『明日ママ』に敏感でも『今日の学校』に鈍感な人たち
ドラマによって視聴者の一部が心を痛める結果になったことは,制作者や放映している人間にとって,非常に残念なことに違いない。そちら側への同情の余地はある。しかし,「それも想定内」などという感じ方をしていたとしたら,許せなくなってくる。
実は教育現場でも,生徒に対して,教師が「演技として」冷たく接するようなケースは多々存在していた。
生徒ががっかりすること・・・それは「想定内」として,「次のステップアップ時までの貯金」として,「不満である」ことを直接伝える場合がある。
しかし最近は,「冷たく扱われる」ことへの耐性がほとんどない生徒たちが,簡単に「心が折れた」状態・・・「無気力」の状態になり,下手をすると「生命維持装置」まで故障するという事態に陥ることがある。
ここまで子どもの活力が低下した学校に,「いじめ」や「体罰」が起こる心配など皆無である。
しかし,「いじめ」がよく起こる学校より,こっちの方が問題は深刻だと言える。
教師も子どもたちも,冷や冷やしながら「なりゆき」を見守っているようなところがある。
昔の金八先生もそうだったが,テレビ画面の方では,泣くも怒るも喜ぶのも非常に大げさな,
オーバーリアクションの「生き生きとした」子どもたちが暴れまくっている。
そこまで堂々と自分の感情が爆発できれば,気持ちいいだろう,とさえ思ってしまう。
派手な問題行動を演じてくれている方が,まだ「子どもが生きている」証拠だから,学校は捨てたもんじゃない,と感じてしまう人は少なくないだろう。
現実の学校現場では,もっともっと平穏である。しかし,それは表面的なことにすぎないのではないかと,疑ってみるゆとりがほしい。
『明日ママ』に敏感になるくらい,
『今日の学校』にも目も向けてもらえると,救われる子どもが増えるかもしれない。
学校公開日でも,校舎内が非常に閑散としている学校がある。
外部の目がいかに大事かを,今回の『明日ママ』問題は教えてくれていると,強く訴えたい。
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