学力調査の分析(東京都教育委員会)を一歩進めて
産経新聞の記事で,全国学力調査とセットで行われている「学習状況調査」の結果について,東京都教育委員会が行った分析?結果の一部が紹介されている。
中学校3年生に対する「家でテストで間違えた問題について勉強していますか」という質問に「している」と答えた生徒の割合が,
秋田県では24.4%,東京都では10.3%だったという。
テストで間違えた問題の勉強(復習)は,学校で行う場合もあるから,そういうバリエーションも合わせて問わなければならないのだが,もし仮に学校ではそれをやっていないと仮定すると,
東京都だけでなく,秋田県も
「学習指導の基本」ができていないことが証明されたことになる。
間違えた問題を復習するだけでなく,「テスト問題は必ず解き直す」ことによって,理解度を高めるというのは,学力向上の基本である・・・・という常識を,一般の学校や経験のない教師たちに求めるのは酷かもしれない。
当たり前の話だが,「復習しておきなさい」という指示だけで復習する子どもは,それほど多くはない。
(・・・・といっても,そうやって指示したとして,4人に1人もいないのはさびしいことである)
だから,「解き直し」のチェックを教師はしなければならないのだ。
こういう習慣を中学生のころにつけさせられた私は,
教師になったばかりの1校目では自分のクラスの生徒に対して,
2校目では学年のクラスの生徒に対して課すことにした。
テスト前は勉強しても,答案が返ってからも勉強するという「風景」を見たことがなかった親たちからは,
どちらの学校でも感謝された。
当時は学力調査がなかったので,どのような成果があったかは説明しにくいが,
「常識」をつくった2校目の学校は,その後,学力向上関係の研究校になっている。
「テスト問題の解き直し」で生徒が最も苦労するのは数学である。
授業で解き方の説明を受けても,解けない生徒がいるのだ。
家庭教師が雇えればその仕事は簡単で,その解けない問題を解けるようにすればよい。
どんな問題が解けないのかを説明できる生徒は,中学校でも指導がしやすいし,勉強の方法もアドバイスできる。
中学校では,定期テスト終了後,すぐに「解き直し用のノート」を配布して,それを提出させるようにすればよい。
意欲の高い子ども,学校のテスト程度では物足りない子どもは,問題集の応用問題なども一緒にそのノートでやればよい。
中学校1年生から積み上げていくこの「テスト問題&解き直しノート」の数々が,
進路を選択していくうえで重要な資料になることは言うまでもない。
こういう「常識」が少しでも多くの学校に広まっていけばよいと思う。
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