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学習指導要領・社会科編Ⅱ(試案)=昭和22年版 に示された現在の高1・社会科の学習活動例

 今回が昭和22年にイメージされた「社会科」の総仕上げ。

 第10学年・・・現在でいう高校1年生が学ぶことを想定していた内容です。

**********************

単元一 市場・仲買い業者・貸し附け・取引所及び経済的企業は,われわれの経済生活においてどんな機能を果たしているか。

~学習活動の例~

(一) どんなところからでもよいから,日本の国民所得についての知識を集めること。収入源,平均家庭の収入など,国民所得の平均と,自分の地方のそれとを比較すること。

(二) 労賃,株の配当,職務の提供(医師・弁護士など)によって収入を得ている人々の実例を見出だすこと。

(三) 自分の地方の一定の範囲を限って調査を行い,無収入者を(類型により)表にしてみること。

(四) どこからでもよいから,役に立つ知識を得て,自分の地方のおもな職業と,その職業に従事する人々が通常受けている収入のおよその額とを表にすること。その表を,日本全体としての同様の表と比較すること。

(五) 自分の地方の人々の収入が,どのように消費されるかを明らかにするため,調査すること。わが国の平均所得に関する数字を得ることに努め,この所得を支出する正常な方法について,学級で討議すること。一家庭の生計は,どれくらいが満足すべき水準と考えられるかということをも,討議すること。満足すべき最低生活水準に必要な一定品目とその量とを示し,その価格をきめ,平均所得を基礎として,それらの品物がどれくらい手に入れられるかを明らかにすること。満足すべき最低水準の生活必需品の表を作り,地理その他の教科書から,それを生産するためのわが国の天然資源について,知識を得ること。どの程度まで必需品が実際に得られるか,その大略を明らかにすること。日本は,表中のどの項目について,全人口化対し十分に供給し得ると考えるか。国は,輸入品に対し,どんな余剰物資で支払うことができるか。

(六) 手工業の方法が用いられている家庭や小工場をたずねること。生産の質や量,労働者の収入,労働条件などについて,手工業の方法と工場のそれとを比較すること。手工業はどの程度まですたれて来たかを,明らかにすること。

(七) 工場に行って,近代的な機械の活動を観察すること。短時間に多量の製品を生産することのできる機械の見本・写真などを集めること。人が手で同じ仕事をするのに要する時間数を機械の生産と考え合わせて比較すること。

(八) 日本で,市場はいつごろ発声したか。奈良(なら)時代,鎌倉(かまくら)時代,室町(むろまち)時代及び江戸時代には,どんな市場があったか,そこでは,どんな品物が取り引きされていたか,以上のことがらについて,市場の分布図を書き,また,市場の歴史的な発展を作文に書いて報告すること。

(九) 近隣に,二日市とか五日市とかいう地名があれば,それは,昔の定期市のたった地点が地名となって残っているものであるから,そこにいって,その立地条件,市場の歴史,取り引きされた品物,集まった人間の地理的範囲などについて調ベ,現在はどうなっているかも考え,学級に報告すること。(県史,地方に関する古文書,古老からの話などによるがよい)。

(一○) 附近に歳の市や縁日の市などがあったならば,その歴史的な事情,立地条件,交換物資,商人はどの方面からくるか,それが現在の生活にどんな役割を果たしているかなどについて調ベ,学級に報告すること。特に古老などについて,昔の市と現在のそれとを比較して,話を聞くこと。

(一一) 常設の市場にいって,そこで売っている品物,価格及び市場に品物がはいってくる場合,その出荷方法,出荷範囲,配給方法などについて調ベ,それが,われわれの経済生活に対する意義について,学級で討論すること。

(一二) 露天市場について,そこで売っている品物・価格・組織などについて,調べること。特に封建的な親分・子分の関係について調べ,その可否について,学級で討議すること。

(一三) 百貨店が品物を入手し,販売するまでに,どんな方法が採られているか。百貨店が現在の経済生活に対して果たしている役割について,学級で討議すること。

(一四) 消費組合の歴史や機構・機能について調ベること。

(一五) 魚市場や野菜市場にいって,その評価方法につき話を聞くこと。

(一六) 職業(労働)安定所の人を招いて,その組織や機能,一年間の就業実績に関し話を聞き,職業(労働)安定所をもっと能率的に働かすためにはどうしたらよいかについて,学校で討議すること。

(一七) 市場に対して政府がとっている政策について,経済学者から講義をしてもらうこと。

(一八) 問屋について,その歴史・機能及びそれが当時の経済界に果たしていた役割に関し,作文を書いて報告すること。

(一九) 統制組合,統制会社をおとずれて,物資の統制はどういうふうに行われているか,現在,物資は相当横流れしているが,それは機構にどんな不備があるかを調べ,それをもっと効果的にするにはどうしたらよいかについて,学級で討議すること。

(二○) 現在われわれの経済生活に対して,ブローカーはどんな役割をしているか,それは日本の経済再建に対しどんな得失があるかについて,討議すること。

(二一) 農業会の役員を訪問し,農業による物資の売買・配給・所有工場・金融のことについて,できるだけ調べること。

(二二) 自分の町や村の小売業を調査し,そのなかで,農業生産品の売上高の占めている割合は,全体のどれだけかを明らかにすること。五つの農産品について,数箇月間における小売値段を示す表をつくること。農民が買わなければならない品物の価と,それらの値段とを比較すること。

(二三) 日本における近代産業の発展に関する文献を読むこと,例えば織物工場の設置,製品,各種産業の成立,それが消費者の手にわたるまでにどんな径路をとるかを調ベて,学級に報告すること。

(二四) 政府の経済政策,例えば,経済安定本部や物価庁などの活動について新聞記事を勉強すること,できればそこの人を招いて話を聞くこと。

(二五) 自分の家で通常用いられている品物について,それがどのような径路をたどって入ってきたかを調べること。製造,卸売及び小売りまでの経過,即ち商品の出所,原料の価格を調ベ,生産価格と消費者価格を比較してみること。

(二六) 衣食に関する商品の一つを取りあげ原料価格,労貸,運賃などをできるだけ正確に算定してみること。

(二七) 運賃が,家庭で購入する商品の価格に及ぼす影響を明らかにすること。現在の商品の価格を戦前のある時期の価格及びその時期の運賃と比較してみること。輸送組織を改良する可能性について討議すること。

(二八) 現在の各家庭の生活費と,戦前のある時期(昭和五年ごろが適当である)のそれとを比較し,現在の生活を合理化するためには,どうしたらよいかという問題について,討議すること。

(二九) 町や村の人たちが小売市場で購買する品目,その価格を,思いつけるだけたくさん表につくり,あらゆる方面から手をつくして,同じ品物の一箇月前,六箇月前,一年前,五年前の正確な価格を入手して,商品ごとに価格の変化を説明し,それを供給の変動と関連させてみること。物価指数について,先生から話を聞くこと。

(三○) 自分の町の小売業のもうけを調べること,農夫が,生産価以上の値段で自分の生産品を売ろうとする状況,くつ屋が,同じく高く売ろうとする状況など正確な数字が得られる場合には,種々の品目について利益の歩合いを算定してみること。

(三一) 自由価格は,何を標準にして決定されるか,需要と供給の関係がら,調査討論すること。米の自由価格の変動を調ベ,その理由を考えること。附近の市場について,その種類・組織の機能を明らかにするために委員会をつくること。その詳細な報告を得て,市場の価値及び改良案を,討議すること。

(三二) 自分の市・町・村の小売販売で,商品が掛け売りされている程度を明らかにすること。適当な品物の値段について現金販売と掛け売りの場合の相違を調べること。

(三三) 物便の変動の表,主要物資生産高の変化の表,及び通貨発行高・銀行預金高・貸出し高の表を作製し,その相互関係を調べること。「グレッシャム」の法則について,先生から話を聞くこと。

(三四) 価格統制について政府の施策を調ベること,食糧品の取り扱いについて,法律あるいは規定があるかどうか,あれば,それらの性質を調ベること。

(三五) 貸付金の利子,株式の配当率などを,いろいろな方面からできるだけ多く集めて比較し,学級に報告すること。

(三六) 日本における信用機関について,できるだけ勉強すること,利まわりに注意して,貯金したり投資したりするために,町につくられている施設を調査すること。

(三七) 自分の町の銀行の位置と名を示し,銀行員の仕事を調査すること。銀行に勤めている人を学級に招き,銀行業務の技術について,説明してもらうこと。銀行の営業種目について,表をつくること。銀行を町の役に立たせる方法について,論ずること。自分の学級で,仮の通貨を発行し,銀行を設立して,実際に行われている方法で,それを運用してみること。利率を調ベ,自分の町の生活上信用の演ずる役割を調ベること。郵便局の業務のいっさいを表につくり,電報をうったり,為替をくんだりする手続き,その他を実習してみること。郵便局と銀行の仕事とを,比較してみること。

(三八) 日本における銀行発達史の要点を書いて,報告すること。それを学校に読んでもらうために提出すること。

(三九) 江戸時代の両替商の歴史を調ベ,報告を書くこと。両替商は,明治時代になってから,どういう近代的な企業を始めたか。

(四○) 生命保健や損害の保険は,どんな点で役に立っているか。また,その種類や,組織や機能を調ベること。信託会社・信用組合・無尽会社とは,どんなものか,いろいろな方法で,その組織や機能を明らかにすること。保険のことについて,専門家から講義を聞くこと。

(四一) 現在流通している各種貨幣の見本を集めること。日本の戦前の貨幣制度の知識を得て,比較すること。自分の家族で現金取り引きでないものと比較してみること,貨幣の用途を明らかにするため討議すること。

(四二) 日本における大きな産業会社の起源及び歴史のあとをたどること。大きな産業会社が国家にもたらした利益と,会社によって引き起された悪弊とについて,論ずること。同一商品に対する大規模の生産と小規模の生産の優劣を例にとり,それを比較することによって,資本の集中について討議し,それと関連して,財閥会社の発達を調査研究するにと,大企業の発展を,特定の企業について調査し,その発展の経過の表をつくり,さらに,それが国民経済及び世界経済に及ぼす影響について,討議すること。

(四三) インフレーション,デフレーションとは何か,また,その原因をいろいろの人に聞いて調ベ,その経済生活全体に及ぼす影響を,調査してみること。これらの現象で,歴史上著名なものについて,勉強すること,前大戦後のいわゆる恐慌とは,どんなものであったか。種々の資料を調ベ,その対策について専門家の意見を聞くこと。

(四四) 質屋について,質入れ品物,融通金額,利子,質に入れる人はどんな収入程度の人たちかということ,などについて聞き,それが,現在の生活にどんな役割を果たしているかを考えてみること。

(四五) 質屋の歴史を調べること,できれば中国,朝鮮のそれについて,専門家から話を聞くこと。また,それに関する文献を学級で読むこと。質屋は必要であろうか,またそれはわれわれの経済生活の正常な部分だろうか。

