内田樹による「東大の評価」~それはひがみか?強力な自虐か?
大学教育は・・・特に独立行政法人となった,国立大学は・・・・
今,「文部科学省附属大学」になろうとしています。
その「最優等生」の定義もさまざまあるでしょうが,
一般的な国民が思い浮かべられるのは「東京大学」でしょう。
その東大に関する内田樹風の嫌味が,以下のようなものです。
>たしかに東大は「他の誰かがルールを決めてしまったゲーム
に後から参加して,そこで高いスコアを取る」ための知的技術
の教育機関としてはすぐれた戦績を残してきた。けれども
「誰もそこでゲームができると思っていなかったフィールド
でゲームを始める」タイプの知性を生み出すことについては
ほとんど見るべき成果を残していない。
(『内田樹の市民大学講座』朝日新聞出版より)
「前者すらできない大学はどうなるのか」というより,
「後者ができるからどうなるか」はだれにもわからない
わけですが,もともと引用した箇所は,「世界標準」を追い
求めようとする人間を批判しているコラムの一部ですから,
本当に言いたいことは別にあると考える必要はあります。
秋入学という「世界標準」を考え出した東大に,他大学が
「迷惑な話だ」と本音で思っていることは,別に大学関係者
ではなくてもわかります。
グローバル化に「順応しよう」という意識ではなく,
グローバル化の「新しい波をつくろう」という意識をもって
ほしいのは,ほかでもない,大学という「知の頂点」にある
教育・研究機関です。
できるだけはやく,「省の附属物」の地位から抜け出て
ほしいと思います。
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