基礎・基本は「知識」だけではないことに注意!
教員採用試験の面接試験で聞かれたら絶対に答えられないといけない質問の一つが,
>学力の3要素は?
です。
解答は,
① 「基礎的・基本的な知識・技能の習得」
② 「これらを活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力など」
③ 「主体的に学習に取り組む態度」
の3つになります。
少しレベルが高くなりますが,
>「学力の3要素」という言葉を初めて使ったのはどこ?
と聞かれたら?
さらに,何を重視すべきと考えられていたところからの提言か?
中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会内に設置されたワーキンググループがありました。
文書名は,
「児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループにおける審議のまとめ」(平成22 年3 月)
です。経緯はこのグループ名からわかります。
残念ながら,観点別学習状況の評価の変更までたどりついていませんが,
できれば早い時期に「前言撤回」で自分が優位に立てる人間がトップになって着手してもらいたいものです。
さて,誤解されやすいのが,
①の「基礎的・基本的な知識・技能の習得」で,
ここには「知識・理解」の「基礎・基本」ではなく,
「資料活用の技能と表現」の「基礎・基本」も含まれています。
ですから,教師が話をしてばかりいて,
「ここをおさえておけば(だいたい教科書の太文字部分だったりする)いいだろう」
なんていう態度でいると,習得できないのが「技能」なのです。
③の「主体的に学習に取り組む態度」なんて評価はできないから,
説明だけで時間のほとんどを費やした方が,「授業が進む」と考えている教師の場合は,
間違いなく②「課題を解決するための思考力・判断力・表現力」の評価はできません。
なぜなら,それを評価できるような場面が授業にないのですから。
まだ授業の「基礎・基本」の概念が理解されていないのが学校現場の課題です。
授業の指導はどんなに待っていても変えられない。
だから,評価から変えていく。
そのためにも早く見直すべきなのが,観点別学習状況の評価です。
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