野球型からサッカー型の授業への転換
これからの教育で,授業はどのように変わろうとしているのだろうか。
スポーツにたとえると,
「野球型」から「サッカー型」への転換といえるのかもしれない。
野球型とは,監督が最初から最後まで,直接的にゲームを指揮し,選手にそれぞれの役割を果たさせていくような授業で,教科担任の教師=監督のイメージである。
攻撃の場面では,どの選手にも同じ「場」が与えられている。
サッカー型では,試合が始まると,基本的には選手の判断でゲームが展開される。将来的には監督の脳と選手の脳が「同期」し,監督の思った通りに動かすようになるかもしれないが,同時に何人もが動いているサッカーでは,すべてを把握するのが難しい。だから,任せておく。
攻撃の場面では,コーナーキックで背の高いディフェンスが加わることはあるが,基本的には決められた人間がシュートを撃つことができる。
一瞬で守備と攻撃が入れ替わるために,選手全員が平等に攻撃に加わることができない。
「活動量」としては,圧倒的にサッカーの方が多い。
しかし,長い時間はできない。
野球の場合は,決められた時間内に攻撃したり守備をしたりするスポーツではないので,時間が長くなったり短くなったりする。
「思考できる時間」,「思考量」では,野球の方が多い。
今までの教育は,どちらかというと,「野球型」に近かったのではないか。
「~できる」ようになる時間は,人によって異なるから,クラスによって,時間が伸びて足りなくなる場合が起こる。
「間」のなかで生きてきた人間としては,ピッチャーがセットポジションに入ってからの1~5秒間の「集中力」が勝負を左右することを体で覚えている。
常に走り回っているようなスポーツには,あまり魅力を感じない。
教師と生徒との大切な「間」を失わせる方向に改革が進まないように,注意を払っておきたい。
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