どんな事務仕事でも「雑務」と呼ばない人を教員に
教員がある仕事を「雑務」と呼んだとする。
それを子どもが耳にしたとする。
その子どもの親は,そういう仕事を主要な責務として働いているとする。
子どもは,教員の言葉をどのように受け止めるだろうか。
「お前の親の仕事は雑務だけだ」という意味になる。
どんなささいな書類づくりでも,公務員の仕事に「雑務」などない。
ところが,教員は,たいせつな成績処理ですら,「雑務」だという。
「オレの仕事は音楽のよさを子どもに伝えることだ」などと主張する。
そういう勘違い人間を公務員にする必要など,どこにもない。
今の日本では,子どもはいつでも自分の好きな音楽を聴くことができる。
私も経験したが,教員の自己満足いっぱいの授業に出会うと,子どもは「嫌い」になるのである。
部活動のように自らすすんで活動する場所を選んで参加している子どもに対する話と,授業の話が区別できないような人間がいるのは確かなことである。
教員の「楽をしたい」病は,成績処理の話題になると,さらに熱が上がる。
成績処理は,たしかにコンピュータを使うと便利である。
今時,平均点を電卓で計算している教師はいないだろう(いや,いても全然かまわないのだが)。
しかし,何でもかんでもコンピュータやソフトにたよるのは考えものである。
たとえば指導要録などは,手書きでつくるべきである。
それが,今や調査書さえ,パソコンで作成できる時代となった。
コンピュータが使えると聞くと,それにたよろうとする人間が教師のなかでも増えていくが,
これまでは起こらなかったタイプのミスが同時に増え始めている。
入力ミスを筆頭に,成績の入ったUSBメモリを盗まれるとか,どこかでなくすとか。
私も,仕事のやり方について,何度か主張したことがあるが,どちらかというと
「楽をする」方向に先生方の意見は流れがちになる。
どんな方法であれ,私の場合は「(時期を)早く,(行動を)速く,処理したい」のが第一理由で,
一手間かかるが確実に終わる選択肢をとりたい。
しかし,それが「大変そうな仕事」に思えると,突然反対する教師が出てくる。
それをやるのは私なのに。
この思考回路は,まだ私には解明できていない。
それが同僚の私に対する「やさしさ」なのか。
そんな配慮は結構である。こっちはすぐに終わるのだがら。
今,すぐ,そこで,終えられる仕事が,終えられなくなるような,
「まどろっこしさ」が今の学校には怨霊のように息づいている。
「仕事は平等であるべきだ」という信仰がもとにあるのか。
心からのお願いがある。できる人にやらせてほしい。
能力は神様は平等に与えてくれていない。
仕事に対するやる気も平等に授けられていない。
だから能力とやる気がある人が,実力を発揮できるような職場であってほしい。
教員は,仕事に対する姿勢を最も長く生徒に見せている存在である。
仕事上で楽をしようとしか考えない教師に学んだ子どもが,今,親になってどうなっているのか。
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