「ヨーロッパの火薬庫」から「ヨーロッパが火薬庫」の時代へ
1世紀前には,バルカン半島が「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれていました。
そして,サラエボ事件をきっかけにして,第一次世界大戦が勃発しました。
現在は,ヨーロッパが「世界の火薬庫」になろうとしています。
二つの世界大戦を通して・・・特に第二次世界大戦後には,多くの植民地も独立し,
世界のなかでの地位を相対的に低下させたヨーロッパ諸国は,統合によって
生き残る道を模索してきました。
それが今,分裂の危機に直面しています。
週刊東洋経済3月7日号の特集は,『1冊まるごと欧州』で,
「2015年最大の火薬庫」というコピーが使われていました。
とてもわかりやすい図解が39~40ページに掲載されており,
言葉で説明すると,以下のようになります。
EU内での「優等生」はドイツ,オランダ,北欧諸国。
「問題児」はギリシャとイタリア。
英国ではEUからの離脱を訴える政党が躍進。
フランスは新聞社テロで極右政党に勢い。
EUと他国との関係は,石油・ガスの最大輸入相手国ロシア
とはウクライナ問題で対立。そのロシアは原油急落によって打撃。
原油急落は,中近東の国々も直撃し,EUへの移民流入が加速。
この図解の下には各種データのグラフが示されており,
世界最大の経済圏であるEUの世界経済に与える影響の大きさを,
低空飛行を続けるGDP,減少が止まらない雇用,需要不足による
じりじりとした物価の下落など,マイナス要因で満たされてしまっています。
「カリスマ講師」細野真宏氏のたとえは,
「今の欧州は学級崩壊状態」というもの。引き金となったのはギリシャ。
強力な支援を行うかわりに,構造改革を強要される・・・・。
支援に反対の国もあるし,公務員の反対で構造改革を進められない国の事情もある。
日本のように1つの国の中では,地方の若者が都市で働いてお金を稼ぎ,
自力で生き残れない地方には,都市で稼がれたお金を政府がまわして支える・・・・
こういう地方の生命維持装置に反対する都市の住民もいるでしょうが,
地方の人の数が多い国会では,地方維持の仕組みは守られます。
しかし,EUは,違う国の人を助ける,というかたちになる。
だから,国が国を「見捨てる」というかたちになりかねません。
その国の労働を支えているのは他国からの移民だったりして,
「相互扶助」のイメージをどこまで広げて維持できるかがEUの生命線になっているわけですね。
このEU情勢を学校にあてはめると,とてもわかりやすい教育問題の現状に行き着いたのですが,今日はやめておきます。ブログは「火薬庫」であってはならない,というのがブログ村の方針ですから,それを守りましょう。
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