(四六) 昭和二年発布の銀行法を学級で読み,銀行について,その定義や,その許されている業務,禁止されている事項などについて,研究すること。

(四七) 高利貸の利率附加の方法につき,その道の人に調を聞くこと,また,高利貸の存在意義,可否の点について,学級で討議すること。

(四八) 自分の町の銀行の意義,一箇月にどれくらいの資金が,どんな事業に融通されているか,また,預金はどのくらいあるか,それによって,町や村の経済状態を考え,それについて報告を書くこと。

(四九) 日本における株式取引所の歴史について,報告を書いたり,口頭で報告すること。

(五○) 株式取引所の人,または株式にくわしい人を招き,取引所の機構・機能・取引方法・取引物資及びおもな証券の種類などについて,話を聞くこと。

(五一) ロンドンのロンバート街及びニューヨークのウォール街は,世界的金融市場であるが,それが世界の経済界に及ぼす影響について専門家から話を聞いたり,その機能や影響について,書物によって勉強すること。

(五二) 日本における資本主義の発展について,専門家から話を聞いたり,広く本を読んだりすること。

(五三) 企業の社会化ということについて,専門家から話を聞いたり,本を広く読んだりして,これまでの日本の企業について,特に社会化の得失を主題として,学級で討議すること。

(五四) 自由経済の長所と短所とについて,できるだけ多くの意見をまとめて,討議すること。独占企業には,どういうものがあるか,それがどうしてできたか,どのような影響をもつかなどについて,先生の講義をうけ,その長短,必要の有無,国民に対する利害などを,論じ合うこと。

(五五) ある生産企業体について,その会社が生産を行うためには,どんな要素が必要かを調ベ,自然・労働・資本の三要素が,業種によってどんな割合を占めるかを調査し,表をつくること,また総収益が,どんな部面に,どんなに分配されているかを,実際について調べ,おもなものについて,その割合を調査すること。

(五六) 最寄りの倉庫に行き,倉庫業とは何か,その仕事にはどんなものがあるかを調査すること。運搬業について町の組織を調ベ,倉敷き料及び運賃と小売り価格との関係を,ある製品について,明らかにすること。

(五七) 自分の町,または近隣の生産会社の表をつくり,そのいくつかをたずねること。いろいろな型の生産を研究するため,種々の委員会を組織すること。直ちに調査するに先だって,その産業について,十分研究しておくこと。学級の者が,興味をもっている問題の表を作り,その調査を進めること。例えば,各産業企業について,原材料の出所,製品を生産する工業の問題,商品の市場,機械生産の過程,手工業生産の過程,会社に対する財政的援助,広告,産業に影響する政府の統制,生産品配給の方法,労働問題などを,研究すること。委員会の仕事がすっかり終れば,各委員会は,学級に報告すること。どの報告についても,学級で討議を行うこと。学級への報告に当たって,通常,絵入りその他のわかりやすい資料を添える必要がある。

(五八) 産業革命について勉強し,簡単な世界地図によって,それが全世界及び日本へ波及した状況を示すこと。他の諸国における重要な工業の進歩について,おのおの報告を用意して,学級に提出すること。日本で現在使われている多くの機械の起源をたどってみること。綿繰り機・紡織機・蒸汽機関などの発明を論ずること。日本における産業革命の功罪を論ずること。産業革命によってどんな問題がもたらされ,未解決のまゝになっているであろうか。


単元二 われわれの経済生活に対して,政府はどんなことをしているか。

~学習活動の例~

(一) 自分たちに関係のある経済史の上の重要な出来事について,先生から話を聞くこと。またいろいろな書物,雑誌その他から,日本の過去の経済生活について,知識を得ること。過去と現在の経済生活を比較すること。

(二) 自分の家の一箇月または一年の収入と支出とを記録しておき,どの程度まで自給自足できるかを調ベて,報告すること。

(三) 自分の部落または村内で,自給自足はどの程度まで行われているか。また自給自足できる品物にはどんなものがあるかを調ベて,報告すること。

(四) 自分の村から近隣の都市に,どんな品物を,どれくらい出しているか,また,都市から,どんな品物を,どれくらい受けているか,その間の収支はどうか,輸送機関及びその賃銀はどうかを調ベて,報告すること。(都市の生徒はその逆を考えてみること)。

(五) 明治のはじめから,外国との貿易に,日本からどんな品物を,どれくらい出し,国からどんな品物を,どれくらい買っていたかを発達史的に調ベて,作文をつくること。との作文を学級に読んで聞かせ,それにもとづいて,学級討議を行うこと。

(六) 農業に関する官庁や団体をおとずれ,自分の村に対して,どんな施策が行われているかについて,話を聞くこと。

(七) 農業会や水産業会や森林組合などをおとずれ,事業の性質について話を聞き,集めた資料にもとづいて,さらに自分の村を発展させるためになし得るいろいろなことを,学級で討議すること。

(八) 附近の農業学校・農事試験場・水産試験場・研究所をおとずれ,そこではどんなことを研究しており,それがどの程度具現されているかについて話を聞き,それをまとめて報告すること。農業学校や,農事試験場などは,どのようにして農業技術の改良について,農民の力になっているだろうか。

(九) 最近五年間の農産物の公定価格とやみ価格とを調ベ,グラフに表わして報告すること。

(一○) 政府による農産物の配給は,どの程度に需要をみたしているか,不足分を各家庭ではどうしているか,不足分の買い出しは,どんなものを,どうして行っているか,配給の改善についてどうしたらよいかなどを,学級で討議すること。

(一一) 青空市場で,農産物の種類・価格,その移入径路などを調ベてみること。

(一二) 商・工・鉱業に関する官庁,例えば商工省・地方商工局・県庁の商工課,鉱山監督局などをおとずれ,それぞれの施策について話を聞くこと。

(一三) 日本の主要工業について知識を集め,製品の価格,国内消費量,国外輸出量について,統計を作って報告すること。

(一四) 附近の土揚や鉱山を見学すること。

(一五) 附近の経済関係の専門学校の先生を招いて,統制経済と自由経済及び計画経済について,講義してもらうこと。その際,特に社会主義的計画経済について,理解を深めること。

(一六) 交通関係の官庁や団体をおとずれ,一般に交通についての話を聞くこと。ある問題を選んで自分の地方によい影響を与えるようにその問題を解決する方法について,討議すること。

(一七) 最近十箇年における国有鉄道及び国道の増加を,グラフに表わして報告すること。それは,どんな問題を生ぜしめたろうか。これは国民生活をどのように変えたたろうか。

(一八) 交通に関する規則――道・自動車・車・道路などについて,できるだけくわしく調べて,学級に報告すること。

(一九) 貨幣使用の発達の歴史を調べ,作文を書くこと。

(二○) 自分の銀行・信託会社・農業会・郵便局をたずね,村の財政状態について知識を得ること。

(二一) 政府の物価対策につき,物価庁や経済安定本部の当事者や県庁の経済関係の人を招いて話をしてもらうこと。新聞やその他の出版物から,物価統制について知識を得ること。物価統制の目的は,どこにあるのだろうか。

(二二) 近隣の代議士を招き,予算と決算につき,最近の議会のそれをもとにして,簡単な説明をしてもらうこと。

(二三) 租税の種類を調べること。自分の村,あるいは町では,どのような租税が,一年間にどのくらい,支払われているか。村の予算と決算はどうかにつき,報告すること。予算表に表われている費用が,村民にどんな恩恵を与えるかを明らかにすること。

(二四) 官営の企業,例えば塩・たばこなどによる収入が,どの程虔政府財政に役割を果たしているか,最近五年間のそれを統計に作り,報告すること。

(二五) 政府は,繊維製品の統制を,どのようにして行っているか。近くの繊維統制会などに行って話を聞くこと。なぜ配給制は必要か。自分の地方ではその目的通りにうまく行われているだろうか。

(二六) 食糧の統制について,食糧営団をおとずれ,詳細に話を聞くこと。食糧の不足分に対しては,どうしたらよいか。各自で調ベ,学級で討議すること。

(二七) 自分の村の供出量と消費量を調ベ,需給関係はどうなっているか,また供出を理想的に行うにはどうしたらよいか,それは収穫量によるべきか,耕地の質を考慮して,あらかじめ割合を決定しておくべきか,などについて討議し,結論を得て学級で発表すること。

(二八) 住居に関し,一般にその統制及び法規はどうなっているか,なお戦災都市住居の復興に対して,政府は,どんな具体的な施策をすゝめているか,戦災復興院・建築会社などをおとずれて特殊な問題について質問し,話を聞くこと。住宅問題についての対策を,学級で討議すること。

(二九) 最近・数箇年の間に,公定価格は幾度か改変されているが,その変化の原因である社会的,経済的事情について調べること。公定価とやみ価格とのへだたりについて,なぜそうなるのかを討議すること。対策としてはどうしたらよいか。

(三○) 日本経済民主化の出発点は農業の近代化と,農民の生活水準の向上にある。現在及び将来にとって農民が多すぎることは一つの問題であるように思われる。自分の村の耕地と農民の数によって,ひとり当たりの耕地面積を算出し,その過剰人口に対して,附近都市の工場に収容能力があるかどうかを調ベ,なお余剰があるときは,これをどうするか。この問題について十分知識を得た後,学級で討議し,結論を出して報告すること。

(三一) 自分の村に未開発の土地がどのくらいあるか,その開発によって過剰農村人口は,どの程度緩和することができるか,詳細な調査を行った後,学級討議にもとづいて開発計画を立て,これを村役場,あるいは県庁に提言すること。

(三二) 経済の民主化の内容につき,近隣の高等専門学校の先生を招いて,話をしてもらうこと。経済の民主化の最も重要な問題の一つを選び,いろいろなところからその問題について知識を得た後,それについて討議すること。

(三三) 世界経済への参加は,将来許されるであろうが,その際,日本が世界の経済に寄与するにはどうしたらよいかを学級で討議研究して,報告すること。

(三四) 日本の満足すべき最低生活水準と考えられるものについて明らかにすること。各自の家の最低生活費はどのくらいを要するかを調ベて,学級に報告すること。自分の地方の普通一般の家庭は,最低生活水準にどのくらい近いだろうか。

(三五) 過去の日本の従業員の不合理な状態について,学級で討議すること。今後それに対して,どんな対策がなされなくてはならないかを調ベ,作文に書いて報告すること。

(三六) 労働組合法について,また,現在しきりに起っているストライキの問題について,学級で討議すること。従業員と雇よう主とは,いすれもどんな権利と義務とを持っているか。このごろストライキが起ることにはどんな理由があるだろうか。

(三七) 経営管理・経営協議会・資本攻勢などという,現在の社会上の問題になっている事について,説明してもらうこと。

(三八) 日本の現在直面している大きな問題の一つは,金融財政の建てなおしである。この点に関し,だ換券・不換紙幣・金本位制・健全財政などの問題について,近隣にいる経済学者を招いて,講義をしてもらうこと。

