教師は苦しい環境の中だからこそ育つ
教師は,厳しい環境の中だからこそ,成長できる。
そういう信念がある人事の担当者は,優秀な人材を
惜しむことなく荒れた環境の学校に送り込んできた。
荻生徂徠の『政談』では,人材登用がトップの最大の役割
だと強調している。
>国を治める道は,人を知る事が一番肝要なことだ。ではいかにして人を知るかといえば,その人を一日観察すればその人の器量がわかる訳ではない。
人を知るというのは,使ってみてはじめてわかるのである。そうでなく自分の眼識で人を見分けようとすれば,所詮自分好みに合った人を,器量ある人だと思うことになる。愚の至極である。
>太平久しくなれば,能力のある人は下から出て,上の人は愚かになっていく。というのも,すべての人の才智というのは様々な難儀や困窮をするところから生まれるものだからである。
耳の痛い話である。
異動先の学校が荒れていると嘆く教師が情けないのは仕方がないとして,
落ち着いた学校に異動して喜んでいる教師には,その環境がどれだけの落とし穴になっているか,想像できるだろうか。
「その教師たちが学校の荒れを招いた」と評価される日が想像できるだろうか。
「どうせ数年で異動だからどうでもいい」と無関心でいられるのだろうか。
教師は,どのような環境にあったときに最も成長できたと思える存在なのだろうか。
このプロセスを経験したことがない「大学」という閉鎖空間で長い年月を過ごしている「教員」たちには,わかるはずもない問いである。
「学生のレベルが低くてやりがいがない」と思っているような教員に,「教師」が育てられるわけがない。
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