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神奈川県・公立高校入試問題(社会科)の出題ミスとその防ぎ方

 公民的分野の政治に関する問題で,出題ミスが発生した。

 問題は,「最高裁判所及び最高裁判所の裁判官について説明した文として誤っているものを1つ選ぶ」という単純な知識を問うものだったが,

 「誤っているもの」が2つあった。

 「正解となる誤り」とは,

>1 最高裁判所の裁判官は,国会に設置される弾劾裁判所の判断以外で罷免されることはない。

 だけのはずだったが,

>2 最高裁判所の裁判官は,内閣総理大臣が指名し,天皇が任命する。

 も,「誤っているもの」つまり,「正解となってしまう誤り」だった。

 「内閣総理大臣」は,「内閣」でなければならない。

 どうしてこのような出題ミスが起こったか。
 
 それは,2が誤答である=正しいことを述べた文であることのチェックの方法がまずかった,というか,チェックをしていなかったのだと想像する。

 この文が正しいことを,日本国憲法第6条の条文で確認しなければならなかったのに,それを怠ったことがミスの原因であろう。

 実際のところを言えば,最高裁判所の長官は,前任者が決めて,内閣総理大臣に報告し,総理はそれを閣議に出して決めるだけであるから,実質的な指名権は前任者である,というのが正解・・・・なんて問題は,公立高校の入試では出されないから,やはり教科書どおり=日本国憲法どおりの内容でないといけない。

 入試問題の出題ミスというのは,出題する側の「沽券」にかかわる問題・・・俗な言い方なら「メンツ」にかかわる問題だから,絶対に防ぐように何重にもチェックを行うはずである。それなのに,こういうことが起こった。

 ・・・神奈川県の入試問題をつくっているのはだれかは知らないが,高校の教師か高校の教師経験者が必ずかかわっているはずである。ということは,

 「そういうレベル」と見られても仕方がない,ということである。

 もっと穿った目で見れば,「間違ったことを教えていたのか」という話にもなる。

 「内閣の決定というのは,内閣総理大臣がすべて決めているんだ。閣議は全会一致が前提だから。だから,内閣総理大臣の決定といったら,それは内閣の決定と同じ意味だ」という教え方がその一例である。

 こういう邪推を引き起こしかねない事態が,今回の出題ミスだった。

 思考力とか表現力を問うために,複数の資料を使って凝った問題のつくりにするとき,出題ミスは起こりやすいが,こういうただの知識を問う問題の場合に,油断が生じやすいということもあるだろう。

 あまり入試の出題ミスが重なると,教員の学力水準への疑問にも結びつく。

 今回の出題ミスは,防げないミスではなかったはずである。

 防げるミスは徹底的に防ぐための努力を続けていきたい。


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    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
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    「楽毅」第二巻より
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