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「わかりやすい授業」とは?

 ~が~であることが,「すっきり」理解できた・・・・

 こういう感想が出されるのが,「わかりやすい授業」の典型でしょうか。

 しかし,そこには2つの落とし穴が待っているかもしれません。

 1つめ。

 1週間後,それが「わかっていたかどうか」を確かめる問いを出してみます。

 すべての生徒が,その答えをノートに書くことができるでしょうか。

 「わかったつもり」になっただけで,知識として定着していない・・・・・

 生徒が活用できない一過性の「なるほど感」ほど役に立たないものはありません。

 2つめ。

 そもそも,本当に「わかった」と言える状態なのか。

 以前にも書きましたが,たとえば,

 「鎌倉に幕府をおく地形的なメリットとは?」の答えは,

 「三方を山に囲まれ・・・」

 で「わかったつもり」になっている生徒は少なくありません。

 山が森で覆われている状態でなければ,敵の攻撃目標である自陣が丸裸の状態になってしまいます。

 
 「わかりやすい授業」というのは,学力向上にとっての「敵」かもしれないということを自覚しておくべきです。

 
 生徒が自分の力で,どのように考えたら答えに近づけるかがわかりやすい授業を目指すべきです。


 森の中を子どもが自分の足で歩いて,

 高いところに登り,

 視界が開けて下が見渡せる,

 そんなイメージの授業を展開したいものです。


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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より