(三九) 日本においては,農業と工業との均衡は重要な問題である。いろいろのところからこの問題について知識を得,学級でそれについて討議すること。

(四○) 農地調整法を,学級で研究討議すること。自分の村の地主の数と,その所有反別及び小作人の員数を調ベ,農地調整法によって,自作農は,どの程度,創設できるかをくわしく数字に表わし,報告すること。

(四一) 自村の農村人口が過剰である場合,それが,牧畜業や蚕業などにどの程度転換できるかを調ベて,報告すること。

(四二) 消費組合の目的と働きについて研究すること。従来の仲介業者を通した不合理をどの程度排除できるか。各自が,健全な消費組合の発達を計るには,どうしたらよいか考えること。

(四三) 貿易は,わが国の将来にとって死活の重要問題である。将来,わが国から輸出され得るものは,どんなものが,どの地方に輸出されるか,また輸入物資としてはどんなものが,どの地方からはいるか,貿易再開のときにわれわれがとるべき国際信用の問題などについて,作文を書いて報告すること。

(四四) 日本の行政制度については,これまで種々の非難があった。これから日本の経済を再建するために,これをどうしたちよいか,学級で討議し結論を出して,先生に報告すること。

(四五) 近年における日本人の生活水準は,次の表の通りである。この表にならって,現在の日本人の満足すべき最低生活水準の表を作ってみること。またそれを維持するにはどれだけの収入が必要か。一家平均五人として算定してみること。

(四六) 日本の産業経済の再建のためには,徹底的な国土計画が必要である。この問題について,できるだけ多くのところから知識を見出だし,また読書すること。それはどうしたらよいかについて,学級で討議し,各自作文を書いて先生に報告すること。

(四七) 同本人の消費生活は,あらゆる意味において,近代化する前のよくない要素を含んでいるが,これは取り除かれなくてはならない。衣・食・住生活の改善について,学級で討議すること。

(四八) インフレーションの抑制に対し,われわれは今すぐ役だち,自分たちで,すぐできると思われることを考え,学級で討議し,結論を得て,それを実行すること。

(四九) 次の諸点を考慮して,郷土を中心とし,理想的な地方計画を作ってみること。

 (1) 人 口。

 (2) 地 勢(平野・山地)。

 (3) 動 力。

 (4) 資 源(地上及び地下)。

 (5) 鉄道・道路・河川。

 (6) 産 業。


単元三 従業員と雇よう主とは,相互にどんな権利と義務とをもっているか。また,両者は社会に対してどんな義務をもっているか。

~学習活動の例~

(一) 従業員・雇よう主の関係は,学級のものたちにどんなふうに感じられているだろうかということについて,討議すること。この討議は,定時制で,あるいは季節によって従業員として働いている生徒の経験や,両親の仕事についての問題を含むようにしたい。

(二) 勤労に対するよくない労働条件について書いている記事を読むこと。

(三) 労働条件の安全を強調するために,従業員に見せる事故の種類を示すポスターを書くこと。

(四) 「雇よう主は,従業員に対して生活の安定について義務を負っているであろうか」という問題について意見を述ベてもらうために,雇よう主と従業員の双方を招待すること。

(五) その問題について,いろいろなものをたくさん読んだり,討議をしたりして,雇よう主が従業員に対してもつ義務の表をつくること。それから,従業員が雇よう主に対してもつ義務の表をつくること。

(六) 次の勤労者の一群の労働条件について研究し,雇よう主は,その健康と幸福とに対して顧慮を払っているかどうかを知ること。

 (イ) 家事使用人及び徒弟

 (ロ) 工場勤労者

(七) 工場をたずねて,従業員の労働条件を記してくること。給料・労働時間,事故の危険,勤労者の健康に対する作業の影響,及び従業員と雇よう主との関係について,調ベること。

(八) 雇よう主の負担金(借地料・使用料など)税・労賃などについて当面している問題を明らかにする事実を,分団のものたちに話してもらうように,事業家のだれかに頼むこと。

(九) 勤労階級と普通よばれている人々は,経済的にまた社会的にどういう立場にある人々をさすのだろうか。工場労働者・農民・俸給生活者などで,勤労階級といえる人々の範囲を明らかにすること。階級としての労働者という概念をなくすことは,なぜよいことだろうか。

(一○) 附近の工場をたずねて,一つの職場における労働の組織について調査すること。熟練工と未熟練工(見習工)との割合。職場指導者と一般職工との関係。職工の経験年数と仕事の分担。技術教育の方法。労働の能率。それぞれの職工について,その家と親の職業(親子の間に職業上の関係があるかどうか)。以上の資料にもとづいて,日本の工業労働者の特殊な質について,討議すること。

(一一) 合衆国の労働者の賃金と,インドや中国の労働者の賃金を比較すること。合衆国の労働者の賃金の高い理由を表に示すこと。日本の労働者の賃銀は他国に比較してどうだろうか。

(一二) 労働者あるいは従業員の賃銀は,その労働や仕事によって差がある。それぞれの仕事の種類によって平均賃銀を調ベ,表をつくること。なぜ仕事の種類によって賃金に差ができるのであろうか。その理由をできるたけ多く挙げて,学級に報告すること。

(一三) 雇よう主が払う最高賃銀,従業員が受け取る最低賃銀は,どうしてきまるのであろうか。附近の工場の雇よう主と労働組合の役員をたずね,雇よう主と従業員とともに,賃銀の問題について討議すること。

(一四) 教育程度(技術の習得をも含めて)と賃銀との関係について,調ベること。

(一五) 工場労働者の技術習練の方法を調べること。また職場における一般的教養の向上に対して,どんな配慮がなされているかを明らかにすること。徒弟制度が残っているかどうか。いろいろの職種について,一人まえの職工になるまでに,どのくらいの年数がかゝるか明らかにすること。

(一六) 附近の小学校,あるいは駅をたずね,女性の職業と給料を調べ,それを同じ,あるいは類似の仕事をしている男性の賃金と比較すること。差があれば,その原因がどこにあるかについて,討議すること。「なぜ,性に関係なく,同じ仕事には同じ給料が支払われなくてはならないか」という問題について,討議すること。

(一七) 中央労働委員会の算出した適正な質銀は,どういう計算の条件に立つものであるか。生活給と能率給について,賃銀の適正化という見地から,討議すること。

(一八) ギルド制度のもとにおける勤労者の待遇と,現在の大工場で働いている人の待遇とを比較すること。大量生産によって,どんな問題が勤労者にとって生じて来ただろうか。

(一九) 労働組合と昔の株仲間との違いを調ベて,学級に報告すること。

(二○) 労働運動の歴史を調ベること。ヨーロッパ・アメリカ及び日本におけるその簡単な歴史を調ベた後,労働運動はなぜ起ったかという原因についてできるだけくわしく知って,これを学級に報告すること。

(二一) 書物を読んで,わが国における労働運動で重要であった人々について知ること。

(二二) 資本主義社会の発展とともに,労働運動が盛んになったという観点から,いろいろの社会改革の思想について概略を調ベてみること(社会主義・共産主義・国家社会主義など)。労働及びその問題に関係をもっている現在の日本の政党の綱領を集めて,比較検討すること。

(二三) 歴史の本で,日本における労働者の組織に政府が反対した話を読むこと。なぜ政府が労働組合に反対したか,その理由について考えることができるであろうか。現在は,政府は労働組合にどんな態度をとっているか。

(二四) 戦争によって,労働者はどんな利害を受けたかについて調べること。戦争以来,労働者の社会的地位に生じた変化について,討議すること。

(二五) 読書によって,労働組合がなぜ生まれたかを明らかにすること。

(二六) 日本における主要な労働組合に属している勤労者の数を示す統計を,探してみること。どの組合が最も有力であろうか。いろいろの労働組合の宣言・綱領の文書を手に入れ,宜言・綱領について,組合員と討議しその人たちが,その目的を実現するのどんなに計画をしているかを明らかにすること。その目的は,社会の一般公共の福祉と一致しているだろうか。

(二七) 「民主主義では,労働者は,その権利と利益を守るために,組織をもつ権利がある」ということについて,学級で討議すること。

(二八) 新憲法から,勤労者に,ある権利を保障している文章を選び出すこと。このような憲法の条項の意味について,討議すること。

(二九) 近くの農民組合,労働組合の役員を訪問し,その組織・目的・機能について質問すること。組合の活動を調ベ,それによって改善された状態を調査すること。

(三○) 自分が労働者であると仮定し,組合に加入することの利害について,考えてみること。その理由をあげて,討論をすること。

(三一) 組織された労働者の賃銀は,組織されない労働者の賃銀より,一般に高いといわれている。その例を探してみること。なぜだろか。その理由について研究すること。

(三二〉戦争中,労働組合の運動はどうなっていたか。その状態に立ち至った理由,及び戦後の状態をひき起した理由について,討議すること。

(三三) 産業上の紛争を回避するために払われて来た努力について,調ベること。団休契約あるいは争議調停のために,どんな機構があるだろうか。争議を解決するのに,調停は効果があったろうか。

(三四) ある組合員に,学級に来て,その仲間の当面している問題,インフレーション,生活費の高いこと。よくない労働条件などについて,説明してもらうこと。

(三五) 次のことがらについて,できるだけたくさんの情報を手に入れ,それを学級で討議すること。

 (1) 勤労者が組織をもつのは,なぜ必要であるか。

 (2) 雇よう主はその従業員に対して,どんな義務をもっているか。

 (3) 従業員は,雇よう主に対して,どんな義務をもっているか。

 (4) 一般公共の健康や福祉が,本質的に維持きれる時には,勤労者は,罷業の権利をもっているだろうか。

 (5) 勤労者は企業の利潤の分けまえを得る権利をもっているであろうか。

 (6) 勤労者の組織に対して,政府は態度を変える必要があるだろうか。

 (7) 十五才以下の子供が,工場で働くことは許さるべきであろうか。

 (8) 従業員の不合理な不正な態度が,罷業の原因になることがあるだろらか。

 (9) 民主主義では,なぜ勤労者の組織は必要なのだろうか。

(三六) 罷業・怠業・工場閉鎮・ボイコットの歴史を調ベること。一般公共の立場から,罷業について討議すること。公衆は,勤労者が,その仕事にある収入高の公正な分けまえを受けとることに,関心をもっているだろうか。

(三七) 附近の労働組合をたずね,その組合は,組合員の教育及び技術の向上,またはその休養・娯楽のために,どんな事業をしているかを話してもらうこと。調べた結果を報告すること。組合による組合員の教育的・教養的向上について,討蟻すること。

(三八) 雇よう主と従業員の利益は,どの程度まで一致するであろうか。いろいろの情報を集めて調ベてみること。

(三九) 政府は,雇よう主と従業員の協調を推進しようとしているだろうか。労働者と資本家は,それを欲しているだろうか。最近の新聞の記事に注意して,調ベてみること。

(四○) 新聞の記事あるいは論説から,労働委員会の活動について知ること。その調停案は妥当であろうか。いろいろの場合について研究すること。

(四一) 合衆国の労働協約について学ぶこと。それは,従業員・雇よう主及び一般公共にどんな利益をもたらすかということについて,研究すること。

(四二) 「日本経済の再建と労資の対立」という題で,作文を書くこと。

(四三) 社会の福祉と労働者の利益とは,どの程度に一致し,どの程度に矛盾するか,表にしてみること。それにもとづいて,理想的な労動組合,あるいは従業員組合の綱領と規約とを,学級で討議した後,作成してみること。

