板書は写させずに,ノートには自分の考えを書かせる
「板書を写すことは時間の無駄である」ということを証明できる人はどのくらいいるでしょうか。
聞いたり見たりしたことで記憶に残る割合はせいぜい10%と言われています。
「書く」ことによってもっと記憶に残せるはずだ,という考え方もあるでしょうが,
6時間授業が終わったときに,自分がノートに何を書いたかをしっかり思い出せる人はどのくらいいるでしょう。
それが,1週間後ならどうでしょう。ノートはどんどん増えていっています。
そんなにたくさん記憶できるのでしょうか。
「話し合ったとき」に,記憶に残る割合は50%になるといいます。
それでも「約半分」の定着率です。
「自分が何をどれだけ話したか」によって,割合はかなり上下するでしょう。
「体験したとき」が75%,「教えたとき」が90%。
教師が「教えたこと」をそれなりの割合で覚えている,ということは実感がわくことでしょうね。
ただ,研修会で「教えてもらったこと」を,そのままだれかに90%以上「教える」ことは可能でしょうか。
中学校でも高校でも,「板書をノートに写す」ことに,それなりに生徒は労力を使っていることでしょう。
私の場合は,特に生徒が黒板に記入しに来て,そこが議論の対象になっていく場合に行うことがあるのが,
「板書はあとで写真でとって,プリントして配る」ので,
「ノートの下半分に,自分の意見を書く」ことを指示します。
40人いて,5時間授業があると,200人分のノートを点検するのに4時間くらいかかりますが,
それによって「新たな発見」が起こることが多いのです。
この生徒は,こんなことも考えていたのか。
こんな視点があったのか。
などなど。
優れた考え方は,また別にプリントをして配ります。
生徒のアクティブ・ラーニングと同時並行で,
教師によるアクティブ・リサーチ及びディスクロージャーを行うことで,
「もれのない」学力向上とその把握が可能になるでしょう。
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