『いじめ』に関する聞き取り調査の難しさ
『いじめ』の全容を知ろうとして,教師たちは必死に情報を集めようとしますが,
そこにはいくつかの大きな壁が立ちはだかっています。
『いじめ』の全貌理解が困難であるのは,
子どもたちが本当のことを言うとは限らないためです。
その理由を列挙しておきます。
1 口止めやおどしを受けているため
2 「チクリ魔」などというあだ名をつけられ,『いじめ』られたくないため
3 友達をかばうため
4 以前に自分をかばってくれた友達への「返礼」として
5 自分に都合の悪いことは言わないため
6 親に対して「よい子」のままでいたい願望が強いため
7 嘘をつくのが癖になっているため
8 もともと憎い相手を陥れたいため
9 陥れられた相手に復讐するため
10 子どもたちで口裏合わせをしているため
11 嘘をついているつもりはないが,自分の想像や他人からの伝聞を真実と思い込んでいるため
12 記憶があいまいなため
これらは複合的に作用している場合も多く,真実を見極めることはとても困難です。
教師ではなく,たとえ「取り調べ」のプロである警察官が聞き取りをしても,「嘘がばれにくい」ことを理由にさらに真実から遠ざかる可能性もあります。
ここに保護者がからんでくると,さらに真実はつかみにくくなります。
保護者は,基本的に自分の子どもを守るスタンスにつきやすいため,
混乱を極める場合があります。
基本的には,当事者たちの言葉なり態度なりから「想像」するしかないというのが現状です。
少なくとも,伝聞なのか,直接見たり聞いたりしたのかの区別はつけなければなりません。
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