小学校にばかり出入りしている指導主事と大学教員の視野狭窄
一般の人はあまりご存じないかもしれないが,元小学校の先生だった人が,大学の教員になっている例は少なくない。
このこと自体,私はたいへんよいことだと思っている。現場経験がない・・・だけでなく,教員免許ももっていない大学の教員に,公立学校の教員になろうとしている大学生を果たして教育できるのか,疑問だからである。
ただし,小学校の教員時代に培われた(?),中学校に対する憎悪に使い印象を引きずって仕事をしている人の様々な問題発言には,辟易とさせられる。
指導主事時代も似たような経験をしたことがある。
小学校籍の指導主事と,話がかみ合わないところがあるのは,主に学習指導や生活指導という,「指導」の根幹に関わる部分であった。
余計な憶測だが,中学校教員のかみ合わない小学校籍の指導主事や小学校出身の大学教員自身の個人的な教育の環境が,「小学校時代は黄金時代」「暗黒の時代は中学・高校」だったことも影響しているのかもしれない。
こうした大学教員が頻繁に出入りしている小学校の「教育熱心な教員」のイメージを,あたかも全小学校を代表するようなものとして文章を書いたり,優れた実践を残している中学校にはろくに入ったこともなく,中学校の授業はみんなだめだ,何とかするべきだというバランス感覚ゼロの文章を残したりすることが,大学というなんでもありの世界ではまかり通っていることは看過できない。
ごくごく当たり前の話だが,誰が何を書こうが,すべての小学校やすべての中学校がそうである,というつもりで書いているわけではもちろんないだろう。
「政治家は~なものだ」とか,「小学校の教師は~だ」という言い方は,多くの人がそのような経験をしたり,実感をもっていたりするときに共感を呼ぶものであり,いちいち「私の知っている政治家は~」などと断ることがない。
残念ながら,バランス感覚に欠ける文章は,学会という場所で配られる紙には書いてあるのだ。
将来,社会科教師になる学生も,このような大学で学んでいることは気の毒である。
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