「嫌いな人」「嫌いな子ども」をつくらない方法
小学校時代の話で中学生からよく耳にするのは,
「担任のお気に入り」「担任からの嫌われ者」の話である。
ある小学校では,男性教諭が,(何年生の話かは,あえてここではふせておき,ご想像にお任せしたいと思う)
休み時間に,「お気に入り」の女子を膝の上に乗せて歓談していることがあったという。
この話は「焼き餅」の感情で語っている面もあるようだが,
われわれ中学校の教師から見れば・・・いや,世の中のあらゆる父親(母親も?)の目から見ても,
「あり得ない」話である。
一方,「嫌いな子ども」の存在も,教室内ではっきり認識されるようで,
「よく怒られる」「怒られ方がほかと違う」「いいことをしたときは無視される」などの
「仕打ち」の状況が語られる。
ここまで露骨な犯罪的行為,人権侵害行為が起こるのはごく一部の学校だろうが,
同じ人間であることから,
どこで起こってもおかしくないということも実感できることだろう。
教師の立場なら,
「子どもを嫌いになりたくない」が,「嫌いになってしまう自分がいる」ことに悩んでいる人もいるだろう。
教師に向いていない人のパターンを明確に指摘すると,
「できなければいけないことができない子ども」が嫌いになるような人間。
こういう人間は,教師になってはならない。
「私の言ったことを,言われた通りにしない子ども」が嫌いになるような人間。
こういう人間は,親にもなるべきではない。
思い通りにならないことが世の中にどれだけあるか,
ほとんど経験しないで教師になる人間がたくさんいる。
残念ながら,同じように,親になる人間もたくさんいる。
教師の仕事とは,何なのか。
親の役割とは何なのか。
それが自覚できるだけで,「嫌いな人」や「嫌いな子ども」は激減する。
教師として残念なことは,それが自覚できないわがまま人間が同じ教師として目の前にいる現実である。
こういうのは,素直に「嫌い」になるべきである。
ただし,我慢してつきあわなければならない。
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