中学生の学力を向上させたければ,教科学習以外の面を充実させること
学力向上を研究テーマにするとき,ほとんどの学校は
教科の指導法などを改善しようと努力します。
しかし,教師に本来は任されているはずの教科指導に手を入れなければならないような学校では,短期的な成果をあげることはおろか,中長期的にも難しいでしょう。なぜなら,公立学校の場合,時間がたてば教師は異動でいなくなるからです。
学校をあげて大きな変化を起こそうとしたら,教師がどんなに替わっても,
変わることのない取り組みを始めるしかありません。
そういうことを大学の教師は教えてくれないでしょうね。
せいぜい年間に1回か2回の研修にしか呼ばれないような人間には,
自分の研修の成果を確かめるような「自己評価」の機会も与えられていないから,
「変わる実感」と「変わったよい状態が継続できている=変わらない実感」を
味わうことはできません。
学力向上を本気になって取り組みたい学校では,
最初に「聞く力」の追究をテーマにすることをおすすめします。
「言語活動の充実」を図ろうとしている学校が陥っているワナは,
「話す力」を高めることを重視しすぎて,「聞いて考える力」が全く養われていない
ことに気づけないことにあります。
発表する方ではなく,それを聞いている方に教師は注目し,理解できているかを
評価しなければならないのです。
今,はやりは,「ユニバーサルデザイン」=「UD」でしょうかね。
「視覚化」などという,視覚障害者をバカにしたようなモデルを平気で提唱している
意味不明な「ユニバーサルデザイン」ですが,黒板に書く以前に,
「聞いて考える」あるいは「読んで考える」
力がないのに,「話す力」がつくわけありません。
英語の日常会話のように,「思考」を伴わない条件反射的なコミュニケーションが
いくら上手になっても,グローバル人材になる道は遙か彼方です。
生徒の「聞く力」はどのようにすれば育つのでしょうか。
それは,生徒に「語らせる」ことです。
何?「話す力」のことか?と思われたかもしれませんが,
「語り」は独り言でもよいのです。決まり文句でもよいのです。
理想は,本心から「伝えたい」と思えることを「伝えさせる」ことです。
さらに大切なことですが,生徒が「伝えなければならない」と思える
ことは,あまり教科の学習の中には登場しません。
生活です。日常的な,学校生活の場面です。
「伝えなければならない」状況に,どうしたら,多くの生徒を導くことが
できるか。生徒の自治活動です。
「学年集会」を中学生に企画させてみて下さい。
私の学力向上策の第一歩は,生徒主催の「学年集会」にありました。
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