(四四) 雇よう主,あるいは従業員の社会に対する義務について,研究すること。よい雇よう主,よい従業員の資格を討議して,表にしてみること。

(四五) ソ連には,失業者がいないといわれている。このことについて確かめるか,またはその反証をあげてみること,そして失業者がないということの理由を考えてみること。

(四六) 自分たちの地方で,経営協議会をもって経営を行っている実例を探し,そこを訪問し,その運営についての利害及び困難などについて,実情を知ること。その報告をもとにして,自分たちの気づいた欠陥及び改善の方法について,討議すること。

(四七) 土建労働者や,鉱山労働者の労働組織について,調ベること。飯場組織はどういうものか。親方と普通労働者の関係は,民主的に組織されているだろうか。その改善案を考えてみること。

(四八) 現在公布されている労働関係の法令を集めて,研究すること。労働者の保護について,政府はどんな方法を講じているか。特に,少年及び婦人の場合について明らかにすること。

(四九) 欧米の労働に関する社会政策の現状を知ること。それらは日本にとっても役だつであろうか。その理由について、検討すること。

(五○) 組合と政党との関係について調ベること。組合運動と政党運動の境界(もしあるとすれば)について明らかにすること。

(五一) 地方の産業復興協議会,中央産業復興協議会の情報を集め,日本の経済再建のために,従業員と雇よう主が,そこでどんな義務を負うかについて,研究すること。

(五二) 争議が制限され,あるいは禁止きれる事業について知り,その理由について,討議すること。

対する生徒の態度を観察して,勤労者とその仕事の尊さに対して,生徒が尊敬の念を示しているかどうかを明


単元四 貧困や生活難から,社会や個人を助けるために,どんな手段がとられているか。

~学習活動の例~

(一) 最近一週間における新聞記事の中から,われわれの援助を必要とするような,同情すべき不幸な人々に関する記事を調ベ,整理して学級に報告すること。このような問題が自分たちの地方にあるかどうか決定する。

(二) 最近,自分が路上で見たり,人から話を聞いたりしたことのうちで,同情すべき不幸な人々のことについて,なにか情報を得なかったか。あれば,それを学級に報告して,これを援助する方法を討議すること。

(三) 貧困ということばが何を意味するか,適当な定義を与えてみること。衣食住の各条項の生活の最低水準と考えられるものについて,情報を手に入れること。できるならば,わが国における平均生活水準以上にある家族数,それ以下,あるいは平均に近いものについての統計を手に入れて調ベること。自分の町(村)の中程度の家庭は平均水準に比して,どこに位置するかを決定すること。

(四) 水準以下の生活を営んでいる家族は,なぜ貧窮に悩むと思われるか。

(五) まちの浮浪者について,その数・年齢・性・浮浪者となった原因について調ベること。特に,青少年浮浪者に注意すること。かれらは,毎日何をたベているか,何を喜びとし,何に悩んでいるか。その性格はどうか。かれらにいかなる援助を行い得るか,その方法において討議すること。

(六) ヘレン・ケラーの伝記と,その著述と読み,そのなかで感銘を受けた部分を選び,学級に報告すること。通常の人に比べて,かの女のなみなみならぬ忍耐について,評価すること。

(七) 去年一年間における自分の町(村)において行われた犯罪について,調ベること。罪を犯した人々について,その理由や事惰を知り,貧困と犯罪の関係を決定すること。それらの罪のうちで,財産に対する侵害はどのくらいか。

(八) 貧窮が,個人と社会に与える望ましくない影響について,表にすること。

(九) 委員を選んで,社会事業家を訪問し,話を聞き,貧民街や,簡易食堂や,無料宿泊所,セツルメント,質屋などについて,知識を得ること。学級において,現在の私的な社会救済施設について討議し,それらが適切に管理されているかどうかを決定すること。

(一○) 「危険な細民街の改善について」という題で,学級討論会を開くこと。

(一一) 最近における捨て子とこじきの数を調ベ,その拾てられた原因と,市(町村)におけるその原因を取り除く方法について,討議すること。

(一二) 現在の広範囲にわたって存在する貧困の原因について,多くの情報を得た後,その特殊な原因についての表を作り,それについて討議すること。戦争の準備と,その遂行が,いかに今月の経済事情を招来するのに影響を与えただろうか。

(一三) 大きな戦争の後には,いろいろな社会問題が起るものだということについて,歴史的に研究し,これを現在の状態と比較すること。

(一四) 生産力の急速な回復は,自分や,自分の級友に,どのような影響を与えるであろうか。

(一五) 自分の町(村)で,戦災をうけて家を失った人々の家の数を調ベ,町の総人口に対する割合を計算すること。また自分が住んでいる地方の者についても調ベること。戦災を受けて後,日用品としてどのような品物の配給を受けたか,表にしてみること。学校の生徒のうちで,戦災者はどのくらいあるか。戦災後の生活状態と,多くの困難にどのようにして戦っているかについて口頭か,あるいは文書による報告を求めること。

(一六) 日本の天然資源につき,諸外国のものと比較し,国民所得に対する人口圧の強さについて,研究すること。

(一七) 図民の所得は,農業や,工業の不適当な管理によって,いかに影響されるであろうか。戦争準備のために,国民所得の何パーセントが消費されたであろうか。もしそれが,戦費と同じ割合で社会の福祉の方にまわされていたとすれば,われわれの生活水準は,どれくらい向上していたであろうか。

(一八) 戦前において,日本の労働者は,最大の利潤を収めるために強行された海外貿易によって,いかに低賃銀労働にかりたてられたであろうか。

(一九) 新聞のつゞりや,雑誌のとじこみの中から,日本における産業の独占的な統制を取り除こうとして行われて来た種々の処置についての話を,読むこと。これらの処置が,なぜ取られたかを調べて,それが所得の分配にどのような影響を与えるであろうかを,討議すること。

(二○) 一家の収入と,物の値段とのつりあいが,現在は適当であろうか。物の値段が安く,生活が楽で豊かになるためには,どうすればよいであろうか。国家全体の立場について,研究してみること。日本人ひとり当たりの生活費と,外国のそれとを比較して,生活水準の向上ということについて,研究討議すること。日本人は,ひとり当たり,ふとん・着物・くつ・帽子・雨がさなどの必要な身のまわり品を,どのくらい持っているであろうか。また,一戸当たり,ラジオ・冷蔵庫・自動車・自転車などを,どのくらいの割合で持っているであろうか。これを,外国のものと比ベて,差のあることについてその理由を考えてみること。この際,便利な科学的な生活を営むということと,ぜいたくとは,厳密に区別する必要がある。

(二一) 日本人の食物・衣服・住宅などの生活条件は,戦争の結果,いかに貧弱になっただろうか。生産力の崩壊と,生活条件の困難との関係について,討議すること。

(二二) ラジオや,新聞や,雑誌から,住宅建築計画について情報を得ること。将来,住宅の数を増すことについて,どんな計画や活動が進められているだろうか。自分の町には,適当な住宅を持たぬ人々が,どのくらいあるだろうか。それらの人々に,いかなる処置が講ぜられつゝあるか。

(二三) 自分の町や村に,疎開している人々の生活を調ベること。疎開前は,どこに住んでいたか,家が戦災をうける以前から疎開していたか,それとも戦災の後であったか。この町村に親類があるか。疎開者の世帯主はどこに住んでいるか。疎開者が困っているのはどういう点か。町村に対する希望はないか。どうして疎開者は,町や村の生活にとけこんで行くであろうか。調ベた結果を,学級に報告すること。

(二四) 最近の新聞や雑誌から,インフレーションと生産力,特に,生産財(鉄・石炭) と消費財(なベ・衣料)との生産率に関する情報を得て,日本経済の現状について研究すること。

(二五) 自分の学校の教科課程について研究すること。学校で教育される教科目の表を調ベて,学校にいる間におぼえられる種々の有効な経験を,表にすること。これらの経験のうちで,自分の就職のために準備されたものは,どういうものか。就職に役だつものとして,現在の学校の教科課程に,さらにいかなるものを附加すべきであろうかということについて,学級で討議すること。

(二六) 最近の自分の学校の卒業生のどのくらいの人々が,職に就くことができたか。どんな仕事に従事したか。自分の学校では,職をみつけるのに役だつような何か指導をやっているか。一九四七年二月の卒業生を,一九四六年,及びそれ以前の卒業生と比較してみること。

(二七) 議義を聞いたり,書物を読んだりして,なぜ貧窮というものが生じて来るかを研究し,貧困者を生ずる直接の原因について,くわしい表を作ること。また,学校あるいは学級の各員が分担して,町の貧困者につき,貧困の原因・状況・将来の見こみなどにつき,具体的に調査し,前の表と参照して研究すること。いかにして貧困を打開すベきがについて,個人及び社会の立場から,討議すること。

(二八) 一般に,日本の家庭では,収入をじょうずに使うために,家計簿をつけているだろうか。家の経済をたくみに処理するためには,どのような教育が必要であるか,討議すること。

(二九) 海外引揚者の援護機関を訪問して,その事業の現状について情報を得ること。自分の学級や学校の中にいる海外引揚者の級友や生徒の生活調査をなすこと。学校に通うのに最も不自由な点は何か。また,現在希望していることは,どういうことかを明らかにして,委員会を設けて,その援助の具体的実行計画をたてること。また,在外同胞救出学生同盟や,引揚援護院(厚生省内)と連絡をとって研究したり,また実地調査にもとづく,引揚援後事業の改善案を定義すること。

(三○) 自分の地方でそれを必要とする人に援助の手をさしのべる私的な施設を,表にしてみること。それらの事業について,討議すること。

(三一) 種々の社会問題に関する政府の社会政策や,公共施設の統計的な表を作り,その効果について研究すること。現在あるもののほかに,政府によって実行されなければならない社会政策・公共施設や機関について,討議すること。

(三二) 日本経済の再建は,国民の現在の生活水準を向上するのにいかなる影響を与えるか。その目的を達するために,どんな具体的な手段があるかを,討議すること。

(三三) 最近の新聞や雑誌の記事から,日本産業の再建計画についての情報を集め,あらゆる利用の可能な資源を有効に使うことについて,討議すること。この際,狭い国土と貧弱な資源しかないにもかゝわらず,高い人口圧を支え,その上に将来,賠償を誠実に行わなければならない不幸な条件を,考慮すること。

