,放火の原因だったと今朝のラジオで耳にした記憶があります。
このニュースを耳にして,まず頭をよぎったのが,
「では,かまってもらっていたら,問題は起こらなかったのか」
ということです。
私は決してそうは思いません。
よくある話ですが,荒れた学校の中に,先生方が
問題行動を繰り返す子どもたちを「かまってあげている」ところがあります。
「かまってくれない」ことを理由に問題を起こすと考えているからで,
問題の発生を防止する手段として,普段から
「かまってあげる」「気にかけてあげる」態度をとってしまう。
しかし,これは誤った指導です。
そういう態度で生徒に接している先生がいる間は,「荒れ」は解消しません。
問題行動を起こしている生徒と教師の「馴れ合い」の図式が,
本来,学校で力を発揮すべき優れた生徒たちの「やる気」をそぎ,
「活躍の場」を奪ってしまうという弊害もあります。
「普段はどうしようもないやつだけど,運動会のときだけ張り切ってくれる」
なんてことを理由に,ろくに練習に参加しない生徒がリーダーになることを認めてしまうような腐った学校では,絶対に「荒れ」はなくなりません。
問題行動を起こす子どもに「かまってあげる」ことは,一切しない。
問題行動を起こした場合は,毅然とした態度をとり,十分な時間を割いて反省を促す機会とする。
こういう生活指導の基本が通用しない学校では,
中3になっても「赤ちゃん」がいなくならず,そのまま乳児を高校に送り出すことになる。
「子殺し」の親に情状酌量の余地はありません。
« 「全国学力調査」を入試で活用すると,何が起こるか? | トップページ | なぜ生徒の声は担任に届かなかったのか?~生活記録ノートは「交換日記」ではない~ »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
「ニュースより」カテゴリの記事
- 止まらないビールの需要減(2018.12.30)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 愛校心によって大切なものを失った経験から(2018.12.16)
「教育改革」カテゴリの記事
- 改正教育基本法第16条の問題点(2018.12.28)
- 今,手を抜いていると,公教育の民営化が本格化したとき,・・・(2018.11.24)
- 国後島で考えたこと~日本の教育(2018.10.02)
- 都合の悪いことに目を向けさせなくする教育(2018.09.08)
「リーダーシップ」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- マリオが総理大臣ならピカチュウを防衛大臣,ハローキティを外務大臣に(2017.12.02)
- 「大人になったら教師はいなくなる」は大間違い(2017.11.27)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
「教職教育」カテゴリの記事
- 「総合的な学習の時間」の指導ができるように教育できるのはだれか(2019.11.24)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
「仕事術」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「教師の逆コンピテンシー」カテゴリの記事
- 遠慮しないで情報を提供しろ!~いじめを見逃す環境との戦い(2018.12.29)
- 偶然の重なりと緻密な演出~インスタレーションから受けた刺激(2018.12.22)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 量より質が大事なものと,質より量が大事なものとは?(2018.04.23)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「道徳」カテゴリの記事
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- チコちゃんに叱られる~おやじギャグが言える年齢になると,ホンネも漏れやすい(2018.11.11)
- 道徳教育が成立するための条件とは(2018.10.31)
「教育実習」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「教員研修」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「生活指導」カテゴリの記事
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 1000人当たりの暴力行為発生件数ワースト5は(2018.10.29)
- 「成果」を出すための「時間」(2018.10.10)
- 子どもたちにとっての「迷惑行為」とは何か(2018.09.23)
« 「全国学力調査」を入試で活用すると,何が起こるか? | トップページ | なぜ生徒の声は担任に届かなかったのか?~生活記録ノートは「交換日記」ではない~ »
コメント