「感動させる」ことを目的にしたとき,「音楽」の「魂」は消える
太平洋戦争時,戦局が悪化すると,
最後の頼みの綱は,「魂」のみとなった。
人間も,物資も,すべてが欠乏していた。
技術も,すでに追い抜かれていた。
「玉砕戦」で亡くなった方々の魂を
慰めるために,私たちがしなければならない
ことは何か。
野球でも,「魂を込めて投げろ」なんていう
「精神論」は,過去のものとなった。
音楽の世界では,最悪の時代の
「亡霊」が,まださまよい歩いているようである。
「音楽家」は,人を「感動させる」のが仕事だろうか。
そんな「必死さ」が伝わってきたら,それこそ「興ざめ」である。
「音楽家」が「音楽」に酔っている場面を見て,
「興ざめ」になる人はどのくらいいるだろうか。
私はそれで「興ざめ」はしない。
いい演奏をして,自分で満足をしている姿を見て,
「すばらしいです」と讃えたい気持ちになる。
私には,人を感動させようと必死になっている中学生の姿は,
想像しにくい。
自分なりに満足がいくことをやる,それだけで精一杯でも,
よいのではないか。
「聴衆を感動させる演奏を心がけなさい」という指導は,
音楽の人間なら一般的なのだろうか。
私はここに,小学校の教師の醜い典型を見る。
「参観者を子どもの発言で感動させることが,よい教師と子どもの姿である」・・・
こういう盲信を抱いている大会参加者が多い場に出ると,
本当に辟易とさせられる。
名人とやらの「道具」にさせられている子どもたちが気の毒でならない。
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