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小学校学習指導要領・社会科編(試案)=昭和22年版 に示された,小1・社会科の学習活動例

 小学校1年生の「社会科」は,現代では,親が学び,子どもに教えるべき内容として通用しそうです。

 銭湯でのマナーも,「社会科」で教えようとしていたわけですね。

コアとしての社会科。これからの時代に求められるのは,これか?

**********************

問題一 家庭や学校でよい子と思われるには私たちはどうすればよいか。

~学習活動の例~

(一) 家庭や学校をきれいにする。

 1.家庭でしているお手伝いを報告したり,絵に書き表わしたりする。

 2.教室に花を持って来て飾る。

 3.学級文庫を作る。

 4.学級文庫の簡単な飾りつけをする。

 5.写真や絵,作文,新聞・雑誌の切り抜きを壁に掲示する。

 6.教室に飾る絵を書く。

 7.簡単な植木ばちを作って草花を植える。

 8.家や学校の水そうや菜園の手入れをする。

 9.記念樹を植える。


(二) 家庭や学校で危険防止をする。

 1.お父さんやお母さんが,家で危険なことを防ぐためにしていることを話しあう。

 2.家庭や学校で気をつけなればらないものごとを話しあったり,書き取ったりする。(ランプ・電気装置・ガラス片・さびくぎ,有害な動植物,七輪の残り火等)

