リアリティに満ちた虚構をどう暴くか?
人間の心理を上手に利用する犯罪の一つが,「振り込め詐欺」です。
人は,何かを信じることによって生きている動物。
「その先」のことは考えずに,目の前の問題ばかりにとらわれる。
目先のリアリティばかりにとらわれて,本質的な問題に視野が及ばない。
抽象的な話についていけない。
本当のリアルとは,どういうものか,「深く考える」という習慣ができていない。
この欠点に立ち向かう智慧を,学校ではどのように育成すべきなのでしょうか。
企業の決算が「四半期」などというスパンで公表されるようになった背景はよく分かるのですが,
大学もそれに近づこうとしている。
経済的な分野で短期的な評価(実際には短絡的な評価)が市民権を得ていることが,
私たちの生活にどのような影響を与えようとしているのか。
教育と経済の違いは何か。
実は,学校現場というところでは,そういう問題への示唆を子どもたちが与え続けてくれてきたわけです。
子どもたちは,私たち教師に評価の課題を教え続けてくれている。
それにどう対処したらいいか,右往左往するばかりで,現場からはなかなか声が上げられなかった。
そろそろ現場も変わるときです。
このチャンスは,毎年きちんと用意されている。
それが「教育課程の届け」という重要な仕事です。
多くの学校では,教務主任と管理職に任せきりになっており,
一般の教師たちは「年間の行事の日程」くらいしか口を出せない。
あとは,「おまかせ」。
こんな姿勢では,いつになっても子どもたちから教えられていることが,
教育に生かされてこないのです。
子どもの実態は,どうなっているのか。
社会科で言えば,基礎的な知識がほとんど定着していない子どもが小学校から中学校に上がってくる。
小学校の短期的な業者のプリントはできても,
期末考査のような長いスパンのテストを実施していないから,
「忘れてしまっていること」にすら気づけない。
小学校のあの業者テストは,単元が終わった時ではなくて,
学期の終わりにまとめてするようにしたらいかがでしょう。
単元が終わった時には,教師が自分でつくった,子どもたちに最適なものを用意して,評価してあげる。
業者テストなんて,だれでも解けそうなものは,最後にまとめてやったらどうでしょう。
それができないことでびっくりする経験を通して初めて,
「何をしていたんだろう」ということに気づくのです。
教科独自の目標が達成できたのかどうか。
「話し合い」とか「学び合い」は目標ではなく,手段です。
教科の目標は何なのか。それを知らないで教科の授業を担当する資格はありません。
「虚像」が「虚像」であることに気づくには,どうしたらよいか。
それは,繰り返しになりますが,中学校でやっている「期末考査」のようなものを,小学校でも導入すればよいのです。
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