【保護者必見!?】 伸びる子どもの特徴
私の勤務する中学校には,担任教師との面談のほかに,希望者のみだが,
教科の先生方との面談ができる期間がある。
主には学習上のアドバイスを受けに来るのであるが,
長年やっていると,学力が伸びる子どもには共通した特徴があることに気づかされる。
(裏返して,「そうでなければ子どもの学力は伸びない」とは考えないでほしい。)
私が体感している「伸びる子どもの特徴」とは,
「大きく考える」「長いスパンで考える」ことと
「小さく考える」「短いスパンで考える」ことを使い分ける意味や意義が
分かることである。
社会科では,地理でこのことを繰り返して学ぶことができるのだが,
歴史でも,同じような指導を私は心がけている。
日本全体の動きを考えることと,
「いまここ」の動きを考えることの違いは,たいていの子どもが
理解できる。
しかし,「長いスパン」と「短いスパン」というのは,
何となく理解できても,考えることを実行するのが難しい。
1年間の計画と2時間の部活のメニューを考える違いのようなイメージだが,
これらには,次元が異なる「目標」というのがセットになってくる。
「何を,いつまで」と問われたときに,
すぐにできることと,時間がかかることを同時に思い浮かべられる
子どもは,学力を伸ばすことができる。
単純に,量的な面だけでなく,質的な面が向上するのである。
実は,このことを最も強く意識しているはずであるのは
小学校なのだが,それを子どもに「意識付け」させないようにしている。
小中連携で大きな効果を生むための秘訣は,これを「意識付け」させることにある。
短期的な目標(達成したら,すぐに次の目標にうつるもの),
中期的な目標(達成するまで,しばらく時間がかかるので,タイミングを見て意識させるもの),
長期的な目標(これはどの学校でも基本的には指導しているが,「自分でつくらせる」
ことを指導の重点にしているところは少ない)を
つくらせたり示したりして,自分なりの振り返りを課し,それに基づいて教師が個別面談を
繰り返すのである。
もし小中学生の保護者なら,常に3つくらいのスパンの異なる目標を持たせて,
「行動」させたり「思考」させる習慣を家庭でもつけさせるとよいと思う。
実は,「本当の管理職研修」を受けた管理職は,
それをすでに学校の教師たちに対して実行し,成果を上げている。
(ただ,「伸びない人」はいる。その理由だけは,上のことを「裏返し」にして
考えていただいて差し支えない。)
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