 3.廊下・階段の通行,運動場での活動,運動用具の使用その他で危険防止をするために必要なきまりを話しあい,その理由を発見する。

 4.飲用水を正しく使う。

 5.対火訓練をし,非常口を覚える。

 6.けがをした時の経験を話しあう。

 7.有害な植物を見分ける。


(三) 自分のことは自分でする。

 1.朝から晩まで自分のすることを全部示すような図表を作って,その中で自分だけでやれるものに印をつける。

 2.自分だけでやっている事がらについて話をする。

 3.自分のことを自分でやろうとしても,うまくできなかったり,自分だけでさせてもらえないことを話しあう。

 4.自主的にふるまうのにつごうの悪いことをどう処置したらよいかについて話しあう。

 5.学級の者がみな自分だけでやるようにしようと話しあった事がらの表を作り,これと対照して各人の進歩を報告する。

 6.右のうち,うまく進歩しない事についてその事情を教師に説明する。

 7.「勇気のある子というものの正しい意味について話しあう。

 8.「勇気のある子」といった簡単な劇を作る。


(四) 父母・兄姉及び教師の言いつけに従う。

 1.父母から何度もくり返される言いつけについて報告する。
 
 2.ふだん教師から言いつけられている事がらの表を作る。

 3.目上の者の言いつけに従わなかったために生じた,まずい結果について話しあう。

 4.両親の言いつけに従いにくい事について,その事情を話す。

 5.右の事情を解決する方法を話しあう。
 
 6.両親から言いつけられている事の中で,一番たいせつと思うことを絵に書き示す。

 7.両親の言いつけを守ったときは○印をつけて記録しておく。

 8.両親その他の人にほめられたときの事を話す。


(五) 行儀をよくする。

 1.毎朝,朝のあいさつをするかどうか,どんな人にするかを報告する。

 2.食事のときの行儀について話しあう。

 3.教室での行儀について話しあう。

 4.友だちの名まえを正しく呼び,あだ名を言わない。

 5.家の人の外出や帰宅のときにあいさつをしているかどうかを報告する。

 6.つい行儀が悪くなってしまう場合について話す。

 7.お客様ごっこをする。

 8.来客の際お茶を運ぶかどうかを報告し,その時の作法について話しあう。


(六) 幼い者をいたわる。

 1.弟妹たちの名まえや年齢を報告する。

 2.幼い者の絵を書く。

 3.幼い者に親切にしてやると,どんなに喜ぶかを観察して話しあう。

 4.幼い者のかわいらしさについて報告する。

 5.教室で兄弟ごっこ,親子ごっこをする。

 6.幼い子を遊ばせるときの注意を話しあう。

 7.遊ぶときに,幼い子におもちゃをあてがってやったことがあるかどうかを報告する。


問題二 私たちはどうすれば丈夫でいられるか。

~学習活動の例~

(一) 適切な食物をとる。

 1.いろいろな食物の図表を見て,からだのためになるよい食物について話しあい,しるしをつける。

 2.右について好きな食物,きらいな食物をあげ,なぜ好きか,なぜ嫌いかを話しあう。

 3.家で作っている野菜の種類を報告する。

 4.学校給食の材料を家から持って来る。

 5.食事の時間と間食の時間及び量をきめる。

 6.買い食いについて話しあう。

 7.体重を記録し,増減の理由を考える。

 8.身長を測る。


(二) 食物の取り扱いと,準備のときの清潔さを観察する。

 1.家や学校で食物を清潔にしておく方法を発見し,実行する。

 2.果物やなま野菜はよく洗ってたべる。

 3.食前と用便後に手を洗う。

 4.家や学校ではどのようにして飲用水をきれいにしておくか,報告する。


(三) 適切な衣服を選んで使う。

 1.季節季節に家や学校でする準備について話しあう。

 2.いろいろな着物の材料が,季節やいろいろな場合に適しているかどうかを検討する。

 3.各季節で日が長くなったり,短くなったりすることを観察する。

 4.冬の着物について,各自が何枚着ているか比べあう。

 5.夏と冬との適当な衣服を示す絵本を作ったり,人形を作ったりする。

 6.衣服の色について観察し,季節・場合,着る人などに合うかどうかを話しあう。

 7.天候の変化を記録する天候表を作る。

 8.暦を作って,衣がえその他衣服の変化を記入する。


(四) よい習慣を実行する。

 1.からだ,身のまわり,家,家のまわり,学校等を清潔にしておくための,いろいろな習慣を報告する。

 2.学校ではやった病気(百日ぜき・はしか・感冒等)を両親に報告する。

 3.用便のよい習慣を話しあい,実行する。

 4.校医や養護と健康の習慣について話しあう。

 5.せきをするとき,手で口をおゝい,またはハンカチか紙をあてる。

 6.歯科医をよんで,歯の清潔を維持することがどんなにたいせつかを話しあう。

 7.日々守るべき健康の習慣を絵に書く。

 8.睡眠時間を記録する。

 9.学校で行われている保健施設を見て,両親に説明する。

 10.個人別の湯のみを使う。

 11.鉛筆・貨幣・玉・指などを口に入れることの危険について話しあう。

 12.すわるとき,歩くとき,立っているときのよい姿勢を明らかにし,これを実行する。

 13.室内の通風をよくし,温度を適当に保たせる。

 14.大きな筋肉を使うような遊戯をする。

 15.物をたべるにふさわしい時間について話しあう。

 16.学校で,休み時間にはできるだけ戸外で遊び,十分日光をあびる。

 17.学校での窓の開閉について話しあう。

