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ミッドウェー海戦と市和歌山高校の敗戦の共通点

 高校野球では,まさかの幕切れというのがときどき起こる。

 3塁ランナーがホームベースを踏んだ瞬間に負けになるのがわかっていながら,

 守備の巧い2塁手が1アウトで1塁に送球してしまった。

 作戦上,ダブルプレーがとれるゴロの場合,2塁に送球するという選択肢もあったことが,

 不意のイレギュラーに判断力が失われ,本来はあり得ない1塁送球というミスを生んだ原因だと考えられる。

 この出来事をスポーツニュースで知って,

 すぐに頭に浮かんだのが,日本のミッドウェー海戦での大敗北である。

 土壇場の大事な場面では,狙いを一つに絞るというのは鉄則なのだが,

 高校野球の場合,守備に自信があったために,「2つのうち,いける方でいく」という贅沢な作戦をとってしまった。

 もちろんダブルプレーを狙っても,1塁がセーフになれば試合終了だが,

 結果として,「2つのうちのどちらでもない行動」をとってしまったのが,大ショックを生んだのだ。

 ミッドウェー海戦において,空母の中で爆弾の積み替え作業を行っていた人たちは,どんな気持ちで爆撃を受けていたのだろう。

 指揮官の判断ミスを呪っていたのだろうか。

 上官の命令には絶対服従だった人々は,最期に何を悟ったのだろう。

 どちらもミスした側には残酷な結末が待っていた。

 高校生には,今回のミスから学んだ教訓を生かすことができるこれからの人生が待っている。

 国の指導者には,

 こういうタイプのミスを犯してくれるな,と切に願う。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より