(三四) 土地所有制度の民主化と,日本農業の発展との関係を調べ,それが,日本経済の再建に与える影響について,討議すること。

(三五) 工業原料と食糧との輸入の見返りに,国内生産物資の輸出は,きわめて重要である。日本が,将来,外国貿易を許されたとして,それが,われわれの生活条件に与えるよい影響について,討議すること。

(三六) 独占企業の欠陥について調ベ,その解体によって,日本経済の再建にいかなる影響を与えるかを,討議すること。

(三七) 国家再建のために,われわれは,戦前の二倍も三倍もの努力をしなければならない。雇よう主と従業員は,そのためにいかなる責任を負うべきか。

(三八) 戦後における均衡を失った国民経済を克服するために,租税は,いかに徴収され,そして,支出されるベきであろうか。

(三九) われわれの就職のチャンスという題で,学級討論会を開くこと。

(四○) 新聞や雑誌から日本における失業問題に関する記事を集め,その中で興味のあるものを学級で読み,失業問題について討議すること。

(四一) 自分の町の失業者の数・年齢・失業の原因,現在の能力と希望する職業を調ベて,失業救済の方法について,討議すること,過去における日本の失業問題を研究して,これを戦後のものと比ベること。

(四二) 読み物や,先生からの講義によって,英国における産業革命についての知識を得,近代機械生産組織の発達と,失業問題の関係を研究すること。

(四三) 合衆国においては,なぜ日本に比ベて,より広く,より著しく機械の使用が進んでいるのであろうか。人口の過剰と低賃銀が,労働の組織に及ぼす影響について,調ベること。

(四四) 自分の地方の職業補導所を訪問して,その事業の概略について知識を得るとともに,補導生と話し合って,かれらの略歴や,どうしてこの補導所にはいったか,現在何をしているか,将来何をやりたいかについて,調ベること。全国の補導所の所在地,補導生の数,補導科目,及び方法を調ベて,学級に報告すること。

(四五) 自分の町(村)で,現在以上に人を雇うことのできる産業はなんであろうか。正常な生産活動を再開するには,いかなる困難があるだろうか。

(四六) 失業が,個人や社会に及ぼす影響を表わした漫画や,絵を描くこと。

(四七) 「職業教育はなぜ必要か」という題で,討議すること。

(四八) 自分の地方の主要な職業について,それが労働に安定をもたらすか,あるいは安定をもたらし得ないかを明らかにする目的で,それを研究すること。

(四九) 失業保険や,農業保険などの諸制度について,書物を読み,人の話を聞き,知識を得て,このような社会に起る不慮の災難や,不可避な危険を,社会のすべての人々が協力して負担しようとする制度の得失について,討議すること。わが国において,すでに行われているものにどんなものがあるか,その成績や効果は,どうであるか。また,現在準備中のものに,どのようなものがあるか,それはどんな構想を持っているか。これらについて,外国(米・英・ソ連・仏等)のものと比較研究すること。

(五○) 地方の民生棺(従来の方面館)を訪問して,民生委員の仕事について情報を得ること。いわゆる「カード階級」とは,どういう人々をさすのか,どのようにして,ある個人をこの階級に属するかどうかをきめるのか,民生館によって,それらの人々の救助に,いかなることがなされているか。民生委員から案内してもらって,民生館からの扶助を受けている世帯を訪問しその人々の生活について調ベること。直接的な社会扶助を与える現在の制度について討議し,それが適切に管理されているかどうかを決定すること。どうすれば,公の扶助に頼らなければならない人々に対するわれわれの偏見を取り除くことができるであろうか。

(五一) 町の授産場を訪問し,その事業の概要を調べること。毎日幾人ぐらいの人が働きに来るか,働きに来る人々の性別・年齢・生活状態,どんな仕事を現在やっているか,一月にどのくらいの仕事をするか,それによってどのくらいの収入になるか,それだけで生活できるか,特来の希望は何か,などについて調ベ,学級に報告すること。この仕事は,失業問題の解決に,どれくらい役に立つだろうか。

(五二) 公共職業(労働)安定所(職業案内所・口入れ屋)をたずね,その事業についての情報を得て,学級に報告すること。その機構・執務時間,事業の種目,料金をとるか,どうか,従業員はどのくらいあり,その任用法はどうか,などを調べること。利用者の数,職業紹介の方法,就職率,利用者の男女別,年齢,教育程度,生活程度,希望職業と紹介の成立する率のよい職業などについて調査し,報告する。

(五三) 生活困難な人々を扶助するために,村・町・県・国家において行っている種々の施設と機関について調べること。その組織・事業の内容,事業の概要について明らかにすること。集めた資料を手がかりにして,これらの施設によって扶助を受けつゝある貧困者は,どのくらいになっているか討議し,扶助方法の改善について,研究すること。

(五四) パネル討議法(数人の代表が討議し,他の者は傍聴する形式の討議法)によって,政府はいかなる医療制度についての配慮をなしているかを,論ずること。

(五五) 学校へ,社会厚生事業にたずさわっている人を招き,日本における種々の社会福祉の増進に関する事業について話を聞き,町村における改善すベき問題について,話し合うこと。

(五六) 委員を選んで精神病院を訪問し,そこで,医者から患者の取り扱い方法について話を聞いて来て,学級に報告すること。

(五七) 自分の地方で,子供が働きに行くようになる普通の年齢について知識を得,早くから子供を働かせることによって起る悪い影響について,調ベること。

(五八) 自分の地方における青少年に対する公の保護施設を挙げること。孤児院・感化院・少年審判所を訪問し,青少年保護に関する仕事について,知識を得ること。自分の地方に,才能はあるが貧乏な青少年を助けて学校に通わせる奨学資金制度が,あるかどうか。

(五九) 自分の町の浮浪児収容所を訪問し,その事業の概要,勤務者の数とその仕事,収容児童数とその消長・年齢・教育・体格・指導上の困難な点,食物・衣服・布とん,その他児童に課する仕事の種類などを調ベること。調査の結果を学級に報告し,現在の制度における欠陥と思われるものについて討議し,その改善につき提案すること。

(六○) 自分の町には,休養と娯楽(レクリエーション)の機会を与えてくれるものとして,いかなるものがあるか。それは,町の子供や自分たち,また,大人の要求に合するものであるだろうか。大人から見て,思わしくないと思われるようなレクリエーションの施設があるだろうか,これらの施設を改良させるためには,いかなることが必要だろうか。

(六一) 町の少年の不良化について,その種類と,原因とを調査して,その対策を論ずること。この目的のために,近隣の学校と協同して,合同の委員会を組織し,その対策を実行すること。

(六二) 養老保険(年金)・生命保険・傷害保険に関する知識を得て,保険制度で,私的企業組織によるものと,政府の公共事業として行うものと,いすれが国民にとって利益になるかを,討議すること。

(六三) 不具者・貧窮者・失業者・戦災者・海外引揚者を扶助する場所として,日本の家は,どのような役割りを果たしているであろうか。五,六十年前から現在に至るまでに,この点について,家の機能は,どのように変化して来たであろうか。どんな変化が現在みられるか。書物を読んだり,年長者から話を聞いたりして知識を得て,学級で討議すること。

(六四) なぜ自分の町(村)は住みやすい所なのか。どういう点がよくないところか,どういう点が改善できると思うか。

(六五) 文明の進歩によって,いかに肉体の欠陥が除かれるかについて調ベ,学級に報告すること。また,発明と文明の進歩は不幸な人々の救助に,いかなる程度に役だつか。政府または私的な社会施設は,これに援助を与えつつあるかどうかを明らかにすること。

(六六) 種々の肉体的欠陥について挙げ,それらの欠陥を持つ人々に対して,いかなる便宜が講ぜられているかを調ベて,報告すること。

(六七) 公立の病院や診療所を訪問して,無料で施療してもらいに来る人々について調べること。その職業・男女・年齢の割合,病気の種類はどうか。特に多い病気は何か。医者の忠告が,患者によく守られるかどうか,調ベること。

(六八) 傷い軍人の数を調査し(現に入院中のものと,そうでないものとに分かつ),最寄りの病院を訪問して,その状態を調ベること。再起の道は開かれているだろうか。政府はどのような保障を与えているか。過去における廃兵問題を研究すること。

(六九) 自分の知っているめくら・つんぼ・おし・不具廃疾者について調ベ,仮名または氏名を符号で表わしてみること。どうすれば,かれらみずからも満足し,社会にも役だつようにこの人々の生活を向上させるように指導することができるか。

(七○) めくら・つんぼ・おしの学校を参観し,教育の特別な方法を明らかにすること。点字の歴史を調ベ,点字の新聞や書物を集めて研究すること。現在の教育制度は,かれらを社会の有用な一員となすに十分なものだろうか。

(七一) 日本におけるめくら・つんぼ・おしの学校の数と,このような特殊な教育の沿革を調べて,表にしてみること。できるならば,その生徒数をも調ベて,学校に入って特別の教育を受けることのできる人と,できない人の割合を算定してみること。特別の教育を受けた場合と,受けなかった場合とで,その人の一生に,どれほどの差ができるであろうかを研究すること。それぞれの学校の生徒数の変遷を調ベて,表にしてみること。

(七二) 身体の欠陥と,知能の発達の問に関係がないであろうか。自分の知っている例について,話し合ってみること。頭の悪い子供のために,特別の教育がなされているだろうか。あれば,その教育機関を訪問して,調べて来ること。子供たちは そこで適切な取り扱いをうけてるだろうか。

(七三) 異常児童や,精神薄弱児について書いた書物を読み,その教育にたずさわる人々の苦労や努力を,明らかにすること。

(七四) 刑余の人々を収容して補導する所や,感化院を訪問して,上にならって調査すること。「みかえりの塔」という書物を読んで,感想を発表すること。

(七五) 最近の大きな災害(例えば,関西地方の大地震)についての詳しい情報を得て,その救助に協力した団体の名を挙げること。このような損害を軽減するため,可能な種々の手段について,討議すること。

(七六) 町の復員者及び引揚者の数を調ベ,その人々を訪問して現状を明らかにすること。困っている人たちの数は,その人々の何割ぐらいか。また,どの程度に困っているか。自分たちでできる援助の方法と,政府のとるベき処置について,討議すること。傷い者や,遺家族や,引揚者などの要救護者援助のために委員会を組織して,全生徒が任務を分担して活動すること。

(七七) 遺家族を慰問し,困っている人たちに対する援助について考えること。政府として,また,地方の市・町・村団体として,どのような施策をなすベきかについて討議し,提案すること。

(七八) 日本の歴史,特に,社会史・経済史を読み,過去において,上に述ベた活動のような種々の施設で実施されたものにはどんなものがあったかを調べること。最近の新聞・雑誌・報告・書物を読んでくわしい情報を得,現在行われているもの,将来,実施の予定で論議されつゝあるものについての具体的な計画を集めて表にし,その重要と思われるものの順に,しるしをつけること。

(七九) 貧困や,生活難から起って来る問題を解決するために日本において採用可能なもので,外国において,すでに実施しつゝあるものにどんなものがあるか。新聞や雑誌を読み,映画や写真を見たり,ラジオを聞いたり,また,外国の事情に通じている人を訪問して情報を得,日本の計画と比較し,討論会を学級で開いて,その改善策を考えること。次のようなものについて,明らかにすることは有効である。

