総合的な学習の時間の意義がまだ知られていない
総合的な学習の時間が破綻していることを問題にしているブログがある一方で,
今さらながらにその意義を訴えているブログがある。
共通するのは,両者とも総合的な学習の時間の指導を経験したことがない「部外者」が語っているということだ。
「ゆとりのなかで生きる力を育てる教育」の目玉に,
この「総合的な学習の時間」があった。(というより,今も,ある。)
その成果を10年以上にわたって出し続けている学校がある。
ただ,その価値を直接知ることができない人がほとんどである。
学校の充実した教育のニュースは,公開されることはないし,
学校の側も,それを公開する暇はない。
そんな暇があったら,学校の教育の充実の方に時間を振り向ける。
しかし,それを邪魔しているのが中央官庁の仕事である。
地元の教育委員会のように中央官庁の末端としてこき使われている事務所は,
現場の大変さを知りつつも,少しでも余裕のある学校や教師を犠牲者にして,
中央官庁に「ご奉仕」させているが,本来,奉仕すべき対象は地元の子どもたちでなければならない。
地道な教育活動で地域社会の基盤を固める役割を担っている学校も数多くある。
そういう学校では,地域と学校と結びつける絆として「総合的な学習の時間」を活用している。
社会への窓であると同時に,学校の窓として,社会から見える教育活動の柱を「総合的な学習の時間」にしている学校への訪問をおすすめしたい。
大昔の教育者を引き合いに出すのもいいが,学ぶ対象は目の前にある。
本の世界に埋没していては,真の学校教育の姿はいつまでたっても語れない。
時間が有り余るほどあり,それで教育のことを語りたければ,自分の足で優秀な教育実践を探しだし,見定めて,公開してくれるとありがたい。
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