「わからない」ことの受け入れ方を教えられない人間は教師には向かない
どんな人間にも,解決できない問題がある。
知らないこともたくさんある。
理解できないこともある。
「田を耕す」という行為が,土に住んでいる微生物にとって何を意味しているか,説明できる小学生はどのくらいいるだろうか。
人間は,「わかったつもり」になっていることが非常にたくさんある。
「わかったつもり」でいることが,生き延びる技の一つであると誤解させる場所が小学校である。
どうして小学校では,「わかる」ことを重視するのか。
どうして小学校の教師は,「わからない」と言われることを怖がるのか。
「わかった」といういい加減な態度が,どれだけ知の発達を遅らせてしまうかを「わかって」ほしい。
生活指導の甘やかしももちろんだが,
学習指導での「甘やかし」は,子どもの一生に決して小さくないマイナス効果を植え付ける。
「わかる」ことは,実は,非常に難しいことなのである。
簡単に「わかる」ことが心地よいのは,裏を返せば,
「わからない」状態でいることを受け入れらない感覚を生むことになる。
「わからない状態」との付き合い方が日本人は苦手である。
それが「英語が話せない」要因の一つであると私は考えている。
「間違い」のが恥ずかしいというか,「悪」だから,と受け止めてしまい,
なかなか話し出せない人は多いだろう。
中学生の段階では,「失敗することの価値」を思う存分味わってもらう。
そして,小学校時代の自分がいかに「知的に幼かったか」を噛みしめてもらう。
大人びた中学生というのは,小学校時代にそういう知性に出会えた子どもたちである。
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