許していい人と許してはならない人(歴史編)
歴史を学習した小中学生に,
日本の歴史上の人物のうち,
「許していい人」と「許してはならない人」を3人ずつ挙げてください。
と質問したら,どんな答えが返ってくるでしょうか。
「許してはならない人」の方は,たとえば
「源義経を許さなかった源頼朝」
「反抗した人々を皆殺しにした織田信長」
「坂本龍馬を暗殺した人」
「日本を攻めたモンゴル人」
などが挙がってくるかもしれません。
では,「許していい人」の方はどうでしょうか。
「民衆に重労働を強いたけど,立派な大仏を完成させて国を救おうとした聖武天皇」とか,
「国書を無視したり使者を殺したりしたけど,国を一つにして侵略者を撃退しようとした北条時宗」とか?
案外,難しい問いですよね。
日本は今,グローバル人材の育成を大きな目標にしようとしています。
もしそういう人材を育てようとするなら,日本から見た日本の歴史ではなく,
外国から見た日本の歴史という視点も大切になります。
だから,たとえば「韓国の人から」という視点で考えると,
「許してはならない人」としては「豊臣秀吉」が,
「許していい人」としては「伊藤博文」があがってくるかもしれません。
歴史認識というのは,自国に都合のいいようにもっていくべきだ,という考え方があることは,
歴史の教科書に関するニュースに接するだけで中学生でも気づくことができます。
「許していい人」と「許してはならない人」の違いは何か。
「許していい考え方」と「許してはならない考え方」の違いは何か。
「寛容」がカバーできる範囲とは何か。
新年早々ですが,未来を生きる人たちには考えておいてほしいテーマです。
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