教育と「マインドコントロール」
日本がかつて長期にわたる戦争を継続することができた背景には,教育や新聞などを通して国民が「マインドコントロール」を受けていたことがあるのではないか?
というのが,中学校2~3年生が授業で「予想」できることである。
当時の軍国主義的な教育内容,事実を報道しない新聞に関する資料から,ある程度の裏づけをすることは可能であろう。
この「マインドコントロール」という言葉を,安倍総理が「戦後教育」とセットで使ったようである。
どんな時代の教育でも,そこで「マインドコントロール」を受ける危険性がある(あった)ことを自覚することは大切である。
そもそも,「教育」という取り組み自体が,一種の「マインドコントロール」である,という考え方も成り立つ。
政府による政策に反対することは,民主主義の社会では,「堂々と行うべき」行動である。
ただし,そこでの判断で重要なのは,十分な説得力をもった裏づけの有無である。
一部の「反対勢力」は,逆方向への「マインドコントロール」を必死に実践している。
「マインドコントロールはよくない」という意見は,正確には
「私がやっている方向と逆のマインドコントロールはよくない」という意味としてとらえるべき人間は,教育界にはいくらでもいる。
だから,安倍総理のマインドコントロールされた結果がこうだった,という話は,
現状を全く新しい視点や角度で積極的に見直すべきである,という趣旨に解釈した方が,より明るい先行きが見えてくる。
「現状維持」原理主義勢力を排除することが大切なのである。
「積極的な見直し」の努力は,必ずしも「変更すること」がゴールになるとは限らない。
「改革のための改革」は,失敗に終わるしかないように思えるが,
「積極的な見直し」の努力の結果,「現状のよさの再認識」が進むこともあり得るのである。
たとえば,「少人数指導をめざす」などと言っているが,
現実的には,学級規模は現状維持をした方が,質の低い教員の数を増やす必要がなく,教育効果はむしろ高い,という結論になるかもしれない。
「現状維持」原理主義はだめだが,
「改革のための議論」の結果としての「現状維持」はOKなのである。
一度,「こうでなければならない」という発想を捨てて,何にもしばられずに,どのような教育のあり方が最もよいのか,真剣に考えてみるのがよいだろう。
足を引っ張るのが好きな勢力は,「失敗学」を「失敗させるための方法」として利用する。
安倍総理の発言に対して,だれがどのように反応するか,興味が尽きない。
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