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「空間的」視野と「時間的」視野を広げる社会科の使命

 「広い視野に立って」・・・中学校社会科の目標の冒頭にあるフレーズである。

 多面的・多角的な見方や考え方を身につけるのはそう簡単ではない。

 しかし,国際的な視野という空間的な広がりのもとで考えることは決して難しいことではない。

 単純な情報はいくらでも入ってくるからである。

 しかし,外国で起こっている出来事を,自分の都合のいいように一面的に見ているだけでは,「国際的な視野」を広げることが逆効果になる恐れがある。

 ヨーロッパ諸国が地球の5分の4を植民地にしていた100年前,ヨーロッパ人にとっての「国際的な視野」とは何だったのかを考えてみればよい。

 日本にも規模は大きくはないが,そういう意味での「国際的な視野」を持つ時代があった。

 ところが,「時代遅れ」の「国際的視野」はその稚拙さが際立つばかりか,「強さだけの正義」の生け贄となった。

 もし「経験値の低さ」がデメリットになるのだとしたら,その弱点は何で補えばよかったのか。

 それは「時間的な視野」である。

 世の中の変化のスピードは,加速度を増している。そのために見失いがちになっているのが,ごくわずかな期間の「積み重ね」である。

 せっかくの「積み重ね」がリセットされてしまうようなことが,数十年のスパンでよく起こる。

 世代間で「積み重ね」が受け継がれにくくなる長さであるとも言える。

 地理は,様々な規模の地域の特色をどう捉えたらよいかを学ぶ。

 歴史では,様々なスパンの歴史の特色を学ばせるようになっている。

 これからは,多様な時間感覚の「積み重ね」意識を高めることを重視したい。

 1時間という短い時間でも「積み重ね」はできる。

 しかし,たった5分の「遊び」で,30年の「積み重ね」を無にしてしまうこともできる。

 時間には,空間にはない「重さ」がある。

 空間には,時間にはない「置き場所」がある。

 「軽い」人間や「根無し草」ならないようにするために,

 社会科教育はなすべきことをなさなければならない。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より