 (1) 合衆国・スエーデン・イギリス,その他の国でやっている実際の計画。

 (2) 社会安定方策。

 (3) 直接的救助方法。

 (4) 公共援護事業。

 (5) 失業保険制度。

 (6) 養老扶助と恩給。

 (7) 住宅建築計画。

 (8) 私設の社会福祉の増進と救助のための団体。

 (9) 教会・寺院と教団の事業。

 (10) 病院・孤児院・養老院・不具廃疾者収容所などの公私の施設。

 (11) 公共団体の中心的施設による配慮。

 (12) 合衆国における地方団体の社会厚生基金制度。

 (13) 青少年団(Y.M.C.A,Y.W.C.A,4Hクラブ)。

 (14) 健康・傷害保険。

 (15) 母子保護施設。

 (16) 職業補導。

 (17) アンラ・ララの事業。

 (18) 赤十字社。

(八○) との単元の学習の活動の間に集めた資料をまとめ,展覧会を開いて,両親やその他の人々を招待して見てもらうこと。


単元五 日本国民は民主主義をどのように発展させつゝあるか。

~学習活動の例~

(一) 広く書物を読んで,世界の偉大な民主的な指導者のくだした民主主義の定義,日本の新憲法,合衆国の独立宜言やフランスの人権宣言のような文書から,民主主義の定義をたくさん集めること。学級で討議した後,一般に民主的な政治や,民主的な生活に通じると考えられる特色の表をつくること。この単元の学習を通じて,民主主義の生活について学ぶにつれて,項目を加えたり削ったりすること。

(二) 民主主義の実際の特色の表がだいたいできたら,この基準にもとづいて,日本の伝統的な家庭生活について,討議すること。

(三) 自分の学校には,非民主的な点はないだろうか。この単元の学習を通じて,自分のつくった民主主義の基準によって,自分の学校の生活を計ってみること。

(四) 自分の市町村当局や,自分の市町村の民間社会団体の働きについて研究すること。自分が観察して非民主的だと考えるもの,民主的だと考える行動の表をつくること。

(五) できれば,会合や市町村会,地方の政治の会をたずねること。このようなグループは,一般の人をどのように代表しているだろうか。かれらの活動は,公共の福祉をどのように高めているだろうか。

(六) 自分たちが観察した非民主的な行為と,自分の注意をひいた民主的な行為について,学校新聞の論説を書くこと。

(七) 日本における民主主義の改革遂行について論じている新聞の記事や論説の切り抜きをつくること。それについて,学級で討議すること。

(八) 民主主義の発展に助力した世界の有名な指導者を選び出すこと。これらの指導者の一生や仕事について,学級に口頭で報告すること。

(九) 歴史の書物を読んで,百年前の日本の国民の日常生活について知ること。百年前に比べてどんなふうに自分たちの地方の人々は,前より自由になっているだろうか。

(一○) 戦争中には許されなかったことで,現在では自由にやれるようになったことがらについて表をつくること。

(一一) 西洋古代史の書物や先生の講義から,古代ギリシアやローマの政治的な事情について,知識を得ること。古代におけるギリシアやローマの,ある民主的な発展について,報告すること。そこで発展した民主主義は,国民の大きな団体にまでは拡がらなかったのは,どうしてだろうか。

(一二) 西洋の中世史で,封建君主の支配権がどれほど強かったか,人民の状態はどうだったかについて,調べること。それについて報告すること。わが国の封建時代の状態と比較すること。どんな相違と類似が見られるだろうか。

(一三) 歴史の本を広く読んで,イギリスにおる民主主義が,次第に発展したあとをたどること。

 (1) サクソン人の諸王のもとで,イギリス国民はどの程度の自治をもっていたかを示すこと。

 (2) ウイリアム征服王治下のイギリス国民の生活について,書物によって勉強すること。わが国の封建時代の国民生活と比較して,封建時代のイギリス国民の日常生活はどうだったろうか。

 (3) 大憲章(マグナ・カルタ)について,また,それができた事情について,勉強すること。いわゆる「イギリスの自由のとりで」としての限界について,討議すること。

 (4) 下院の成長について調ベること。大地主や大商人を代表する狭い団体から,国民を代表する団体に,どういうふうにして発展して来たかを示すこと。

 (5) 国王は統治の神権をもつ,という思想は,イギリスでは,いつ,またなぜ棄てられたか。

 (6) イギリスでは,普通選挙になるまで,どのようにして参政権は次第に拡大していったか。

 (7) イギリスの議会制度を,日本の現在の国会の制度と比較すること。

 (8) 近代のイギリス国民の日常生活を解説している物語を見つけることができたら,それを読むこと。それを,封建時代の庶民の生活について書かれた,歴史的な記録と比較してみること。庶民は,昔はもっていなかったどんな自由を,現在もっているだろうか。そういう自由は,庶民の生活をどんなに豊かにしているだろうか。

(一四) アメリカにおける民主主義の発展のあとをたどること。

 (1) 読書によって,アメリカ入植の動機について学ぶこと。入植に際して,信教の自由に対する欲求が,どんな役割りを演じたろうか。金持になろうとする欲求は,どんな役割を演じたろうか。

 (2) アメリカへ封建制を移植しようとして,どんなことが企てられたか。この試みはついに失敗したが,どのように,また,なぜ失敗したかを示すこと。

 (3) アメリカにおける最初の民選議会(ヴアージニアの市民議会)の組織について,勉強すること。

 (4) なぜアメリカ植民地は,イギリスに反抗したか。

 (5) 合衆国の独立宣言の前文を注意して読むこと。この文書の中に,民主主義の本質を最もよく表現したものを見出だすであろう。この原則について,また,これが自分たちの地方にそのまゝ適用されたらどういうことになるかについて,討議すること。

 (6) 合衆国憲法の主要点を研究すること,――どのように書いてあるか――違った利益の間の妥協を,どういうふうに表わしているか。合衆国憲法の権利条項を,特によく読むこと。日本の新憲法に保障されている権利の中で,どういうものが合衆国憲法でも国民に保障されているか。

(一五) ドイツのワイマール憲法を研究すること。それは民主的であろうか。なぜ最近ドイツは,民主的な生活を選ぶことに失敗したのだろうか。その原因を表にしてみること。また,日本の現状の中に,似たような条件があるかどうかを明らかにすること。もしあるとすれば,失敗を避けて,われわれの生活の民主化を進める道について,討議すること。

(一六) 日本の主要な政党によって表明された党の原則や政綱を,研究すること。いろいろの政党は,いろいろの人々の信念を,だいたいどのように代表しているだろうか。日本の多数党組織を,合衆国の二党制と比較すること。一党政治は,なぜ国民をうまく代表することができないだろうか。一党制のもとでは,ドイツ・イタリヤ・日本の国民の権利はどんなにしいたげられたか。民主的な政治の働きにとって,なぜ多数の政党が必要なのだろうか。

(一七) 憲法で自分たちに保障されている政治的,社会的,経済的,権利の表をつくること。この表の各条を,自分たちが果たさなくてはならない責任と比較すること。

 例‥自分は言論の自由の権利をもっている。しかし,自分はこれを用いるに当たって,中傷とか悪口とかを避ける責任をもっている。

(一八) 日本における民主主義の漸次的な発展のあとをたどること。

 (1) 江戸時代における庶民の勢力に反映した民主主義が,相当に発展したことについて,報告を書くこと。

 (2) 日本国民は,明治維新で,どのくらい民主化されたであろうか。どんな原因によって,わが国民は,高度に民主化するのを妨げられたのであろうか。

 (3) 明治憲法の発布及び代議制度の設立は,どういう理由で行われたのであろうか。

 (4) 福沢諭吉や板垣(いたがき)退助のような,日本における民主的指導者の伝記を研究すること。

 (5) なぜ日本は,特に昭和六年から昭和二十年まで,民主主義に反する方向をたどったのか。

 (6) 明治憲法と比ベて,新憲法の発布は,日本史においてどんな意味をもっているか。

(一九) 労働組合は,生活水準を高めるのに,どのような力となっているだろうか。イギリス,合衆国,あるいはヨーロッパ諸国の労働組合の歴史を研究し,日本の労働組合の歴史と比較すること。

(二○) 産業革命は,どのように国民の力を拡大しただろうか。イギリスを例にとって作文を書くこと。なぜそうであるかについて,討議すること。

(二一) 6-3-3学校制度について,いろいろな方面から広く知識を得た後,わが国の教育の民主主義にとって,それがどんな意味をもつかについて,討議すること。

(二二) 学級の指導者をきめる学級選挙をやりながら,民主的生活を進めるのに,力となるような指導者の資格や義務について,討議すること。

(二三) 新憲法の重要な条項の研究のための委員を指名して,その報告にもとづいて,自由討議を行うこと。特に次の点を考慮すること。

 (1) 人権条項。

 (2) 戦争放棄。

 (3) 参政権の拡大。

 (4) 主権在民。

 (5) 政府の民主的機構。

 (6) 地方行政度の改革条項。

(二四) 各国(合衆国・イギリス・フランス・ソ連及び中国)の生活における,違について,また,各国の民主主義の程度について,学級で討議すること。

(二五) 警察官あるいはその他の官吏を教室に招いて,最近の警察行政その他の制度や機能や,また,公僕の義務の変化について,話をしてもらうように頼むこと。そのあとで,わが国の役所や官吏がどのくらい民主化したかについて,討議すること。

(二六) 自分の地方の政治の組織について,明治の後期から現在に至るまでの変化を研究すること。住民が政治活動に参加する機会は,どのように大きくなったろうか。外国の地方政治組織について研究した後,それと自分の地方のそれとを比較して,自分の地方の政治組織で改良すべき点を,明らかにすること。

(二七) 一般投票と普通選挙について研究すること。わが国の民主的な生活を促進するために,なぜこのような政治機構を採用する必要があるのだろうか。自分のもっている知識をもとにして,討議すること。

(二八) 自分の地方に在住する代議士を招いて,議会と選挙について,話をしてもらうこと。市・町・村議会・都道府県会・国会の議員選挙の資格の表をつくること。

(二九) 模範的な討議を行い,数名の生徒を選んでそれに参加させること。他の生徒は,傍聴者あるいは批判者として出席すること。その際,討議をしているものについて,次の諸点に注意して,自分の反省の資とすること。

 (1) 他人の意見をよく理解しているか。

 (2) 自主的な意見を述べているか。

 (3) よく自分の考えを表現しているか。

 (4) 違う意見に対して寛容であるか。

 (5) 協力的,建設的な態度を示しているか。

(三○) 日本における政党の発達史を研究して,報告すること。現在の政党の政綱を集め研究すること。また,その政綱のおのおのがどの程度に世論を反映しているかについて討議すること。