 18.日の当たる所や,暗い所で本を読むことについて話しあう。

 19.入浴(特に銭湯での)の際注意すべきことについて話しあい実行する。


問題三 自分のものや人のものを使うには私たちはどうすればよいか。

~学習活動の例~

(一) 家に飼ってある小動物の世話をする。
 
 1.家で飼っている小動物について報告する。

 2.家で飼っている小動物の飼育法を表に作ったり,読んだりする。

 3.小動物に関する物語を読む。

 4.動物がその子をかわいがり,世話するようすを話しあう。

 5.小動物の絵を書き,飼い主の名まえをつけて展覧する。

 6.学校や家にいる小鳥にえさをやる。

 7.学校や家の庭や近くに来る小鳥の種類を書きとめる。


(二) 使用品を清潔にし整とんする習慣をつける。

 1.教室の清潔整とん法を相談してきめる。

 2.校内をまわって,小使や上級生その他が学校を清潔な気持のよいものにするため,どんなことをしているか,見たり聞いたりする。

 3.校舎に入るとき,がいとう類やげた・くつ・かさなどをぬいで,きまった場所に整とんする。

 4.がいとうなどを,きちんと伸ばしてかけたり,たゝんだりする。

 5.勉強した後で,いろいろな品物をもとの場所に片づける。

 6.おもちや・道具・薬品等の正しい置き場と使用法を話しあったり,示したりする。

 7.衣類やおもちゃ・道具等を入れる箱や袋を作って,使う。

 8.手ぬぐい・ハンカチ・タオル等を水洗いする。

 9.書物・筆箱・かばん・ぼうし・はき物・ハンカチ・手ぬぐい・おもちゃ・道具その他に自分の名まえをつける。

 10.夜,床につく前に学習用具をそろえておく。


(三) 物をうまく使う。

 1.毎日の勉強に必要な,品物の表を作る。

 2.紙・帳面・鉛筆・クレヨン等を残さず,きれいに使う方法を話しあう。

 3.これらの物を一週間・一箇月・一箇年ではどのくらい使うかを記録する。


問題四 私たちは食物や衣服住居をどんなふうにして手に入れるか。

~学習活動の例~

(一) 日々の食物について調べる。

 1.毎日の食物について報告し,表を作る。
 
 2.食物の材料になるいろいろの品物を列挙する。

 3.食糧品を,その産する場所,動物性,植物性の違い,作る人,その他の点からいろいろ分類してみる。

 4.季節季節のおもな食糧品を示す図表を作る。

 5.食物ができあがるまで,どんなに多くの人の手がかゝっているか,できるだけたくさん勘定させる。

 6.米・魚・野菜の旅行といった話を作る。

 7.米を作る農夫の作業について聞いたり読んだりする。

 8.田畑・農場などを見学に行く。

 9.米の配給所を見学する。

 10.八百屋・魚屋に行って,どこから,品物を仕入れて来るかを聞く。

 11.米が作られ,配給される過程を示す絵を書く。


(二) 日々の衣服について調べる。

 1.各季節にふさわしい衣服を調べる。
 
 2.母親がどんなにして子供の衣服を手に入れたかを話す。

 3.自分の衣服の表を作り,修繕されせんたくされた度数を記録する。

 4.洋品店に行き,いろいろな衣料を見,その材料について話しあう。

 5.木綿・絹・人絹・スフの話を聞いたり読んだりする。

 6.衣服の材料となる布のはしを集めて見る。


(三) 食物を作ったり,衣服をとゝのえたりする母親に手伝う。

 1.畑や八百屋その他に食糧品をとりに行く。

 2.お母さんの食事の準備をじょうずに手伝ったことについて話をする。

 3.まゝごと遊びをする。

 4.農繁休業にやったお手伝いについて報告する。

(四) 住居について調べる。

 1.家はどんなもので作られているか報告する。

 2.家にはどんなものが備えられているか報告する。

 3.今の家にいつから住んでいるか,聞いて話をする。

 4.学校と家の違う点同じ点を話しあう。


問題五 私たちは旅行の時にどんなことを心得,どんなことをする必要があるか。

~学習活動の例~

(一) 交通の安全につとめる。
 
 1.警察官を呼んで交通安全について話しあいをし,質問をする。

 2.横断歩道による横断,車に対する注意,信号を見ること,バスや電車に乗る時のきまりなどを話しあい実行する。

 3.右(左)側通行と,道路上にひろがって歩くことの危険とについて話しあう。

 4.旅行の際の安全に関する注意について話を作ったり,書きとめたり,読んだりする。

 5.交通安全の規則を守っている子供の絵を集める。

 6.安全に関する映画を見る。

 7.家と学校との間にある注意すべき場所を地図に書き入れる。

 8.お使いに行く道について話す。

 9.学校や家までの道順をいう。

 10.通学の往復で道草をすることの悪結果について話しあう。

 11.いなかや町で迷い子になった時どうすればよいかを工夫し,話しあう。

 12.学校や道路上のいろいろな地点で東西南北を見わける。

 13.通学途上のいろいろな危険について話しあう。

 14.家族のした旅行の絵を書き,話をする。

 15.自分のした旅行の物語を作ったり,絵を書いたりする。

 16.いろいろな人の旅行を書いた物語や詩を読む。

 17.積み木や箱などで汽車,自動車,飛行機などを作る。

 18.汽車ごっこ,自動車ごっこ,飛行機ごっこ,船ごっこをする。

 19.いろいろな乗り物を使う旅行の計画をみんなといっしょに立てる。

 20.運賃を計算したり,切符を買ったりする。

 21.時間の見方を覚え,それが通学や旅行になぜたいせつかを話しあう。

 22.車中でのよい行儀についての絵を書く。

