砂の黒板とタブレット機
「黒板にチョークなんて授業はもう古い!」
なんていう教師は,一度,アフリカの電気が通っていない村の学校に連れていってあげたい。
砂をつかって字を書く練習をしている子どもと,タブレット機の上で線をなぞっている子どもは,同じことをしているだけである。
黒板にチョークでまともに字が書けない実習生がいる。
中学生の方がはるかに上手に,速く書ける。
こういう「実力格差」は,教育実習が始まってからどうこうできる問題ではない。
大学にはホワイトボードしかなくて,「チョークの使い方」を知らない大学生が多い。
小中学生のうちに,黒板に意見や数式を書きに来る積極的な人とか,書記をつとめてきた人には,アドバンテージがある。
授業で「お客さん」として,ノートだけ取っていた生徒時代を過ごした実習生の中には,「黒板に書く」という技能が決定的に欠けている人がいる。
こういう実習生と変わらない教師に,「黒板にチョークは古いですよ」と言われたとすると,
こんな質問を逆にしてみたくなる。
「タブレットなんて,古いですよ」という時代はあと何年後に訪れるだろう?
そんな先の話ではないと思われる。
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