子どものアクティブ・ラーニングに対応した教員のアクティブ・リサーチで学習の質を変える
一つ前の記事の結びで,
>生徒のアクティブ・ラーニングと同時並行で,
>教師によるアクティブ・リサーチ及びディスクロージャーを行うことで,
>「もれのない」学力向上とその把握が可能になるでしょう。
と書いた。
観点別学習状況の評価が入試の合否判定に使われているのに,その信頼性を保障するものがない教師たちにとって,アクティブラーニングを行う動機は何になるのか。
それは「少しでも適正な評価を行うこと」にある。
「適正な評価」を行うためには,生徒による「学習活動とその結果」が必要である。
以前に紹介したある中学校の授業では,生徒たちの「学習活動とその結果」がほぼ同じ内容のものになった。
「最も重要な部分を(生徒を含めて教師も)スルーする」という重大な結果を招いた原因にふれたが,
こんな授業では「適正な評価」は絶対にできない。
「適正な評価」ができているかどうかは,
教師がどれくらい苦しんでいるかで判断できよう。
「これで本当にこの生徒は理解していると言えるのだろうか」
「思考過程は誤っているが,単なる知識としては定着しているようだ。だが,理解しているとは言えない。」
教師がアクティブ・リサーチをかけることによって,
子どもたちの本当の「学力」の把握に少しだけでも近づくことができる。
役立つかもしれないのが,リサーチ結果を公開することである。
それに対する反応,コメント,批判等が,学習を重層的なものにしていく。
もしこのような教育に転換するとしたら,1回の学習ごとに,
授業の準備に6時間,実施に1時間(50分),評価に5時間程度かかることになるだろう。
8時から15時までのうち,実施のために5時間とられている状況では,なかなか苦しい。
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