学校統廃合は市区町村の合併よりも大事
自民党の教育再生推進法案の素案に,国が学校統廃合に積極的に関与できるという内容が含まれているそうである。
今後の日本の教育水準維持のためにも,絶対に欠かせない施策であることは今までも述べてきた。
「地域の学校がなくなること」に対する反発が多い地域では,学校を設置している市区町村はなかなか手が出せないことだったが,国が関与するとなると,予算的な措置も行われることを意味する。
反発が大きいのはもともと人口が少なく,児童生徒数が限られている地域だろうが,今後,中規模の学校が増えてくると,その「魅力」にだまっていられない親が増えてくることだろう。
施設が充実するようになる。
優秀な教師を育てる条件が整うようになる。
中学校なら,部活動がさかんになる(種類が増え,選択肢が増えるようにもなる)。
学校行事が盛り上がる。
学校内での切磋琢磨が進む。それは子どもだけでなく,教師たちにとっても。
教師(公務員)を無駄に増やさなくてすむ。
固定化した人間関係の中で苦しまなければならない子どもが減る。
学校数が減ることによって,今後,市区町村の合併もやりやすくなるはずである。
人口減少社会へのスムーズな移行を実現させるためにも,
日本らしい「集団の力」の良さを見直すいい機会となる。
これが,すばらしい施策であることを市民に納得させられる政治家がどのくらいいるかだけが懸念である。
反対する政党がどこかは子どもにもわかることだろう。
社会科の教師にとって,近くの学校との統合に,どのような意義を見いだせるか,子どもに問うという授業も成立する。そこで明らかになる,「市民感覚」の質をどう評価するかは,それこそ「市民」の仕事である。
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