学校の授業は分からないけど,塾の授業は分かる
塾でアルバイトをしていたころ,
不思議だったのは,なぜ「学校の授業が分からない」と
子どもが話すのか,ということだった。
私は英語の教師を志していた人間ではない。
中学から大学まで,自分が通っていた学校で教師に
英語を習っていただけである。
以前にも書いたように,耳で音を聴いて理解できるように
することを心がけた結果,中2になって英語が得意になった,
英語が好きになったという子どもが増え始めた。
もちろん中学校の教師は,私が教えていたレベルの子どもたちに
個別指導をしてくれたわけではない。
授業ではできないまま,放置していたわけではないかもしれない。
でも,学校では「できる自信」「分かる喜び」が味わえなかった。
なぜだろう。
「学校の授業は分からない」という言葉の「裏」にあるものに
気づいたのは,自分が教師になってからであった。
「授業が分からない」と生徒が言う理由には三通りある。
「本当に理解できていない場合」と,
「本当は理解できるのに理解しようとしない場合」と,
「理解できてない部分が理解できている場合」である。
私は三番目の意味で「分からない」と言ってほしいから,
テストでも「以上の資料だけからは『分からないこと』は何か」
なんて問題を出したりする。
塾で生き生きしている子どものパターンは,
一番目も多いが,二番目の場合であるケースが多いのではないか。
「理解しようとしない」生徒を「理解しようとする」ようにすれば,
塾で何も教えなくても,学校の成績は向上するはずである。
でも,それはなかなか実現できなかった。
「おまえが勉強しないのが悪い」
「おまえの授業態度が悪い」
などと悪態をつく教師の姿が目に浮かんだ。
これが「法治国家」の現実なのだ。
« 法治国家だから,堂々と手を抜ける人間がいる? | トップページ | 小学校の教師にはない?「成績」の概念 »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
「学校選択制」カテゴリの記事
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 大規模校と小規模校の違い(2017.08.24)
- 女性社会が男性社会に変わることが中1ギャップの最大の原因か?(2017.08.13)
- 若い先生が増えると,子どもや管理職の悩みも増える(2017.08.12)
- 美味しくなってきたペットボトルのお茶(2017.08.07)
「学習指導要領」カテゴリの記事
- なぜ新しい学習指導要領が失敗に終わることがわかっているか(2018.01.17)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「学力向上」カテゴリの記事
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
- 普遍性,汎用性があると誤解する「研究者」たち(2017.11.10)
- 小学校の授業を参考にする高校教師(2017.11.08)
- 最低限の教育の場の確保を!(2017.11.06)
「教職教育」カテゴリの記事
- 「総合的な学習の時間」の指導ができるように教育できるのはだれか(2019.11.24)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
「教師の逆コンピテンシー」カテゴリの記事
- 遠慮しないで情報を提供しろ!~いじめを見逃す環境との戦い(2018.12.29)
- 偶然の重なりと緻密な演出~インスタレーションから受けた刺激(2018.12.22)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 量より質が大事なものと,質より量が大事なものとは?(2018.04.23)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「小中連携」カテゴリの記事
- 中学校化している?小学校の授業(2018.10.15)
- なぜ学習指導要領が「小学校寄り」になるのか?(2018.10.13)
- 小学校英語教育の最大の欠点(2018.08.11)
- 中1ギャップを考える前提としての小中ギャップ(2018.05.28)
- 小学校に望む本当の「働き方改革」=小学校が変われば「中1ギャップ」解消に一歩近づく(2018.01.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント