リーダーは学級委員だけではない
学級委員というものをおかない小学校は論外として,
逆に,学級委員にすべての責任をおしつけるような教師がいるのは子どもにとって気の毒なことです。
学校は,リーダーシップを育てる機能ももっていますが,
それは40人中1人とか2人でいいというわけではありません。
学校には,教科の学習,日々の生活,運動会や学芸会,宿泊を伴う移動教室のような行事など,様々な活動場面があります。
教師は,それぞれの活動場面で活躍できる子どもにリーダーシップの意味や意義を考えさせる機会を与えなければなりません。
クラスとしてのまとまり感が最も出しやすいのが学校行事です。
ここでは,学級委員のように年度当初に選出された子どもではなく,
毎日の生活の中で,その長所が発揮されてきて,周囲も認めるようになった子どもにリーダーをさせてあげることも必要になるでしょう。
運動会の~については~さんがリーダー,~の競技は~さん,ダンスは~さん・・・
学芸会の歌については~さん,劇については~さん・・・・
こういう子どもたちが教師のためではなく,自分たちのために自分たちががんばるという自立の精神を養っていくのが,教育のたいせつなはたらきです。
一番やさしい「指導」というのは,教師がリーダーシップをとって,自分でやってしまうこと。
こういう教師を「指導力のある教師」と呼んでうかれている小学校からきた生徒たちは,
中学校でみじめな思いをします。
「子どもにリーダー性のあるのがいない」教師は,リーダーシップを育てる指導力がないか,
自分もリーダーシップを発揮できないかのどちらかでしょう。
子どもは教師のためにがんばるのではありません。
そこを勘違いしている教師たちが,半世紀以上たっても消えないのが,歯がゆくてなりません。
教育勅語でいう「朕」が自分だと勘違いしている人の教育論は,読んでいても腹が立つばかりです。
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