 23.旅行に必要な身のまわりのもの(服装)について話しあう。

 24.旅行に関する唱歌を歌う。

 25.手荷物がどんなにして運ばれるかを話しあう。


問題六 私たちはどうすればみんなといっしょに楽しい時間が持てるか。

~学習活動の例~

(一) 音楽を楽しむ。

 1.音楽を選び,歌い,また聞く。
 
 2.適当なレコードを聞く。

 3.音楽に合わせてリズムをとる。

 4.音楽に合わせて身ぶりをする。

 5.リズムバンドを作って,演ずる。

 6.「もしもしかめよ」のような歌をうたい,そのリズムに合わせて劇をする。

 7.「待ちぼうけ」のような音楽を物語りにする。

 8.音楽を聞いて色や線で感じを出してみる。


(二) 競技をする。

 1.学校でやる競技を計画し,実行する。

 2.得点を記録する。

 3.競技の人員を数え,加えたり,引いたりする。

 4.家で両親や兄弟姉妹とする競技を工夫する。

 5.みんながおもしろくするには,どうすればよいか話しあう。


(三) 集まりをする。

 1.誕生会や祝祭日,節句などの集まりや遠足を計画し,実行する。

 2.クラス会などを計画し,簡単なたべ物や飲み物を準備する。

 3.集まりのときの作法について話しあい,またこれを観祭する。

 4.お客様ごっこをする。

 5.簡単な招待状を書く。

 6.その返事を書く。

 7.集まりの時の遊びを工夫する。


(四) 戸外の楽しみを味わう。

 1.野外を歩いて野生の花や,動物や草木や虫などを覚える。

 2.野外で見たものの表を作ったり絵を書いたりする。

 3.野外での採集物に名札をつけて展覧する。

 4.散歩で集めたおもしろい物を学校に持って来る。

 5.野外での昼食の計画をたて,実行する。


(五) 本を続む。

 1.ほかのものに物語を読んで聞かせる。

 2.両親や教師,他の子供の読んでくれる物語を聞く。

 3.読み物を作る。

 4.詩の朗読を聞く。

 5.学級の文庫を作る。


(六) おもちゃで遊ぶ。

 1.家からおもちゃを持って来て友だちに使わせる。

 2.簡単なおもちゃを作る。

 3.古いおもちゃを修理する。

 4.おもちゃ屋さんごっこをする。

 5.物語を劇にする。

******************

 小学校1年生から,本当に多彩な体験活動,言語活動を教育のなかで取り入れようとしていたことがわかりますが,これは学校だけでは無理。

 家庭では何ができて,ほっといても子どもができることは何で,学校に限って何をすべきか,という議論が必要になったことでしょう。


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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より
  • 目くばりをするということは、実際にそこに目を遏(とど)めなければならぬ。目には呪力がある。防禦の念力をこめてみた壁は破られにくく、武器もまた損壊しにくい。人にはふしぎな力がある。古代の人はそれをよく知っていた。が、現代人はそれを忘れている。
    「楽毅」第1巻より
  • 知恵というものは、おのれの意のままにならぬ現状をはげしく認識して生ずるものなのである。
    「楽毅」第1巻より
  • 会う人がちがえば、ちがう自己があらわれるということであろうか。
    「奇貨居くべし 黄河編」より
  • 静寂に染まりきれば、ふたたび起つことはない。生きるということは、起つ、ということだ。自然の静謐に異をとなえることだ。さわがしさを放つことだ。自分のさわがしさを嫌悪するようになれば、人は死ぬ。
    「楽毅」第四巻より
  • 人というものは、自分のやっていることをたれもみていないと思い込んでいるが、じつはたれかがみており、やがて賛同してくれる人があらわれる。
    「春秋の名君」より
  • 寵を受けても驕らず、驕っても高い位を望まず、低い地位にいながら怨まず、怨んでもおのれを抑えることのできる人は少ない
    「沈黙の王」より
  • 小さな信義が、きちんとはたされてこそ、それがつもりつもって、大きな信義を成り立たせる。それゆえに、明君は、小さな信義をおろそかにせず、つねに信義をつむように、心がけるものである
    「歴史の活力」より
  • 奥の深いことと、表現がむずかしいこととは、むしろ逆の関係にある。むずかしい表現のほうが、ぞんがい簡単なことをいっている場合が多く、やさしい表現のほうが、奥の深いことをいえる。
    「歴史の活力」より
  • 黄河の流れは悠久とやむことはない。河床もあがりつづけるのである。いくら堤防の高さをましてもらちのないことであった。
    「侠骨記」より
  • 人はおのれのままで在りたい。それは願望とはいえぬほどそこはかとないものでありながら、じつは最大の欲望である。人の世は、自分が自分であることをゆるさない。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • 外をもって仕えている者は信用するに足りぬ。つまり男でも女でも内なる容姿というものがあり、その容姿のすぐれている者こそ、依恃(いじ)にあたいする。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • 橘という木があります。この木が淮水の南に生ずれば、すなわち橘となります。ところが淮水の北に生ずれば、すなわち枳となります。葉は似ておりますが、実のあじわいはことなります。なにゆえにそうなるかと申しますと、水と土がちがうからです。そのように、その者は斉で生まれ育ったときは盗みをしなかったのに、楚にはいって盗みをしたのです。楚の水と土は、民に盗みをうまくさせようとするところがありませんか
