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心と頭の財産の貯め方

 歳をとってしまうと,なぜか同じ話を何度も繰り返すようになってしまいます。堂々巡りで,まるで進歩のない感じ。

 自分で気づけるうちは,まだ大丈夫だとなぐさめています。

 さて,教師は日々の仕事は本当につらいし,ろくでもない事件を同じ「教師」が起こしてしまうので,被害にあった子どものことを思うと,気持ち的にも本当にきつい毎日を送っています。

 とはいえ,教師は子どもから「成長」という名の贈り物をもらうことがたびたびあり,それが次に進むためのエネルギーになっています。

 「いつの間にか背が伸びたなあ」とか,

 「いつの間にか,打球に勢いがついてきたなあ」とか,

 「いつの間にか,言うことが大人っぽくなってきたな」とか,

 自分が歳をとっている証明を子どもの前でするようになると,教師としての「終わり」が見えてきそうな気がします。

 心は満たされたり,空っぽになったりする「気」になることもありますが,

 心の財産が入るスペースに限りはありません。

 頭の方も,同様です。

 どちらかというと,頭の方は,自分で鍛えなければならない分,なまりがちです。

 授業を見る。

 授業を見てもらう。

 1年に何度できるかで,「頭の財産」の殖え方も変わってきそうです。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より