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橋下市長へ ~「優秀な指導主事」は公募では集まらない~

 橋下市長が指導主事の公募を検討しているようです(産経新聞のニュースで見ました)。

 指導主事の任用制度は都道府県によって異なるのでしょうが,

 東京都の場合は,都で選考をして,都と区市等に配属しています。

 横浜市や大阪市のように大きい市なら,独自で選ぶこともできるのでしょう。

 校長と違って,給料が教員と同じ,給与体系も役所の事務方ではなく教員と同じである

 指導主事というのは,「残業代がかからない」=コストのかからない

 使い放題の人間たちです。1日16時間くらいは電車で帰れるから当たり前に働けますね。

 これは学校現場も一緒ですが。

 一人分の給料で,時間は二人分,仕事の量は普通の教員の二倍以上はできるでしょうから

 最低でも四人の人材を一人分のお金で使える,というのが指導主事です。

 指導主事のままだと生涯賃金が安いままで気の毒だから,たいていは校長になって退職する。

 教員のころから,「いつ寝ているんだ」と言われるくらい仕事をしている人ばかりだから,

 役所に入ってタクシーで帰宅するようになっても,体だけは丈夫。年休をとることもない。

 教員時代は土日も部活動の引率があるから大変なのですが,

 指導主事になると土日は休める。これでトントンという感じでしょうか。

 国の官僚なら残業代は出るんですよね。

 都庁でも,残業が当たり前の部署がありました。

 どこかの市役所かどこかが,あり得ないほどの残業代を出して,

 超高額所得者を出していましたが,

 指導主事に金はかからない。

 私は指導主事になって,拘束時間は長くなりましたが実質的な仕事量は

 現場の方が何倍も多いので,別に給料は高くなくても不満になることはありませんでした。

 むしろ不満になったのは,やりがいのある仕事(教育)ができなくなったことの方。

 で,本題ですが,

 「優秀な指導主事」は「公簿」では集まりません。

 これが「指導主事」の「指導主事」らしいところです。

 現場でフル回転して,この人がいなければ学校がまわっていかない,研究が機能しない,という人を任用しないと,そもそも学校への指導なんてできません。

 だから,地区で力のある校長から,「お前,やれ!」と言われて,

 「直属の上司の命令ではないけど,世話になっているから断れない」という従順な人が,指導主事になっていく。

 だから,校長会への指導ができなくて,大阪市が動き出したんでしょうね。

 あれ?そうすると,

 「優秀な指導主事」を任用するにはどうしたらいいの?

 ・・・そうです。「優秀な指導主事」など,どこにもいないのです。

 優秀な指導主事とは,優秀な指導主事と学校現場に鍛えてもらってこそ,誕生するのです。

 「公簿」ではダメ。

 無理矢理,引き抜かないと。

 市長が高い実績を残している教員を探して,

 実際にその人物に会って,

 「高い志を持った人間かどうか」を確かめる。

 これしかないと思います。

 FAじゃ,だめなんですね。

 絶対に相手が離したがらない人を,無理矢理にでも引っ張ってこようとしないと。

 もちろん,中にはいるかもしれませんよ。

 金銭的な見返りを求めるような人は絶対に公募に応じませんから,

 本当にやる気がある人が来るかもしれない。

 繰り返しますが,はじめから優秀な指導主事はいない。

 それを育てる環境がないとダメです。

 全とっかえもダメです。

 地道に,長い時間をかけて,取り組まないと。

 
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コメント

大阪の教員がどの程度「荒れて」いるのかわかりませんが,指導主事として適任の人はいると思います。ただ,そういう人は,学校でがんばろうとしているから適任ということで,無理矢理ひきぬいてくるしかないのです。
その後,公募の話がどう進んでいるか,ご存じないですか?

公募では集まらないと言うより、優秀な人材がもしいても、選抜する側の教育委員会のメンバーが次ごうが悪くなるので、必ず落とし、その代わり問題行動を起こしそうな人物、あるいは採用しても全く役に立たない人物を採用するのでしょう。折角レポートで難しい課題を出しても最後の人物とやらでそれを無視した事からも、このことは明らかですし、昨年の採用者の半分以上が問題行動を起こしているのも明白な事実です。要するに採用する側の問題なのです。
教員採用についても大阪は特におかしな点があるように思います。それを長年続け、今のような荒れた教員が増えたのではないでしょうか。

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    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
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