日本ほど「革命」が陳腐なフレーズで語られる国はないだろう
「革命」とは,それが導入される以前と以後で,社会のようすが一変するような「大変化」をさす言葉のはずである。
それが,日本では何でも「革命」になってしまうから,子どもが感じる「革命」という言葉の価値は,200円のものが100円で売られていることを驚く程度の認識になってはいまいか。
「タブレット革命」という言葉を記事で読んだが,今や一般家庭でも広がりつつあるタブレット機が,授業を根本的に変えると期待する人たちは,よほどまともな授業に出会えなかった経験の持ち主なのだろう。
「IT革命」なら,それなりの継続性をもって日々進歩しており,たとえば携帯電話の機種を2年で換えるのが当たり前の時代が,1年単位になるかもしれないくらい,変化のスピードが速まっている。
「市民革命」なら,身分制社会が一気に崩れるような大変動が起こり,
「産業革命」なら,工業化の進展,輸送手段の変化が「弱い地域」の「植民地化」がより容易に行われるようになった。
「強い者が勝ち残る時代」が続いており,「強者と弱者の格差」が問題視されるようになったが,現在の弱者が勝てる方法は今のところ見つかっていない。
だから,今の日本では,「タブレット革命」を起こすということは,本当の意味での「革命」と同じくらい,「あり得ない」ことなのだろう。
「タブレット革命」の実現には,悲しいことに多額な『お金』が必要である。
「個人負担」にしているところでは,やがて「成果に乏しい」ことを理由に「反対運動」が起きるか,「敬遠」される原因になるだろう。
私がもし本当の意味での「タブレット革命」を起こすとしたら,「学習を支援する教師が不要になる」ことを前提とした授業へのタブレット機の導入である。
塾ではコンピュータ画面の前に受講生を座らせてこれをやっている。
そんな「革命」を起こすメリットは,「人件費が削減できること」くらいだろう。
学校現場は,利益を出す必要がない。
しかし,だからこそ「仕事の手を抜いている」と批判されやすい場所でもある。
教師は,もっと「汗水たらして」仕事をすべきである。
今は,子どもが自由自在に使いこなしているタブレット機を前に,教師が冷や汗をかいている姿しかどうも想像できない。
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