お母さん,あなたの話はゴミですよ
特に大学院を卒業するような,世間の常識とかけはなれた人間との付き合いが長い経験をもつ人が教師になると,教師としてというより社会人としてそれは通用しない,という行動をとってしまうことがある。
担任をもった子どもの保護者との会話で,そのような社会性に乏しい言動が表われ,問題化することがある。
「俺は~の専門家だ」という自負は決して捨てる必要はないが,
「その点について,お前は俺以下だ」という態度を全面に出すのはいけない。
「~だというが,その根拠は何か」と問いただすまではぎりぎりセーフだが,
「根拠もないのに~だと苦情を言ってくる,あんたの言葉はゴミなんだよ」と口にしてしまう教師がいる。
これは指導力不足教員に見られる代表的な態度の一つである。
指導力不足教員の指導力不足の露呈は,多くの場合,保護者対応から始まる。
学級崩壊から始まるケースも多いが,
問題に対する問い合わせを保護者から受けたときの対応から,
「ああ,想像通り,この教師はとんでもない人間だな」と気づかれてしまうことが一般的である。
人間関係力,対人関係力,コミュニケーション能力などと呼ばれる力は,直接子どもやその親と接している場面でしか評価できないところがある。
だから採用試験の面接や模擬授業等では見抜けない問題なのである。
どうしてわざわざ相手を怒らせる行動を教師はとってしまうのだろうか。
大学での研究・教育のあり方が,「批判的精神を養う」「科学的・論理的合理性を追究する」点に偏っているために,「建設的な人間関係の形成や人格形成が苦手」な人を増やしているせいだろうか。
私は,教師であると同時に,保護者である。
教師も,親になってみないと,わからないことが多いのかもしれない。
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