「こういう人になりたくない」という人になっている自分
「お父さんみたいな人になってはだめよ」と母親が子どもを叱る。
こういう言葉で一番傷つくのは誰だろう。
教師が生徒に,「お前の思考回路はどうかしている」となじる。
こういう叱り方をして,何かが改善するのだろうか。
「私は,あなたのような人にはなりたくありません」
こういう言葉で相手が傷つくという想像はできないのだろうか。
相手の受け止め方などはどうでもいい,という人間がいる一方で,
他人に対する想像力が非常にたくまくしい人もいる。
やっかいなのは,その割に自分がどういう人間なのかが全く分かっていない人である。
さらに輪をかけてやっかいなのは,本人が自分のことをよくわかっているつもりでいることである。
カウンセラーの方がこの話を読んでいただいたら,
「そういう人ばかりだ」なんていう感想をもたれるかもしれない。
実際,このような子どもは増えている。保護者がその子どもとそっくりな場合も多い。
カウンセラーも見下すような相談者が増えているそうである。
こういう話を,他人事として聞き流してはならない。
自分はそれと全く同じでないか,という自問自答は常に繰り返すべきである。
「よく考えてみよう」と声をかけてくれる人,そういう気持ちにさせてくれる人は本当に貴重である。
組織に一人くらいはいてほしい。
さて,子供たちにとって,「こういう人になりたくない」という面が最も良く見えやすいのは,教師だろう。
一番気色悪いのは,自分が教師でいることに酔っているような人間である。
若い人の中にも,「教師臭」にまみれている人はいないだろうか。
「自分はそうであってほしくない」と無意識に願っている姿に,実際にはなってしまっていることが多いことも知っておこう。
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