すき焼きよりおかゆの方が体にいい
マクドナルドが閉鎖した従業員専用サイト。
本家本元が言うのだったら,間違いはないだろう。
砂糖が大量に含まれている飲み物をセットで注文すれば,さらに・・・。
昔の人は,貧しくて「さつまいも」を食べていた,と歴史の授業で教えるが,子どもたちにはぴんとこない。
私なども,「石焼き芋」は,けっこう高価な「ごちそう」に思える。
学校の校庭だけでなく,国会議事堂の前が畑になった時代は,今と比べれば「貧しい」時代だったと言えるだろう。
しかし,「それが当たり前」「それでも満足」という感覚で生きてきた人は少なくないはずである。
もしこれからの「道徳教育」を実践レベルで具体的に考えていくのであれば,
「美徳」の価値を十分に実感できる教材を用意していきたい。
そのとき効果的になるのは,「醜悪」な感覚の持ち主の具体的な言動の事例紹介である。
「貧しいと心が蝕まれる」・・・・戦後間もない時期の日本人は,「心が蝕まれていた」のか?
「心が蝕まれた」結果,あの「高度経済成長」が実現したのか?
もちろん,そう言える面を探せば,
「工場が付近の住民の健康を害しても,うちのせいかどうかわからないから,ほっとく」
みたいな態度は,貧しい心そのものである。
それが生んだ悲劇が水俣病などの公害病である。
しかし,これは,「豊かさを追求する」過程での弊害であって,
「経済的に貧しいまま」であれば,起こらなかった問題かもしれない。
道徳教育に価値を見いだすとすれば,
進歩だの発展だの成果だの,そういう「上昇志向」的な価値ばかりを追い求めている自分たちを
一歩下がって冷静に見つめる目が育てられることにある。
「本当にそれで幸せか?」
という問いを自分に投げかけたとき,「高価なものの方が価値が高いに決まっている」などと言うような自分を戒めることができるようになる。
腸炎で入院していたとき,点滴がはずれて最初に口にした「おかゆ」のおいしさは,それまで食べたことがあるどんな食べ物よりも際立っていた。
「ありがたい」と感じる人間の心のはたらきが,どんどん鈍くなっていっている。
それをどうにかしたい,と感じている人間に,ぜひ,道徳教育の構想を練ってもらいたい。
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