「評定を甘くしろ」と指示する管理職
研修で学校にみえていた教師から,こんな相談を受けた。
「自分がしっかりとしたデータに基づいて評価・評定を出したら,
もっと5を増やせと言われた。」
こういう学校がたくさんあることを私は望んでいる。
なぜなら,教師がまともで,管理職がダメな方が,
管理職がまともで,教師がダメな学校よりも,生徒にとってはよいからである。
もし,「もっと5を増やせ」などという命令を受けないように,
あらかじめ評価を甘くしておく,なんていう教師が多いようであれば,
もはや中学校の評価・評定システムというのはまともに機能していないことが
明らかになってしまう。
まだ,管理職に注意を受けるほど,
「厳しい」・・・ということは,たいてい「妥当な」評価を下しているものと考えられるからである。
親の苦情を真に受ける校長は,
「苦情がこない評定」を望む。
それはつまり,「甘い評定」のことである。
文部科学省の管轄では,こういうシステムの大疾患に対する
治療は無理なのであろう。
第三者機関が必要である。
誤っていることを,「正しいということにして」放置するのは,
波風を立たせないことを旨とする「道徳」の社会の話である。
誤っていることを,「誤りです」と言える立場の人間はだれだろう。
実はそれは,現場の教師しかいないのである。
あるいは自分自身も含めて,仲間が誤っていることをしていることを
証明するような仕事が仕事として成立するのだろうか。
これが成立できる条件を整えてくれる人はこの国にいないのか。
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