大人による子どもの荒れの原因の「単純化」が招く子どもの荒れ
授業づくりだけでなく,生徒理解についても,今は教員研修のメニューも多様化しているから,わかったようなつもりになっている教師は少なくない。
研修の本来のねらいは,「分かったつもりになるな」という教訓を脳裏に釘を打ち込むようにたたき込むためにあるのだが,どうも「正解がないと気が済まない」というテストの害毒に犯された人間が教育関係者には多い。
思春期の子どもの「荒れ」の原因ほど特定するのが難しいものはない。
大人や教師は,その「理由」を知りたがったり,わかったつもりになりたがったりするものだが,
そういう態度そのものが子どもにとっては「ムカツク」原因にもなる。
荒れている生徒の側にも,その理由など分かりはしないのである。
分からないからイライラして落ち着かないのであって,それをもっとイライラさせるのが,
こうだからだろう,ああだからだろう,と詮索したり納得したりしたがる大人や教師の態度である。
問題の原因や背景を単純化し,解決できるつもりになるような人間は教師には向かない。
そういう人間がいるだけで,子どもの荒れが増幅する原因になる。
研修などでは耳にたこができるほど聞かされる話だと思うが,
生徒が荒れている原因を分かろうとする態度ではなく,
生徒が荒れずにはいられないという心の不安定な状態であること,その原因は単純なものではないという事実を理解することや,最大の要因は自分にあるのかもしれないという想像力こそが大事なのである。
気の毒なのは,勝手に「おまえには上昇志向がない」などとレッテルを貼られて迷惑がられる生徒である。
教育現場で生徒だけでなく,同僚にも最も嫌われる教師というのは,
勝手に分かったつもりになっている人間である。
書かれていることそのものが,「担任を持たせるわけにはいかない」教師の典型のような「お手本」がある。
トラブルメーカーの標本にしてあげたいくらいである。
自分がトラブルの原因になっていることを自分の脳では絶対に認めないしくみになっているのが究極のトラブルメーカーである。
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