(三一) 世界における三権分立の発展について,また,政治的民主主義にとってそれが必要なことについて,研究すること。「三権分立に関してみた新旧憲法の本質的相違」という題で,作文を書くこと。

(三二) 地方裁判所をたずね,裁判の過程について,そこの官吏に話をしてもらうこと。現在の裁判の過程と,江戸時代のそれとを比較し,その知識をもとにして,なぜそういう違いがあるのかということについて,討議すること。

(三三) 日本の家庭生活と,西洋の民主的な国(イギリス,合衆国,または他の国々)の家庭生活とを比較すること。わが国の家庭生活において,改善すベき点を改めるには,どうしたらよいかについて討議すること。

(三四) わが国の家庭生活における女性の地位の改善について,学校で討議すること。

(三五) 自分たちの地方の生活で,非民主的と考えられることがらについて,表をつくること。徒党や世襲的身分などがあるだろうか。もしあるとすればなぜそういうものが存在しているのか,その理由について,またそれが自分たちの地方に,どんなよくない影響を与えているかについて,討議すること。そういうもののあった方が利益になるという人があるだろうか。

(三六) いろいろなところから知識を集めて来たのち,資本主義における重要な困難な問題を見出だすこと。国民の経済生活をもっと民主的にするためにこのような問題を解決するのは,どういう意味で必要だろうか。

(三七) 資本主義と社会主義との相違を,例えば次の諸点に関して,表にすると。

 (1) 価格や市場に対する政策。

 (2) 国有問題。

 (3) 失業政策。

 (4) 税制政策,金融政策など。

(三八) 社会主義は,民主的な方法で実現できるだろうか。もしできるとすれば,それが可能なために,国民はどんな努力をしなくてはならないかについて,討議すること。

(三九) 労働組合の指導者をたずねて,その労働組合の目的と活動について話してもらうこと。他のところからもいろいろ知識を得て,労働組合の一般的な目的について,学級に報告すること。その知識をもとにして,国民の経済生活の民主化と,健全な労働組合運動の発展との間の本質的な関係について討議すること。

(四○) 独裁制から生ずる不利な点の表をつくること。(最近のドイツ人,イタリヤ人,及び日本人の運命について研究し,それらすべてに共通する点を見出だすのがよい)。政治,社会的及び経済的な国民生活に関して,民主主義が独裁制よりも有利な点について討議すること。

(四一) 共産主義は,民主的であろうか,また,民主的になることができるだろうか。新聞記事や雑誌から,各国の共産主義運動の情報を多く集めたのち,上の問題について討議すること。

(四二) 国際問題に関して,新聞の切り抜きをたくさんつくること。それを材料として,民主主義の発展について作文を書くこと。日本は,世界の民主化の促進に対して,どんな任務をもっているか。

(四三) 昭和二十年以来の政治的,社会的,経済的生活の変化によって生じた事件を観察する委員を選ぶこと。われわれの公共の福祉を向上するのに好ましくない傾向が,どのくらいあるだろうか。われわれの状態を改善し,民主的な生活を発展させるためには,どんな手段があるだろうか。またどんな手段が必要だろうか。国民の政治的,社会的,経済的な生活の改善のために,教育はどんなに重要だろうか。


単元六 われわれは世界の他国民との正常な関係を再建し,これを維持するために,どのような努力をしたらよいか。

~学習活動の例~

(一) ギリシア人・古代中国人が一般に他国民に対してどんな態度をとったかを調ベること。それは真の愛国心からであろうか,討議すること。

(二) フランスあるいは英国の成立について研究すること。どのようにして近代ヨーロッパの国家は成立したかについて学級に報告すること。

(三) 国家のためにつくすということと世界の平和,人類文化の向上に寄与するということとの関係について討議し,世界平和に必要な条件について例を挙げて各自作文をつくること。

(四) フランス国民軍をひきいたナポレオンはなぜ強かったか。合衆国はなぜ独立し得たか。フランスの人権宣言,合衆国の独立宣言を調べて報告を書くこと。

(五) 世界における主要生産地域と主要通商路を示す地図をつくること。ある定期間内における日本の外国貿易に関する資料で役に立つものはすべて集めること。大地図,図表,グラフによりこれを図解すること。日本の輸出品の送出国,及び日本の輸出品が積み出された図を示すこと。これらの輸出品を陳列すること。それぞれの国が他の国にどのように依存しているかを各種の図を用いて示すこと。

(六) 過去における日本と(例えば)デンマルク,あるいは南アフリ力及びその他の国との経済的関係を,直接間接をとわず調ベて報告すること。

(七) 戦前の日本及び他の国々の関税を調査研究すること。その貿易に及ぼした影響を論ずること。関税は果たして世界貿易を害したかどうか,という問題を討議すること。手紙を出すなり,個人的に会うなりして,専門家から関税について意見を聞くこと。

(八) 国々の間に製品が交換される状態を示す展覧会を開くこと。学校の他の学級をこの展覧会に招くこと。父兄にも展賢会に立ち合ってもらうこと。

(九) 日本がかつて他国から学んだ政治形態,組織などについて歴史的に調べてみること。それを採用して,わが国にとってどれほど役に立ったか。民主的な政治機構の形式が改良された例と非民主的に利用された例を探し出すこと。

(一○) 国際法とは何か。明治以後日本が他国と結んだおもな条約を研究すること。

(一一) 毒ガス使用禁止というようなある国際法の問題について勉強すること。国民と個人によってなされる行為で国際法によって禁じられているものいっさいを表にすること。

(一二) 第一次世界大戦に合衆国はなぜ参戦したか。ドイツと合衆国との関係について調ベてみること。

(一三) 近代において日本から他国に移住した日本国民の数を示す図表どグラフをつくること。自分のつくった図表を学級に説明すること。その際日本人の移住した国々を示すこと。同じ時期に行われた外国人の日本への渡来についても同様の図表をつくること。

(一四) 日本が他国から学んだ技術と考案とを表にすること。日本と他の国々との文化交流を図解した地図をつくること。

(一五) 日本人の生活上のしきたりと習慣をできるだけたくさん集めること。(家庭・学校・まちでの行動・習慣・種々の慣行),外国から来たものはグラフ図解の方法を用いてその出所を示すこと。現代日本の慣習をそれぞれ他国の慣習と比較してみること。

(一六) 日本へは昔からどんな他国の宗教家が渡来したか。その人たちはどんな影響を日本人に与えたか。歴史の書物によって研究し,学級に報告すること。

(一七) 自分の学校に,洋行したことのある人々を招くこと。外地の生活のいっさいを話してもらうこと。できれば,例えば合衆国といったある一定の国をたずねた数人の人の話を聞き,各人の印象を比較してみること。

(一八) 合衆国その他の国々でつくられた映画を見ること。いつでもそれらの映画が,文字で読んだものと比ベて,いっそうよくその国の生活を表わしているかどうかを明らかにするように努めること。

(一九) 他国の人々の生活のありさまを示した劇を書き,上演すること。

(二○) 他の学級に外国の生活について,実物説明をしてやるために開く会のプログラムを準備すること。

(二一) 他国の作家たちの書いた本を読むこと。それについて学級に報告すること。著者の意見を,いちいち学校で討議すること。

(二二) 他国の劇作家の書いた演劇を選び,学校の他の学級に先んじて上演すること。

(二三) どうして,ラジオと飛行機が文化の国際的交流を加速度的に促進したかを示すこと。すぐれた外国放送を聴取すること。それについて学級で討議すること。

(二四) 他国の音楽のレコードを手に入れること。学校か家庭のラジオでレコードに吹きこまれた交響楽団の演奏を聞くこと。

(二五) 外国の絵画の模写を集めるとと。それらを生活の解釈という点を中心として日本の絵画と比較すること。

(二六) 音楽の先生に他の諸国でつくられた歌を教えてもらうように頼むこと。

(二七) 他の諸国の青年の行う競技(室内及び野外)を知ること。自分の学校にそれを紹介すること。自分の現にやっている競技の起源を明らかにすること。

(二八) 近代即ち明治のはじめからの日本と他国の関係を研究すること。近代史の種々の重大な局面に際してとった日本の外交政策を学級で討議すること。どうして日本の外交政策が他国との紛争に日本を引き入れたかを明らかにすること。

(二九) 委員を選んで一九二二年のワシントン条約,ケロッグ-ブリアン協定,一九三○年のロンドン海軍会議,九箇国条約,その他一九二○年から三七年の間に行われた国際間の会議及び協定につき報告を集めること。個々の事件に対する日本の態度を批判的に調査すること。

(三○) 委員を選び,国際連盟に関する役に立つ知識――即ちその起源,組織及び存続した間になした活動の記録――を得ること。連盟の活動に際し,日本の占めた役割を討議すること。

(三一) 役に立つ事実,情報を集めたのち,日独伊において,軍国主義が平行して成長した事実について討議すること。政府内の軍国主義の成長が,これら三国の外交政策にどんなに影響したかを示すこと。

(三二) ポツダム宣言についてのあらゆる事実を知って,そこに記されている各条項から,現在の日本の地位を明らかにすること。連合国軍占領後,発せられた連合国軍司令部の指令のおもなるものについて研究すること。

(三三) 読書の研究・討議によって戦争の原因を見出だすこと。それをすべて図表にのせること。一段目にそれを書き,二段目にはおのおの原因を説明する例を挙げること。それにもとづいて平和への見通しを研究すること。

(三四) 次のようなことで利益を得ようとした人々が戦争で演じた役割について学級討議すること。

 (1) 軍需品を製造し売却すること。

 (2) 軍隊にあって昇進すること。

 (3) うまい営利事業にありつくこと。

(三五) 大実業家の幾人かが営利のために戦争に協力した,ということについて,証拠をあげることができるか,どうか。

(三六) 日本が第二次世界大戦をひきおこした原因について,表をつくること。

(三七) 学級で戦争の経済的,社会的損失について論ずること。

 (1) 家族や友人を失う悲劇をもたらす人間生活の損失。

 (2) 人間の才能や技能の素質を失うこと。

 (3) 身体強壮な人々を失うこと。

 (4) 課税の増加。教育や公衆の福祉のために費すべき金を戦争に使うこと。

 (5) 生産と全経済生活の破壊。

 (6) 戦後の惨たんたるインフレーション。

 (7) 世界貿易の縮小。

 (8) 民主主義的政治が犠牲にされること。

 (9) 道徳的精神的価値の喪失。

 これらの損失が太平洋戦争の結果としてどのように,またどの程度に起ったかを明らかにすること。

(三八) 昭和十二年(一九三七年)に始まり昭和二十年(一九四五年)に終った戦争で死傷した人の数について情報を集めること。

(三九) 自分が手に入れることのできる歴史の教科書や参考書から人類が平和を求めるために,何世紀にもわたって展開した努力について知ること。学級の生徒が次のような課題を分担するようにきめること。

