連続100時間の「勤務」が終了~それでも教師になりたいですか?
今晩は,4日ぶりに布団で眠ることができました。
4時間くらい熟睡できたのですが,こういうとき,目覚めた直後にいいアイデアが浮かぶことが何度かありました。
今回は,大きな方向性が1つ定まったのが収穫でした。
熟睡したとはいっても,常に4つほど頭の中で考え続けている大きなテーマがあるので,熟睡できているかどうかはわかりませんが,すっきり目覚めた瞬間にひらめくという人は少なくないようです。
教員の仕事は,今回の私のように,ときどき「激務」になります。
来週からは教育実習期間になるため,また同じような毎日が始まります。
何度もこんな週が訪れたら,「激務」は「通常勤務」と同じ意味になります。
教育委員会にいたときは,帰宅がタクシーになっても,3時間くらいは布団で眠れました。
以前も書いたように,教育委員会の指導主事の仕事は「激務」だと言ってみても,
荒れた学校に勤務して立て直しを図っているころに比べれば,はるかに楽な仕事でした。
責任だけやたら重い物を背負わされていましたが,仕事の内容はだれでもできるようなものも多い(だから失敗できないというプレッシャーも強いのでしょう)のです。
私の場合は,どうしようもない授業や生活指導をする教師や,問題行動を起こす生徒への「怒り」が活動の原動力=「生きる力」になっているところがあって,
ある意味ではそういう環境に感謝しなければなりません。
長生きしない人間の典型のような仕事の仕方ですね。
もちろん,怒りがストレスになり,逆効果になってしまう教員もたくさんいます。
そういう経験をしないですむ教員もいるかもしれません。
金曜日に家族と夕食をとれる教員も,ある程度はいるでしょう。
こういう話を聞いて,「教員になるのはやめようかな」と思う人がいるかもしれませんが,
個人的には,ぜひとも他の職業を探していただきたいと思います。
ブラック企業であることがわかって入社して,文句を言う,というのも,
「ブラック企業の改革が私の仕事だ」
「ブラック企業の殲滅が私の使命だ」
と考えているならわからないでもないですが,
やはり教育現場に入るには,それなりの覚悟と使命感をもっていてほしいのです。
多くの人は,教員に採用される段階では未婚で,もちろん子どももいないでしょう。
もう一つ,覚悟しておいてほしいことは,
教員というのは,自分の子どもの教育が非常にやりにくい,ということです。
当たり前ですが,自分の子どもの授業参観に行くために,自分の学校の公開授業を自習にするような人間はいません。
ところが,あまり「教員の子どもはかわいそう」「教員の子どもは不登校が多い」「教員の子どもはろくでもない」
などという「風評」が広がると,教員は仕事に集中できなくなり,仕舞いには,上に挙げたような行動を起こす教員が出てこないとも限りません。
公務員が同情を買うようになっては,国も終わりです。
日本の社会が,私の身近なところでは教育界が,坂道を転がり始めているのだとしたら,止めるのは少しでも早いほうが後が楽です。
ところが,こういうことを考え始めるときというのは,改革後には自分はいない,という時間的な問題があるもので,強いモチベーションを長く維持していくのは難しく,改革はしたとしても,「やりっぱなし」になってしまうのです。
若い人に,・・・・教育界を立て直すという強い意思をもっている若い人たちに,
できたら教師を目指してほしいと思っています。
やりがいのある仕事というのは,「これ以上は働きたくない」とは思わない仕事のことではないですか。
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