    「晏子」(第四巻)より
  • 倹より奢に入るは易く、奢より倹に入るは難し
    「中国古典の言行録」より
  • 礼儀という熟語がある。礼とは万物を成り立たせている根元に人がどうかかわるかという哲理のことで、儀とは礼をどう表現するかというレトリックをいう。その二つが組み合わさって礼儀ということばが生まれた。
    「春秋の色」より
  • 都邑が矩形であるのは、この大地が巨大な矩形であると想像するところからきている。したがってかぎりない天地と形容するのは正確さに欠ける。大地にはかぎりがある。ただし大地は四方を高い壁でかこまれているわけではない。とにかく独創とか創見というものは、思考が狭い矩形をもたぬということではないか。人はいつのまにか思考を防衛的にしてきた。他者を拒絶しがちである。思考の四方に感情という壁を立てて、他者と共有してきた天を極端にせばめてしまった。
    「子産(下)」より
  • 人というものは、恩は忘れるが、怨みは忘れぬ。
    「孟嘗君 5」より
  • 人はたれにもあやまちがあります。あやまちを犯しても改めれば、これほど善いことはありません。『詩』に、初めはたれでも善いが、終わりを善くする者は鮮(すくな)い、とあるように、あやまちをおぎなう者はすくないのです。
    「沙中の回廊(下)」より
  • 「わたしは侈っている者を烈しく憎まない。なぜなら侈っている者はおのずと滅ぶ。が、なまけている者はどうか。わたしはなまけている者をもっとも憎む」
    「沙中の回廊(下)」より
  • 人を得ようとしたければ、まずその人のために勤めねばならぬ。すなわち、晋が諸侯を従えたいのであれば、諸侯のために骨折りをしなければならない。
    「子産(上)」より
  • 知るということは、活かすということをして、はじめて知るといえる。
    「青雲はるかに(上)」より
  • 師はつねに偉く、弟子はつねに劣っているものでもない。弟子の美点に敬意をいだける師こそ、真に師とよんでさしつかえない人なのではないか。
    「孟嘗君 2」より
  • 人を家にたとえると、目は窓にあたる。窓は外光や外気を室内にとりいれるが、室内の明暗をもうつす。そのように目は心の清濁や明暗をうつす。
    「孟嘗君 2」より
  • 人にものごとを問うということは、質問そのものに、問うた者の叡知があらわれるものである。
    「孟嘗君 3」より
  • 人から嫌われることを、避けようとする者は、心の修養ができていないことである。
    「中国古典の言行録」より
  • 人を利用すれば、かならず人に利用される。・・・企てというのは、人に頼ろうとする気が生じたとき、すでに失敗しているといってよい。
    「太公望 中」より
  • 与えられてばかりで、与えることをしないことを、むさぼると申します。むさぼった者は、なべて終わりがよくない
    「孟夏の太陽」より
  • ・・・料理をつくりながら、人と組織とをみきわめたのか。素材が人であれば、素材を合わせてつくった料理が組織である。それ自体はにがく、からいものでも、他の素材と合わされば、うまさを引きだすことができる。煮るとか蒸すとかいうことが、政治なのかもしれない。
    「太公望 中」より
  • 他人を変革するためには、まず自己を改革しなければならね。
    「太公望 中」より
  • 人が何かを得るには、二通りあります。与えられるか、自分で取るかです。(中略)与えられることになれた者は、その物の価値がわからず、真の保有を知りませんから、けっきょく豊さに達しないのです。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • みじかいなわしかついていないつるべでは、深い井戸の水を汲むことはできない。
    「奇貨居くべし 黄河編」より
  • 人は目にみえるものを信じるが、そのことにはかぎりがあり、けっきょく、人が本当に信じるものは、目にみえぬものだ
    「晏子」第二巻より
  • 人にはそれぞれこだわりがあり、そのこだわりを捨てて、変化してゆく現実や環境に順応してゆくことの、何とむずかしいことか。
    「奇貨居くべし 飛翔篇」より
  • 失敗を心中でひきずりつづけると、起死回生の機をとらえそこなう。それは戦場における教訓にすぎないともいえるが、大きな勝利とは、相手の失敗につけこむのではなく、自分の失敗を活かすところにある。楽毅の信念はそうである。
    「楽毅」第四巻より
  • 人の頭脳のなかの眼力は、木の幹にあたるであろうが、幹をささえるものは知識という葉ではない。根である。根は地上の者ではどうすることもできない伸びかたをする。その根は天から落ちてくる水を吸い、人からあたえられる水も吸って太ってゆく。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • 大木にするためには、幹の生長に目をうばわれがちであるが、地中の根を大きく張らせることを忘れてはならない。花を咲かせることをいそぐと、花のあとの結実をおろそかにしてしまう。要するに、大木でなければ豊かな実をつけないということである。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • あらゆる事態を想定して準備を怠らず、変化に対応できるようなトップでいなければならない。
    「中国古典の言行録」より