 (1) ヨーロッパ中世における私闘休止。

 (2) 国際法の父,フーゴー・グロチウス。

 (3) フロ一レンス・ナイチンゲールの伝記。

 (4) 国際赤十字社。

 (5) 一八九九年のへーグ会議。

 (6) 一九○七年のヘーグ会議。

 (7) 国際連盟の活躍。

 (8) 全米連合。

 (9) 一九二一年のワシントン会議。

 (10) 一九二五年のロカルノ会議。

 (11) 一九三○年のロンドン会議。

 (12) 一九三二年のジュネーヴ会議。

 (13) ヘーグの永久仲裁裁判所。

(四○) パリ・モスコー・ニューヨークの四国外相会議,平和会議について,また米・英・中国・ソ連等の平和に対する努力,及び小国家群と平和といこうとについて,勉強し討議すること。

(四一) 国際連合の憲章を遂条的に検討討議すること。憲章に関する新聞記事をできるだけ多く集めること。国際連合の起源・組織・目的を討議すること。国際連合の機構に関する記事を切り抜いて保存すること。それらの記事を見つけしだい,学級で朗読し,それについて学級討議すること。

(四二) 第二次世界大戦後,社会理想はどのような変化をうけたろうか。学級でそれについて調ベ,戦後の理想世界について,一定の結論を出すような討議を行うこと。

(四三) 国際問題に関する新聞の切り抜きでスクラップ・ブックを作ること。

(四四) あへん取り引きを抑制し,労働者の状態を改善しようとする国際的な試みについて報告(文書または口頭)すること。

(四五) 「戦争を防止するために仲裁が,どういうふうに用いられて来たか」という題目で学級に報告を準備し,それを述べること。

(四六) 新憲法の戦争放棄・文化国家の建設の重点について作文をつくり,学級で発表し批判しあうこと。できるならば近隣の高等学校と公開討論会を行うこと。

(四七) 日本が平和の国となるために必要な条件を研究し,それを表に作って,現在の状況と比較すること。

(四八) 日本がいろいろな時代に人口問題の解決に対してとって来たいろいろな政策を歴史的に比ベること。今後の日本は人口問題をどうすればよいか。平和的な解決という点から現在の資料を集めて研究すること。

(四九) 新憲法の規定している社会理想の各条項について,他の民主諸国家のそれと比較研究してみること。

(五○) ニュース記事にもとづき,民主主義諸国が平和達成のためには,いかに喜んで自国の意図のうちのあるものを犠牲にするか,ということを立証すること。

(五一) 国際競技の記録を調ベること。日本がオリンピック競技やデ杯戦やその他国際的なスポーツに加わっていたときの状況を示すこと。

(五二) 人類の福祉に寄与したことによって国際的名声を得た人々の伝記――例えばウッドロー・ウイルソン,トーマス・マン,フランクリン・デラノ・ルーズベルト,キューリー夫人,アインスタイン――を扱った文章を学級全体のために書くこと。

(五三) 極端な国家主義者が自国と他国とに対して与えた不幸の例を挙げて,討議すること。

(五四) 他の国々の人々との協力を討議する学生討論会を組織すること。

(五五) 手紙を書いたり,個人的に面会したりする計画を立てて,日本が一九四一年より前に学生・教授・医者・科学者等を他の国々と交換した方法を調査すること。このことが関係諸国民をどのように利したかを示すこと。

(五六) 国際労働会議の歴史を調ベること。労働者と世界平和という題目で作文を書き討議すること。

(五七) 自分たちが日本人の誇りとして持ち得るもの(伝統・性格・文化的遺産等) について科学的に検討し,他国民のそれと十分比較して学級で一覧表にまとめてみること。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より
  • 目くばりをするということは、実際にそこに目を遏(とど)めなければならぬ。目には呪力がある。防禦の念力をこめてみた壁は破られにくく、武器もまた損壊しにくい。人にはふしぎな力がある。古代の人はそれをよく知っていた。が、現代人はそれを忘れている。
    「楽毅」第1巻より
  • 知恵というものは、おのれの意のままにならぬ現状をはげしく認識して生ずるものなのである。
    「楽毅」第1巻より
  • 会う人がちがえば、ちがう自己があらわれるということであろうか。
    「奇貨居くべし 黄河編」より
  • 静寂に染まりきれば、ふたたび起つことはない。生きるということは、起つ、ということだ。自然の静謐に異をとなえることだ。さわがしさを放つことだ。自分のさわがしさを嫌悪するようになれば、人は死ぬ。
    「楽毅」第四巻より
  • 人というものは、自分のやっていることをたれもみていないと思い込んでいるが、じつはたれかがみており、やがて賛同してくれる人があらわれる。
    「春秋の名君」より
  • 寵を受けても驕らず、驕っても高い位を望まず、低い地位にいながら怨まず、怨んでもおのれを抑えることのできる人は少ない
    「沈黙の王」より
  • 小さな信義が、きちんとはたされてこそ、それがつもりつもって、大きな信義を成り立たせる。それゆえに、明君は、小さな信義をおろそかにせず、つねに信義をつむように、心がけるものである
    「歴史の活力」より
  • 奥の深いことと、表現がむずかしいこととは、むしろ逆の関係にある。むずかしい表現のほうが、ぞんがい簡単なことをいっている場合が多く、やさしい表現のほうが、奥の深いことをいえる。
    「歴史の活力」より
  • 黄河の流れは悠久とやむことはない。河床もあがりつづけるのである。いくら堤防の高さをましてもらちのないことであった。
    「侠骨記」より
  • 人はおのれのままで在りたい。それは願望とはいえぬほどそこはかとないものでありながら、じつは最大の欲望である。人の世は、自分が自分であることをゆるさない。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • 外をもって仕えている者は信用するに足りぬ。つまり男でも女でも内なる容姿というものがあり、その容姿のすぐれている者こそ、依恃(いじ)にあたいする。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • 橘という木があります。この木が淮水の南に生ずれば、すなわち橘となります。ところが淮水の北に生ずれば、すなわち枳となります。葉は似ておりますが、実のあじわいはことなります。なにゆえにそうなるかと申しますと、水と土がちがうからです。そのように、その者は斉で生まれ育ったときは盗みをしなかったのに、楚にはいって盗みをしたのです。楚の水と土は、民に盗みをうまくさせようとするところがありませんか
    「晏子」(第四巻)より
  • 倹より奢に入るは易く、奢より倹に入るは難し
    「中国古典の言行録」より
  • 礼儀という熟語がある。礼とは万物を成り立たせている根元に人がどうかかわるかという哲理のことで、儀とは礼をどう表現するかというレトリックをいう。その二つが組み合わさって礼儀ということばが生まれた。
    「春秋の色」より
  • 都邑が矩形であるのは、この大地が巨大な矩形であると想像するところからきている。したがってかぎりない天地と形容するのは正確さに欠ける。大地にはかぎりがある。ただし大地は四方を高い壁でかこまれているわけではない。とにかく独創とか創見というものは、思考が狭い矩形をもたぬということではないか。人はいつのまにか思考を防衛的にしてきた。他者を拒絶しがちである。思考の四方に感情という壁を立てて、他者と共有してきた天を極端にせばめてしまった。
    「子産(下)」より
  • 人というものは、恩は忘れるが、怨みは忘れぬ。
    「孟嘗君 5」より
  • 人はたれにもあやまちがあります。あやまちを犯しても改めれば、これほど善いことはありません。『詩』に、初めはたれでも善いが、終わりを善くする者は鮮(すくな)い、とあるように、あやまちをおぎなう者はすくないのです。
    「沙中の回廊(下)」より
  • 「わたしは侈っている者を烈しく憎まない。なぜなら侈っている者はおのずと滅ぶ。が、なまけている者はどうか。わたしはなまけている者をもっとも憎む」
    「沙中の回廊(下)」より
  • 人を得ようとしたければ、まずその人のために勤めねばならぬ。すなわち、晋が諸侯を従えたいのであれば、諸侯のために骨折りをしなければならない。
    「子産(上)」より
  • 知るということは、活かすということをして、はじめて知るといえる。
    「青雲はるかに(上)」より
  • 師はつねに偉く、弟子はつねに劣っているものでもない。弟子の美点に敬意をいだける師こそ、真に師とよんでさしつかえない人なのではないか。
    「孟嘗君 2」より
  • 人を家にたとえると、目は窓にあたる。窓は外光や外気を室内にとりいれるが、室内の明暗をもうつす。そのように目は心の清濁や明暗をうつす。
    「孟嘗君 2」より
  • 人にものごとを問うということは、質問そのものに、問うた者の叡知があらわれるものである。
    「孟嘗君 3」より
  • 人から嫌われることを、避けようとする者は、心の修養ができていないことである。
    「中国古典の言行録」より
  • 人を利用すれば、かならず人に利用される。・・・企てというのは、人に頼ろうとする気が生じたとき、すでに失敗しているといってよい。
    「太公望 中」より
  • 与えられてばかりで、与えることをしないことを、むさぼると申します。むさぼった者は、なべて終わりがよくない
    「孟夏の太陽」より
  • ・・・料理をつくりながら、人と組織とをみきわめたのか。素材が人であれば、素材を合わせてつくった料理が組織である。それ自体はにがく、からいものでも、他の素材と合わされば、うまさを引きだすことができる。煮るとか蒸すとかいうことが、政治なのかもしれない。
    「太公望 中」より
  • 他人を変革するためには、まず自己を改革しなければならね。
    「太公望 中」より
  • 人が何かを得るには、二通りあります。与えられるか、自分で取るかです。(中略)与えられることになれた者は、その物の価値がわからず、真の保有を知りませんから、けっきょく豊さに達しないのです。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • みじかいなわしかついていないつるべでは、深い井戸の水を汲むことはできない。
    「奇貨居くべし 黄河編」より
  • 人は目にみえるものを信じるが、そのことにはかぎりがあり、けっきょく、人が本当に信じるものは、目にみえぬものだ
    「晏子」第二巻より
  • 人にはそれぞれこだわりがあり、そのこだわりを捨てて、変化してゆく現実や環境に順応してゆくことの、何とむずかしいことか。
    「奇貨居くべし 飛翔篇」より
  • 失敗を心中でひきずりつづけると、起死回生の機をとらえそこなう。それは戦場における教訓にすぎないともいえるが、大きな勝利とは、相手の失敗につけこむのではなく、自分の失敗を活かすところにある。楽毅の信念はそうである。
    「楽毅」第四巻より
  • 人の頭脳のなかの眼力は、木の幹にあたるであろうが、幹をささえるものは知識という葉ではない。根である。根は地上の者ではどうすることもできない伸びかたをする。その根は天から落ちてくる水を吸い、人からあたえられる水も吸って太ってゆく。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • 大木にするためには、幹の生長に目をうばわれがちであるが、地中の根を大きく張らせることを忘れてはならない。花を咲かせることをいそぐと、花のあとの結実をおろそかにしてしまう。要するに、大木でなければ豊かな実をつけないということである。
    「奇貨居くべし 春風篇」より
  • あらゆる事態を想定して準備を怠らず、変化に対応できるようなトップでいなければならない。
    「中国古典の言行録」より