それは古い男の偏った「思考スタイル」
古い教育関係者は,まだまだ男女差別に鈍感です。
ほんのわずかな,とても限られた経験のなかから,
「女性の短所」をあげつらう。
>おおよそ、男は理屈っぽく、女は理屈を嫌うと聞いてきました。
>事実、私の体験では、荒れたクラスを受け持ったとき、論理的な話をすると男は納得するのですが、女はそうはいきません。
>話を聞いたあとで「だってえ」と言うのは女です。
なぜクラスが「荒れる」のか,自分の胸に聞いてみる,ということをしないのが
指導力不足教員の共通点です。
「男は理屈っぽく,女は理屈を嫌う」というように,性別だけを人を区別する属性にして,
ああだこうだいう思考スタイルほど,「教育」のめざすものと異なるものはありません。
これも「人間の思考」です。「厄介なもの」をつくりだすのは,そういう思考しているその人間なのです。
人間をたった二つのグループに分けて,Aはこう,Bはこう,という思考スタイルをとる人間は,コンピュータいじりには向いているかもしれませんが,実社会に出るとどんなトラブルを引き起こすかわかりません。
せめて2次元の世界に導いてあげることが教育者としてのつとめです。
前の担任がもっていたころ,クラスは荒れていました。
その原因をどう考えたらいいのか。
男子は理屈で納得させることに成功しても,女子は感覚的に許してくれないということでした。
当たり前ですが,見えていないのです。
理屈で納得した女子もいれば,そうではない男子もいたはず。
理屈では納得できなかったが,先生への「思いやり」から納得せざるを得なかった男子もいたはず。
足りなかったものが何かは,聞かれる前からはっきりしてきます。
教育的指導には,「理屈」だけではない「思いやり」「やさしさ」「寛容さ」が必要です。
情意面で課題のあった子どもは,大人になっても
「自分のどこが問題なのか」に気付きにくいという特徴があります。
「悪いのは他人のせい」というのが生き方の基本になってしまっては気の毒です。
こういう人間が教師の立場で教育現場に入ってしまうと,普通の学校で1の時間で終わって10の成果が出せるものが,10の時間がかかって成果が全くでない,ということになります。
あまり気乗りはしませんが,教員採用の際には,
「踏み絵」的な「思考スタイル」チェックが必要なのでしょう。
こんな人間を二度と教育現場に出現させないように。
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コメント
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教育現場には,同じような傾向の子どもがたくさんいます。
もちろん,分別が身についた視野の広い子どももいます。
家庭教育の力の格差が非常に見えやすいのが小学校,次に中学校。
中学校では,小学校時代の教育の成果もよく見えてきます。
教育現場では,ステレオタイプの見方しかできない子どもを,授業の場面や社会体験,自然体験を通して「教育」することができるのですが,
こういうネット上の「言葉だけ」のやりとりの場では,
なかなか難しいのは確かですね。
しかし,そもそもネット上の世界で,しかも教育に関係した場で,
こういう人に対する「リアルな社会」で求められる対処法を考えることは,
無意味ではないと思われます。
例の人物は,過去の痕跡を消し始めていますから,そのうち実名で登場するでしょう。
何も失うものがない人間はある意味では最強です。
投稿: kurazoh | 2013/11/03 15:05
以前から採用にはメンタリティーのテストが必要です。企業の2.5倍も鬱病が多いとされる職業ならば、なおのことこの点には慎重になっても良いと思います。
あと、紋切り型の思考をステレオタイピングといい、認知バイアスと確証バイアスがこの思考をさらに強固に固めてしまいます。説得するのはおそらく無意味ですし、そういうダークサイドの思考にはまった人を助けるには、気付きを与えることが必要です。
投稿: 匿名 | 2013/11/03 12:15