『授業を磨く』ための本があまりに物足りないのはなぜか?
今私の手元に,『知性を磨く』という本と,『授業を磨く』という本があります。
前者は『知性』を感じるのに対して,後者には『内容がない』という印象しか残りません。
『スキル』だけはある,という教育実習生をたまに見ますが,もちろんそれが悪いと言いたいわけではなく,
もっと大事なものを身につけていこう,という思いを正面からぶつけようとしています。
後者の本が非常に貧弱というか,教育界のレベルの低さを感じてしまうのは,前者に後者のような本の問題点がはっきりと指摘されているからかもしれません。
後者の本を読んで,勉強した気になる人は,おそらく小学校の先生に多いと思います。
中・高の先生は,30分くらいで読み終えてしまって,「だからどうしたというの」という印象を強くもつでしょう。
これが,日本の初等教育のレベルと,中等教育のレベルの違いといってしまえばそれまでなのかもしれませんが。
大学での教育はどうなのでしょう。
少しだけ恐ろしいのが,今日,検討を依頼された大学院生の指導案です。
大学院になると,大学4年の教育実習生よりも,指導案のレベルが一気に低下するのはなぜなのだろう・・・という疑問の答えは,実ははっきりしています。
大学院には「指導案の書き方」が教えられる人がいないからでしょう。
教職課程をもつ大学を,今の3分の1くらいに縮小すれば,相対的に学生の質も向上するはずです。
市民感覚では当たり前の話ですが,一律に規模を縮小するのではなく,課題が多い(教育効果がほとんど見られない)ところからなくしていくのが一番です。
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