教師のかかわり方ひとつで子どもは変わる
教師になりたてのころなどに,一度くらいは聞いたことがある言葉だろう。
たったひとことで子どもは傷つき,たったひとことで子どものやる気に火がつく。
そんな経験をもった教師たちが,若い人たちによくかける言葉である。
しかし,長年教師をしていると,「かかわり方」はそれなりの長い期間のあり方が問われてくることがわかる。
長い期間にわたる励ましの結果,あるひとことで火がつく・・・
コップの水にたとえれば,あと一滴であふれるというタイミングでかける言葉が大切なのである。
褒め方にもさまざまある。
おいしいご飯ばかりを食べて育った人には経験できないような
「おいしさ」を味わえるようにするために,普段は質素な食事を心がける・・・といったようなかかわり方もある。
こんなことを考えていたら,先日のある先生方の態度に唖然としてしまった。
生徒同士が話し合いをしているときに,自分たちは遠くで椅子に座って休んでいた。
今,その瞬間に,その生徒が話す一言に関心はないのだろうか。
今,その瞬間に,その生徒がした表情のわけを知りたくはないのだろうか。
そう。教師のなかには,子どもとの「かかわり」に関心のない人がいるのである。
関心がありすぎて,子どものなかにすぐ介入してくる教師も考えものだが,
少なくとも子どもは「かかわってくれる先生」という目で見てくれる。
教師のかかわりに関係なく,よい成長を遂げる子どももたくさんいる。
しかし明らかにかかわりを求めているようなタイプの子どもに近づくことができない人を,
「教育者」とは呼べない。
これからは,教師を「教育者」と「教育関係者」に分けて考えてみたらどうだろう。
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