道徳でアクティブ・ラーニングを進めることの危険性
いじめは,教師に気づかれないように,陰でねちねちと行われるのが普通である。
このいじめをさらに助長しかねないのが,
「道徳でアクティブ・ラーニングを行う」という方針である。
いずれ,「道徳の時間が嫌だから,学校を休む」という生徒が増えてくるかもしれない。
道徳の時間に起こるであろういじめのパターンはいくつも想像できる。
いじめの標的となる生徒が発言した後,わざとしーんとする。
賛成も反対もしない。
「無視された」と思わせるタイプのいじめである。
みんな,考え込んでいるふりをすれば,「いじめと断定されないかたち」でいじめができる。
議論するかたちに持ち込んで,最終的にいじめの標的とした生徒が孤立する方向へもっていくという,レベルの高い「いじめ戦略」も考えられる。
発表の中で,教師には気づかないような,いじめの標的を連想させる何かを言葉の中にはさみこんでいくといういじめ。
とにかく精神的な圧迫を加えるチャンスが増えるのがアクティブ・ラーニングであり,
多くの発言の中で,いじめられていると感じている生徒の心がどんどん切り刻まれていく。
それに気づけない教師が担任であれば,生徒は助長する。
「ばれる寸前」まで手をゆるめないおそれがある。
直接攻撃ではないいじめは,
「私にはそんなつもりはなかった」と言い逃れが可能なものであり,やっかいである。
「いじめを許さない」というスローガンを掲げた道徳の授業でいじめが行われていく・・・しかも深く傷をつけるタイプの・・・・可能性が否定できない。
いじめに関する専門的知識と対処技能が教師には強く求められている。
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