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短時間での意思決定を嫌がる日本人気質は変えられるか?

 日本企業の行動や意思決定が遅いというのは,よく知られていることのようだ。

 その理由として,以下の3点を『「世界で戦える人材」の条件』(PHPビジネス新書)で挙げているのが渥美育子である。

 1 あまりにも人間関係中心の社会

 2 コンセンサスによる意思決定が民主的で正しいという思い込みと,リーダーシップの欠如

 3 世界の大変化と連動していない

 私が教育現場の「意思決定の遅さ」と聞いてすぐに想起するのは,

 石巻市立大川小学校である。

 東日本大震災に伴う津波によって,校庭にいた児童108名中の74名と,教職員11名中の10名が亡くなった。

 地震発生から津波の到達までの50分間という「避難するには十分な長さの時間」のうち,ほとんどが点呼や避難行動に関する「議論」で費やされたらしい。

 対照的なのは,全員が無事だった2校の小学校である。

 児童による自主避難が実施された釜石小学校,すぐに高台に避難させた門脇小学校。

 失われずにすんだ命の重みははかりしれない。

 この話を持ち出すと,「命」の話と「その他」の話は別だ,という反応がすぐにかえってくる。

 長時間議論した上での決定による「大失敗」は,「しかたがない」と思えてしまうような空気だからこそ,しないですむ失敗を繰り返すのである。

 短時間で決めたことが「失敗」すると,「とりかえしのつかない,あきらめきれないもの」と思えてしまう人間が多いうちは,いつまでも「大失敗」が繰り返されるのだろう。

 もっと短時間で決めたことの「失敗」に慣れるべきなのか。

 「失敗」の原因を,「短時間で決めたから」ですまされないようにするためには,短時間であらゆる検討がしっかりと加えられるような仕組みをつくることが大切だろう。
 
 また,どこまでの「失敗」が許容されるのか,その点については十分な時間をかけての議論と共通理解が必要だろう。

 「スピード感のある議論→決定」の訓練を積める教育内容も検討すべきかもしれない。

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  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
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    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
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    「楽毅」第二巻より