教育実習で何を得たかを採用試験の面接官が知る方法
「毅然とした態度を取れ」
「教師らしくしろ」
と指導教諭から注意されたとき,教育実習生のあなたなら,どのような「態度」をどう改めようと思いますか?
まずは,どのような場面の,どういう「態度」が問題だったかを確かめてみよう。
廊下ですれ違ったときに,生徒が壁に向かって唾を吐いた。
あなたならどうしますか?
選択肢は4つ。
(1) だまって通り過ぎる。
(2) 呼び止めて注意する。
(3) 呼び止めて,雑巾で唾を拭かせる。
(4) 呼び止めず,雑巾で唾を拭く。
たとえばこの場面で,(1)の選択肢をとったことを教師に知られてしまって,冒頭の注意をされたとします。
どうすべきだったのでしょう。
こういうケースの場合,指導教諭によって,当然「指導方針の違い」があるでしょうから,「これが正解」というものはありません。
注意の仕方からして,その指導教諭は(2)か(3)を求めていたことは想像できます。
しかし,私の場合の正解は,(4)です。
(2),(3)の場合,「指導力」のない教育実習生なら,すぐさま対教師(学生)暴力が発生する恐れがあるからです。
教育実習生にとって,決定的に足りないのが,
生徒一人一人の『個性』に関する情報です。
もしかしたら,その「唾」は「歓迎のしるし」かもしれません。
「挨拶」の代わりなのかもしれないのです。
もちろん,通りかかったときにたまたま唾を吐いたという「偶然」かもしれませんが,それはここでは考えないことにしています。
唾を吐いた生徒が,どういう生徒なのかを担任の教師からじっくり聞くことが,掃除した後にすることです。
少なくとも教育実習中は,しっかりを「目をかけていく」ことが求められる生徒であることは確かです。
こういう「頭のはたらかせ方」ができない
「単純棒振り(指揮者のこと)型」の教育実習生・・・特に,体育会系(体育会的文化部系も含めて)の,
「上下関係に厳しいことが当たり前の世界」で長く生きてきた大学生の場合は,
ここで「事件」に発展する行動を起こすかもしれません。
学校というところは,
休み時間の廊下はもちろん,
授業中でも,
生徒は「教師が適切な反応をすべき」さまざまな言動をとってきます。
「指導力不足教員」というのは,端的に言えば,
こういう場面で「適切な反応ができない教師」のことです。これは私の考えです。
一般社会では,そうではなく,「不適切な反応をしてしまう教師」の意味なので,数はある程度は限られていますが。
教育実習生は,経験がないのだから,「適切な反応ができなくて当然」という考えもあるでしょう。
大事なことは,「適切な反応ができなかった」自覚がもてること,「適切な反応をする」ことへの自覚を強く持つことです。
実習中は,「実習手帳」というものがあり,詳細を毎日指導教諭に報告し,アドバイスをもらっていると思います。
採用する側から言えば,この実習手帳こそ,採用試験の面接で活用したいものです。
「突っ込みどころ」の宝庫が「教育実習手帳」です。
大学で学んだことも大事ですが,教育実習を行った学校現場で何を学んだか,
それが教師になってからの財産になりそうな人を採用すべきです。
逆に,「負の財産」を背負ってしまった人には,大学院に進んで,「二度目の教育実習」を実施する機会をもってもらいたいと思います。
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